土蔵修繕」カテゴリーアーカイブ

土蔵の修繕(5)基礎の補修

前回、土塀を撤去しました。

一方、肝心の鶏小屋があったところ(土蔵の庇下、下写真で手前側)については、大工さんに梁や柱などの構造部分の取り替えをお願いし、そのほかはDIYにて行うことにしています。

大工さんに構造部分の施工をしていただく前に、劣化している基礎の補修などを済ませておく必要があります。

下写真は土台の基礎コンクリート(無筋)ですが、大きなクラックが生じています。

基礎コンクリートの下に穴があいていますが、ここには陶器製の桶のようなもの(2枚目写真参照)が入っていました。
この桶状のものは養鶏に伴う排水を受けるためのものだと思います。
コンクリートのクラックは、この排水口を開ける際に生じたのかもしれません。
今ならドリルを使って綺麗な穴をあけることができますが、昔だとタガネぐらいしかなく、このようなことになったのでしょう(経年劣化のほうが大きい?)。

何れにせよ、このままでは不安定ですので補修することにします。
まずは穴があいている箇所に、砕石代わりにコンクリート殻を敷き均します。

途中の経過写真がなく、いきなり完成です・・・。

土台が載った状態で補修しなければなりませんので、上部に隙間を作った状態にして型枠をあて、その隙間からコンクリートを流し込みました。
このような無理な施工でアバタが生じてしまいましたので、酷いところはモルタルで化粧しています。

大工さんには、梁や柱、土台を取り替えていただくことになっています。
現状では、鶏小屋跡の正面向かって右側の梁や柱が土蔵の入り口側(右側)に寄りすぎているため、この機会に少し左(下写真で「新設」の位置)に移していただきます。
この箇所に柱の礎石が必要となりますので新設することにします。

設置箇所の土間コンを切断・撤去し、穴を掘ります。

礎石には、主屋(古民家)で使われていた延べ石(減築に伴い発生)を必要長さで切断して再利用しています。

これまた作業途中の写真がありませんが、砂利を敷き、均しコンクリートを打って礎石を据え付けました。

これで、いつでも大工さんに入っていただける状態になり、自分としては一安心です。
今日明日に地震が起こることもないでしょうし、大工さんには手が空いた時に施工していただくことでお願いしました。

撤去した後の柱などは薪にするつもりですので、柱の下部に取り付けてある鉄板(不燃物)を外しておくことにします。

取り外したところ、なんとシロアリでボロボロの状態であることが発覚!

朽ちて粉状になっているところを取り除くと・・・

なんと、断面の2/3程度が無くなっている状態です!!
大工さんに見ていただいところ、予定を早め急遽施工していただくことになりました。

とりあえず添え木をして手当てしておいてほしいとのことで、あり合わせの木材をビスで打ちつけておきます。

しかし、この朽ちかたからは、現在シロアリが喰いつつあるような状況ではなく、相当以前からこのような状態にあったように思えます。
当地では10年ほど前に震度5強の直下型地震に見舞われていますが、よくもその時に倒壊しなかったものです。
そして15年ほど前にはこの柱上で屋根の葺き替え(しかも土葺き)をしているのですが、作業中に倒壊なんてことも十分にあり得たのだと思うとゾッとします。

<続きます>

土蔵の修繕(4)土塀の撤去

前回、鶏小屋を撤去したところ、柱や土台などが相当痛んでいることがわかりました。

これらの老朽箇所は修理する(構造部分は大工さんに依頼し、そのほかはDIY施工)ことにしましたが、実はまだ気になるところがあります。

土蔵の庇部分に連なる形で土塀(下写真矢印)がありますが、これもヤバそうなのです。

軒が落ちかけているのはまだしも、手で押すだけで土塀全体が前後に揺れます。

少し大きい地震が来れば倒壊するでしょうし、土塀の反対側は滅多に人が通らないとは言え公道(赤道。下写真が公道側から撮影)です。

この公道は昭和30年代までは人の往来があったと聞いていますが、現在では通り抜けができず、実質廃道状態になっています。
昔は人の往来があったため、用心として土塀を設けたのでしょうが、今ではその必要性はありません。
また、この土塀により風通しが遮られるため、土蔵前が常にジメジメした状態になっています。

そこで、この土塀を解体・撤去することにします。
まずは土塀の周りに置かれている古瓦を片付けます。

これらの瓦は昔の納屋(昭和50年頃に建て替え)のものですので、屋根から降ろしてからでも40年が経ちます。
状態の良いものだけを残し(縁石として使う予定)、残りは破砕します。
自宅に隣接する里山の斜面に流水で土が流されたところがありますので、そこを埋めるのに使います。

土塀を解体し始めます。

瓦を下ろし、屋根下地を撤去します。
続いて壁土を撤去しますが、(荒壁部分を)再利用できるように、事前に表面の漆喰(上塗り)を剥がしておきます(剥がした漆喰は畑に還元)。

実はこのとき、棟から見て片側ずつ瓦を下ろそうとしていたのですが、たまたま来宅された大工さんに注意していただき、両側の瓦を交互に下ろすようにしました。
危うく土塀の下敷きになっていたかもしれません・・・。

土壁の解体に伴い出てくる竹小舞(土壁の下地)を1面分、取っておきます。
土蔵の庇の修理において土壁を新設する予定ですので、そのときの参考にするつもりです。

撤去完了。

土塀を撤去したことで、石積みの天端がむき出しになりました。

土が流れてしまわないようにコンクリートを打って養生しておきます。

土塀を撤去したことで、土蔵前の風通しが良くなりました。
この影響なのか、先日のブログ記事に書いたとおり、これまでほとんど花をつけなかったなかったツツジがたくさんの花をつけるようになりました(下写真は翌春に撮影したもの)。

<続きます>