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古民家の自然換気(54)換気排熱ファン設置②

離れの二階に換気排熱ファンを設置することにし、前回、本体を取り付けるところまでできました。

換気排熱ファンを動作させるためには電源(100V)が必要になります。
換気排熱ファンは屋根裏に取り付けてありますが、その屋根裏に離れ二階の電灯配線が施されていますので(下写真で灰色のケーブル)、そこから電源をとることにします。

この機会に離れ二階の配線を調べると下図のようになっています。

これに換気排熱ファンを追加(下図で朱色枠内)。

既設配線の途中に新たにジョイントボックスを設け、そこで換気排熱ファン及び操作用のスイッチと接続するようにしています。

上図は単線図ですが、換気排熱ファンの部分を複線図(電線の接続方法を示す図)で描くと下図のようになります。

単純な回路で、(片切り)スイッチを入れると換気排熱ファンが動作し、スイッチを切ると停止します。
これで換気排熱ファンを使えるようになるものの、実際の使用においてはエアコンや扇風機のように自動操作が必要になってくると思います。
そこで、とりあえずは上図で施工するにしても、将来的に拡張できるように自動操作の方法を検討しておくことにします。

自動操作は以前外灯を設置したときにも利用したタイムスッチ(下写真で右側の箱形のもの)を用いれば実現できそうです。

このタイムスイッチにより19時ON、深夜1時OFFと言ったことができるようになりますが、外灯とは異なり手動でもON・OFFできるようにしておく必要があります(例えばエアコン使用時に手動で換気排熱ファンをOFF)。
そこで、タイムスイッチに加えてセレクトスイッチ(双投式スイッチ)を併用することにして複線図を描くと下図のようになります。

セレクトスイッチを部屋の壁に設置し、タイムスイッチは普段は操作しないためクローゼット(天井点検口あり)内にでも設置すれば良さそうです。
先の図と比べると、壁のスイッチへの配線について、単純な片切りスイッチの場合は2芯のケーブルで良いのに対し、セレクトスイッチの場合は3芯のケーブルが必要になることがわかります。
そこで、とりあえず今回は片切りスイッチを設置するものの、将来拡張することを見越して3芯のケーブルを配線しておくことにします。

配線方法が決まったことから作業していきます。
まずはスイッチの設置。
スイッチは換気排熱ファン用のものだと分かりやすいように近くに設置することにしましょう。

スイッチの取り付け方法について、今回はスイッチボックスを用いずに「石膏ボード用はさみ金具」(下写真)を使うため間柱の位置を避けるようにしています(高さは床から110cm)。

はさみ金具の指定寸法で壁に開口を設けます。

屋根裏からケーブル(VVF1.6×3C)を引き込んでスイッチと結線(これ以降の作業には電気工事士の資格が必要になります)。

とりあえずスイッチは片切りスイッチ(主屋のお古)を使うため、ケーブル3芯のうちの1芯(赤)は使用しません。

そして、スイッチの設置完了。

換気排熱ファンにもケーブルを結線。

既設ケーブルの途中に新たにジョイントボックスを設け、各ケーブルを接続します。

ところで、天井裏には断熱材(グラスウール)が敷き詰められていますが、換気排熱ファンの周囲は今回の作業に伴い一旦取り外してあります。

元の状態に断熱材を戻しますが、換気排熱ファンの排気により断熱材がめくれ上がったり、バタついたりしそうです。
そこで、周囲の断熱材を合板でカバーしておくことにします。
合板(端材)を準備。

取り付け。

それでは、配線に間違いがないことを再確認してスイッチON。

問題なく動作します!
スイッチを入れると、風圧により本体上部が上がり(上写真で朱色矢印)、生じた隙間から排気されるになっています。
スイッチを切ると本体上部が下がって隙間もなくなりますが、これは屋根裏の埃を室内に侵入させないための工夫だそうです。

で、この換気排熱ファンの効果ですが、これが想像以上です!

