月別アーカイブ: 2021年4月

手押しカンナのメンテナンス(3)モーターケース補修

手押しカンナをメンテすることにし、前回、主軸及びアマチュア軸のボールベアリング(計4個)を新品に交換するところまでできました。

ベアリングを無事交換できたことから、分解したときの逆の手順で組み立てていきます。
まずは主軸(カンナ胴)を定盤に取り付け。

次にアマチュアをモーターケース(ステータコイル)内に戻しますが、そのモーターケースの一部が欠けています(下写真で朱色矢印。写真は分解時に撮影したものでアマチュアが装着されています)。

モーターを筐体にネジ留めするところが3箇所あり、その内の1箇所が何らかの原因で欠けてしまったようです。
重要な部分ですし、幸い、破片が筐体内に残っていましたので、接着剤を使って補修することにします。
接着剤はモーターケースの材質(プラスチック)に対応したものを使えば良いのですが、プラスチックはPE、PP、PET、PVC等々、様々な種類があるうえ、PEやPPが基本的に接着剤を受け付けないようにプラスチックの接着は厄介です。
近頃はプラスチックを含めて何でもOKと言う接着剤(ウレタン樹脂)がありますが、これはゴムのように弾力があって今回の用途には不向きです。
今回は、やはり溶接みたく母材を溶かして一体化するタイプのものが良いです。
そこで、モーターケースのプラスチックはPS、ABSあたりではないかと推測してスチロール樹脂の接着剤(セメダイン「プラモデル用接着剤」)を使ってみることにします(接着剤は溶剤として働きます)。

結果、狙い通り接着成功!(写真は撮り忘れました)

こうして補修したモータケース(ステータコイル)内にアマチュアを戻します。
そして、プーリーにVベルトを掛けつつモーターを定盤(裏面)に取り付けます。

さらに、定盤を筐体に取り付けます。
モーターをはずす際、配線を切断しましたので、絶縁閉端子(CE1。コードは0.75SQ)を使って元通り接続し直します(絶縁閉端子の圧着には下写真で左上の絶縁閉端子用ペンチを用います)。

スイッチは単純な片切りスイッチですし、よもや配線を間違えるなんてことはないでしょう。

と言いつつ、念のためテスターで確認しておきます。

スイッチをON・OFFして導通を確認→問題なし。

それでは、電源コードをコンセントに挿してスイッチを入れます(緊張の瞬間!)。

「ブーン」(軽快な動作音)
当初あった酷い異音も解消しました!(異音の原因はベアリングだったことが判明)
これでめでたくメンテ完了といきたいところですが、実は肝心のカンナ刃や安全カバーなどが中古購入時から無いためメーカーから取り寄せたうえ装着しないと使いものになりません。
かと言って、部品を先に取り寄せても肝心の本体が直らなければ無駄になってしまうため注文は保留していました。
今回本体の修理ができたことを受けて部品を注文。
メンテ作業は一旦お休みとし、部品が届き次第、再開することにします。

<ブログ記事は次回に続きます>

手押しカンナのメンテナンス(2)モーター分解

手押しカンナをメンテすることにし、前回、ボールベアリングを主軸(カンナ胴の回転軸)から引き抜くところまでできました。

ベアリングは主軸だけでなく、モーター(アマチュア軸)にも使われています。
アマチュア軸のベアリングも不具合があるかもしれませんので、こちらも交換を前提にモーターを分解・点検することにします。

モーターは下写真のとおり筐体と電源コードでくっついています。

このままでは作業しにくいため離したいところですが、電源コード(コードガード)が筐体の壁を貫通しているため分離するには電源コードを切るしかなさそうです。
配線を確認すると、組み立て時に圧着端子(下写真で朱色矢印。絶縁閉端子)でコードどうしを接続してあることがわかりますので、その箇所で切断することにします。

モーターだけになって扱いやすくなりました。

アマチュア(電機子)を引き抜く前に一応、カーボンブラシをはずしておきます(アマチュアのコンミテータ部を傷つけないようにするため)。

カーボンブラシは減っているものの、まだしばらくは使える長さが残っています。
ただ、カーボンブラシを交換する手間のことを考えると(今回はモーターをはずしてあるため容易に交換可能)、この機会に交換しておいたほうが良いようにも思いましたが、結局交換せず・・・。

そして、アマチュアを引き抜きます。

こちらも先の主軸と同様、軸の両側にボールベアリングがついています(上写真で朱色矢印)。
ところで、上写真にも写っていますが、モーター内におが屑が混じった綿埃が大量に入っています。
ピンセットで取り除き始めたものの、細かいところまで入り込んでいるためエアダスターで吹き飛ばすことに。

綿埃は異音の原因ではないと思いますが、放置すればモーター焼けにつながりかねず、今回モーターも分解・点検しておいて良かったです。

アマチュア軸にもプーリーがついています。
これも主軸と同様にネジ(アマチュア軸側は逆ネジ)で取り付けられているはずですが、固く締まっています。
バイスでくわえれば溝を痛めかねないためアマチュアベアリングプーラで掴んで回転させることに。

プーリーをはずせたらベアリングを引き抜きます(アマチュアベアリングプーラ使用。下写真にはベアリングが1個しか写っていませんが実際には2個あります)。

ボールベアリングは主軸、アマチュア軸とも同じですが、プーリー側(下写真で右側:内径12mm)とその反対側(左側:内径10mm)で少し大きさが異なるものが使われています。

ボールベアリングはNTN社の製品が使われており、それぞれの型番は(小)6200LLB、(大)6201LLBになります(LLB:両側非接触ゴムシール形)。
NTN社はテレビCMでもお馴染みの会社ですし、ベアリングの代名詞とも言える存在です。
最近は安価な互換品(Made in CHINA)も入手できますが、今回は肝心要の箇所に用いますので信頼のNTN製を購入。

このサイズのものですとNTN製のものでも1個300円もしませんので、4個全てを交換しても1,000円程度です(互換品だと、その半額程度)。

ベアリングは軸に差し込んで取り付けますが、当然のことながらベアリングの内輪側を押します。

私のような素人作業では、内輪のサイズに合ったソケットレンチを使うことが多いようですが、今回はプーリーがある分、奥に入れる必要があるためプラグレンチ(ソケットレンチよりも高さを稼げる)を使用しました。

ちょうど、モーター(アマチュア)とカンナ胴が並びましたので、その関係を写真に加筆してみました。

モーターの動力をVベルトでカンナ胴に伝達。
そして、カンナ胴に取り付けたカンナ刃を高速回転させて木材表面を切削するわけです。
こうして見ると単純な仕組みですし、基本的に電動工具はこれをベースにして刃の形状や動き方にバリエーションがあるだけのように感じます(今回、この手押しカンナのメンテができれば他の電道工具もメンテできる!?)。

さて、ベアリングを無事交換できましたので、今度は逆の手順で組み立てていきますが、その前に定盤や筐体を掃除しておくことにします。
定盤の裏はオガ屑のほかグリス汚れが付着しているためパーツクリーナーで除去。

筐体の表面には樹脂状のものが全体に付着しているためパーツクリーナー等で除去してキレイにしたいところですが、樹脂製のため水拭きするに留めます。

裏側も隙間に詰まったオガ屑等を取り除いておきます。

<続きます>