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ミシン椅子の再生(1)ホゾの虫喰い

前回、長椅子(縁台)を新しく作り直しました。

Before
After

長椅子は新しく作り直しましたが、環境負荷の低減のためにも再生できるものは再生して使い続けるようにしたいと思っています。
で、この長椅子とは別に再生して使えるようにしたいと思っている椅子があり、それが下写真のものです。

これは亡き祖母が使っていたミシン椅子です。
背もたれがなければ普通の南京椅子(丸椅子)ですが、背もたれの作りがなかなか良く、ぜひ再生させて使うようにしたいと思っているのです。

ちなみにミシン本体のほうは2年前にテーブルとして再生しました(テレビ台として使っています)。

その際、椅子もと思っていたのですが、椅子のほうに着手するまでに2年近くを要しました・・・。

まず、椅子の状態を確認。
背もたれにシールの跡があります。

父や叔母が幼少時に貼ったのでしょう。
シール剥がしはシンナーを使えば楽勝でしょう。

そして、座面の布地が全体に擦り減って酷いところは破れています。

布地の張り替えについては、経験はないものの、椅子用の布地が市販されているためDIYにて張り替えができそうです。

と言うことで、外観からは容易に再生できそうな感じです。
しかし、実際に座ってみると半端ないグラつきがあるのです。
原因は脚のホゾが緩んでいるためで、よく見ると既にホゾに釘を打って修理した跡もあります。
ここまで来ると間に合わせの措置では済みそうになく、詳細を調べるためにも一旦、全体を分解してみることにします。
まずは座のクッション材を取り外します。

昔はクッション材も当然自然素材です(今は発泡ウレタン)。
何の素材が使われているのかわかりませんが、植物繊維のようです(上写真は裏面で、カンナ屑で高さ調整がされています)。

次に座板を外そうとするも、脚に対して打ちつけてある釘がどうしても抜けません。

止むを得ず強引に撤去(釘はレシプロソーで切断)。

座板を新しく作り直す必要がありますが、座板は真円ではなく微妙に楕円形になっています。
脚の取り付け位置とともに型取りしておきます。

ホゾで組んであるところを分解していきます。

ボンドが使われていないため容易に分解できます。
今のようにボンドが使われていると実質、分解(修理)は不可能で、結果、使い捨てにならざるを得ないわけです。

グラついていたところのホゾを分解すると、ホゾが虫に喰われています・・・。
これではグラついて当然です。

このグラつきを止めるため上写真で朱色矢印の方向で釘が打たれていました。
亡き父が打ったのだと思いますが、ここに打っても直ぐに効かなくなるはずです。
私が釘を打つなら、楔を打つようにホゾの正面に向かって打つと思います。
とは言え、このような虫喰いがあっては、どのように釘を打とうとも無駄でしょう。

そこで、ホゾが虫に喰われている中貫(下写真で朱色丸印)を新しく作って置き換えることにします(ホゾ穴:脚のほうには虫喰いはありません)。

ところで、この椅子のように曲線をもつ部材を立体的に組み合わせてあるものを見ると、私のような素人には超複雑に感じます。

そこで、今回分解した機会に一部のみを組んで単純(平面)化してみます。

上写真のとおり2本の脚は平面上に組まれています。
これと同じものを直角に組めば丸椅子の脚ができるわけです。
背もたれ部分は別にしても、南京椅子(丸椅子)なら私にも作れそうな気になってきます!

ところが、もうひと組のものが上写真とまったく同じ形状をしていると思い、それぞれを重ねてみると下写真のとおり微妙に形が違うのです。

おそらく木取りの関係から、こうした形になったのだと思いますが、それでも立体的にきちんと組み上げられているのです(まさに職人技!)。
一方、現在のような大量生産においては、誰でも組み立てができるように、材が余分に必要になろうとも設計図通りに木取りするのではないかと思います。

縁台の自作(2)竹を利用

前回、新しく縁台を作り直すことにして木取りするところまでできました。

ホゾにより組むことにしていますので、まずはホゾの加工から。

中学の技術ではホゾ穴からあけると習ったように覚えていますが、機械を使うと正確に加工できることもあってホゾから加工することが多いです(若干、ホゾが長くなるようにしています)。

続いてホゾ穴をあけます。

面取りやサンダーをかけて各部材を仕上げます。

前回のブログ記事に書いたとおり材が大きく反っています。
脚などの短い部材は問題ないとしても、貫の部材は長さが1.2mあるため反りを考慮して組むようにします。

反りの向きから上写真で朱色矢印に力が作用することになります。
今回は中央に中貫を入れますので、上写真のとおり組めば(木表が外を向く形)反りが補正されるはずです。

組み立てます。

もしホゾではなくビスで組むとすれば、これだけ反りがあると組み立てに難儀するのではないかと思います。
しかし、ホゾ組みだと多少の反りもカバーします。
ホゾ組みは加工に手間がかかるものの、木の性質を生かした方法だと改めて感じます。

とりあえず木材(バタ角)利用部の完成です。

一見それなりの出来栄えのように見えますが、細部を見ると・・・

朱色矢印のところに隙間が!?
実は面取りする際、脚の付け根のところも一気にカンナで面取りしてしまったのです。
見た目だけの問題とは言え・・・。
鼻歌を歌いながらやっているとこの様です。

それでも、もとの材がバタ角だったことを思えばまずまずの出来栄えだと自己満足(^_^)
現在の社会において、こうした材(間伐材等)の一部はバタ角などとして利用されるもののの、経済性からバイオマス発電の原料として焼かれる方向にあるのだと思います(CO2排出)。
一方、今回は縁台の材料として利用しましたが、この縁台を20年、30年と使うことができれば、その間、木材としてCO2を保持できることになります。
バイオマス発電や薪ストーブはカーボンニュートラルで環境に優しいと言われますが、木工や木造建築はカーボンマイナスでさらに上をいくのかもしれませんね。

閑話休題。

続いて、竹を利用する部分(座板)を作っていきます。
直径1寸(30mm)程度の丸竹(2年半前の冬に伐採して倉庫に保管)を縁台の長さで切ります。
これを仮配置し、並びが良くなったところでマーキング。

この並びを保ったまま、シュロ縄で編みます(編み方は井戸の竹蓋竹天井と同じ)。

これを取り付ける前に木材部を塗装しておくことに(オイルステイン:VATON オーク)。

そして完成です!

睡蓮鉢の前に設置(古い長椅子は解体してボイラーの燃料にしました)。

ここでお茶しながらメダカの様子を眺められそうです(^_^)

ちなみに、睡蓮鉢には今春株分けしたハスを植えてありますが、現在(5月30日)下写真の状態です。

今年は2株を植え付けたため、葉が多すぎてメダカが日光浴できないほどです。
このサイズの睡蓮鉢だと1株がちょうど良いようです。