換気排熱ファンを実際に設置したのは今年6月末のことで、それ以降、効果を確認するため私が換気排熱ファンを取り付けた部屋で寝起きしているのですが、一番暑さの厳しい今の時期になってもエアコンどころか扇風機も不要なのです。
扇風機さえも不要なのは、天井付近にこもる熱気が解消されるだけでなく、屋外から冷えた空気が入ってくるためです。
離れは里山に隣接して建っているため特に外気が冷えているのだと思いますが、涼しさだけでなく、自然との一体感を感じられるのが良いと感じています。

古民家の自然換気(53)換気排熱ファン設置①

今年も酷暑の夏を迎えました。
既にエアコンがフル稼働するようになっていますが、できるだけエアコン(電気)に頼らなくても済むよう周囲の自然環境(里山等)や古民家の特徴を活かした工夫をいろいろと行っています。

上写真の竹天井やシーリングファンはそのひとつで、室内の熱気を天井裏(→屋外)に排出するとともに、冷たい外気を取り込もうとするものです(自然換気)。
さすがに酷暑ともなるとエアコンに頼らざるをえないものの、さらに自然換気の効果を高める方法がないものかと思っています。
そのヒントを探してネットを閲覧していると、三菱電機から「換気排熱ファン」(下写真)なるものが市販されていることを知りました。

三菱電機 V-20MEX2

三菱電機HPの製品情報を読むと、この換気排熱ファンを天井に取り付けることで、下図のとおり室内や屋根裏の熱気を屋外に排出するとともに、冷たい外気を取り入れるとあります。

三菱電機 HPより

つまり、古民家で行っている自然換気を、換気扇を使って強制的に行おうとするものです。
エアコンの大手メーカーでもある三菱電機は「家は高機密・高断熱、そしてエアコン設置」を推進しているものとばかり思っていましたので、こんなユニークな製品を出していると知って驚きました。

そんな三菱電機に敬意を表し、試しに1台購入してみました(V-20MEX3)。

天井に取り付ける一般的なパイプファンに似た外観ですが、内部はシロッコファンではなくプロペラファンになっています。

風量は300m3/h(静圧0Pa)で、同程度の能力のパイプファンに比べて価格は少し高めの約13,000円(ネットでの実売価格)です。

これを主屋(古民家)に取り付けようかとも考えたのですが、下図(再掲)に二階建ての絵が使われているのを見て、主屋ではなく離れ(二階建て)に設置してはどうかと思うようになりました。

三菱電機 HPより

と言うのは、主屋(古民家)は屋根裏が広いため、さほど熱気は酷くない一方、離れの二階が灼熱地獄状態になるためです。
離れでは母が寝起きしていますが、屋根裏に溜まった熱が夜に輻射熱として伝わってきて寝苦しい夜になってしまうわけです。
下図(三菱電機HP)を見ると、エアコンの効きも良くなり、寝苦しい夜が解消されるとあります。

三菱電機 HPより

離れの屋根裏に設置することにし、現状を確認するため屋根裏に上がります(押し入れ内の天井点検口から進入)。

写真には写っていませんが、棟の両端に換気口があります。
また、換気排熱ファンは50m2に1台以上設置するのが望ましいとあるのに対し、屋根裏の広さは約50m2(15坪)のため屋根裏の中央付近(上写真で朱色丸印)に設置することにします。

居室側から見ると下写真で朱色矢印のところに換気口(換気排熱ファンのグリル)ができることになります。

それでは作業に着手します。
まずは天井に開口(□260mm)を設けます。
天井材は石膏ボードで、開口の四隅をドリルで穿孔。

何しろ石膏ボードは粉塵が凄まじく、切断時の粉塵が室内に飛散しないように先ほどの穴を目印にしてビニール袋を取り付けます。

天井裏からボード用鋸で切断。

無事切断できたため開口の3辺に野縁を追加して換気扇本体をビス留めできるようにします(石膏ボードにも直接取り付けられますが、念のため強度が得られる方法にしました)。

本体を取り付け(居室側からビス留め)。

とりあえず本体(下写真で朱色矢印)を取り付けるところまでできました。

<続きます>