投稿者「里山古民家」のアーカイブ

土蔵の修繕(9)土壁を補修(漆喰仕上げ)

土蔵の土壁(軒の水切り部)を補修するため、前回、単管パイプを使って足場を組みました。

補修箇所の現状は下写真のとおりです。

仕上げの漆喰は遠の昔に無くなり、さらに中塗りが剥がれて荒壁が剥き出しになっています。
その荒壁には鉛直方向に荒縄が入れられているようで、その一部が露出し始めています。
この箇所は水切りのため鉛直方向に逆勾配(上にいくほど外に張り出す形)がついているため、その成形・補強用のものだと思います(エツリ用の荒縄ではありません)。
と言うことは、荒縄が雨に濡れて朽ちれば、それに支えられている壁土が一気に崩壊してもおかしくありません(実際、こうしたところが崩れ落ちている土蔵を見かけることがあります)。

まずは荒壁の補修から行います。
荒壁の補修面積は僅かですので、左官バケツで壁土を練ります。

荒壁でも大直しのような感じになるため、砂(3割程度)を混入しています。

材料と道具を持って足場に登ります(ヘルメット・安全帯着用)。

隣接箇所の形状(逆勾配で、さらに丸みもついています)に合わせて壁土をつけます。

とりあえずは露出し始めていた藁縄を荒壁でカバーできて一安心です。

荒壁と言っても塗り厚は薄いため、翌週末(1週間)には下写真のとおり乾燥して中塗りできる状態に。

いつものとおり中塗り土を練って荒壁のうえに塗り付けます。

コーナーの出隅部分を反対側からも塗って仕上げます。

出隅の形状を見ると、壁が逆勾配で、さらに緩やかな丸みもついていることが分かります。
こうして実際に施工してみると、私のような素人がこのような壁を足場なしで行うと言うのは無謀な考えだったと改めて感じます・・・。

中塗りの層が残っている隣接箇所とは下写真のように繋ぎ合わせました。

これで南東角の補修箇所については中塗りまで完了しました。

南東角の土壁が痛んだのは台風を含めて雨風が当たりやすいためです。
同じ理由から東面についても南東角のように酷くはないものの中塗りの層が剥がれているところ(下写真で朱色破線の下側)があります。

剥離箇所の範囲を見ると、軒先から離れるほど雨が当たっていることがわかります。
そして、その下側のさらに雨が当たる場所は板張り(鎧シブキ)にしてあるわけです。
水切りの部分も板張りにしたら良いように考えますが、おそらく排水性や施工性を考慮して漆喰仕上げの土壁にしてあるのだと思います。

東面は庇の屋根があって足場を組まなくても作業できるため、ついでに補修することにして剥離箇所を中塗りします。

剥離箇所は少ないと感じて部分的に中塗りしたのですが、結局は上写真のとおり半分程度の面積になり、これなら全面を中塗りすべきでした・・・。

翌週末(1週間)には乾燥して補修箇所は目立たなくなりました。

見た目的にはこれで十分なのですが、中塗りで塗ったのは単なる土(中塗り土)で雨に弱いです。
やはり、雨に当たりやすい南面と東面については元のように漆喰で仕上げておくのが良さそうです。
将来的(20年後を目処)に解体・撤去する予定の土蔵にここまでする必要はないのかもしれませんが、手間だけのこと(材料費は安価)ですのでこの機会にやっておくことにします。

漆喰で仕上げるのは南東の角を中心にして下写真の朱色破線で囲む範囲とします。

漆喰はいつもの「大和しっくい」(プレミックス)を使います。
漆喰は荒壁や中塗りの土に比べると水に強いですが、それでも今回のように雨の当たるところに用いる場合は油を混ぜて耐水性を高めるそうです。
油は適当な植物油で良いように思いますが、混合割合とかも知りたかったことから漆喰専用の油を購入しました(漆喰1袋:20kgにつき1本:360ml、400円/本)。

一旦、漆喰を練ったうえ、指定量の油を混ぜて練り直します。

そして、東面を塗りました(写真を撮り忘れました・・・)。

続いて南面を塗ることになりますが、棟側は今の足場だけでは手が届きません(下写真は漆喰を塗る前のもの)。

手摺り用につけている単管を桁にして足場板をかければ手は届くようになる一方、手摺りが無い状態になってしまいます。
手摺りが無かったとしても作業はできるため、ややもすると私のような人間は早くやってしまいたい気持ちに負けて横着してしまう場面です。
DIY施工に工期なんてありませんので、ここは「安全第一」、左官作業を一旦中断して足場の確保からやり直すことにします。

手摺りを設けるには、柱の単管を継ぎ足したうえ手摺り用の単管を架けることになります。
これに必要となる材料をホームセンターで調達。

  • 単管(4m):1本(→柱材1m×2本、横架材2m×1本)
  • 直交クランプ:2個
  • C型ジョイント:2個

単管同士の接合には、今回は手摺り部分のため下写真のC型ジョイント(ボンジョイント)を用います(ボンジョイントは抜け出し防止機能がないため、足場材として使用は禁止されています)。

一段高いところに足場を追加するとともに手摺りを設けます。

これで足場ができました。

左官作業を再開します。
漆喰塗りについて、いつもは押さえずに仕上げるのですが、今回のような雨に当たる場所だと押さえて表面をツルツルに仕上げたほうが耐水性が上がりそうです。
そこで、ある程度水が引いた頃合いを見計らってコテで押さえます。

上写真は、南東角の全面的に中塗りし直したところです。
私のような素人が中塗りしたところでもそれなりに仕上がります。

一方、中塗りし直さなかったところは風雨により表面が荒れているため、その凹部がうまく押さえられず変な跡となって残ってしまいます。
いかに下地が重要かと言うことを痛感します・・・。

それでも全体を見れば美しい白壁に生まれ変わりました!

見た目的に綺麗になったのも良いですが、放っておけば崩れたであろう壁が補修され、漆喰でしっかりとカバーされている状態に安心します。

<ビフォー>

<アフター>

足場は、この後、本来の目的である薪棚を作るために撤去しますが、鎧シブキ(外壁)の塗装(コールタール)が薄くなってきています。
今の塗装は亡き父が若いときに行ったもので、それから相当の年数が経っていますので、足場のある範囲だけでも塗り直しておくことにします。
コールタール(石炭由来)は匂いがきつく、発がん性も指摘されていることから近年使われることは少ないですが、木材に合成樹脂塗料を塗るよりはマシのように感じます。
ちょうど2年程前に購入したコールタールが2kg弱残っていますので、それを使い切ってしまうことにします。

木が痩せているため、すごく塗料を吸います。

結局、コールタールを2kg弱使っても下写真の朱色破線で囲う範囲しか塗り直しできませんでした。

土蔵の修繕(8)単管足場設置

先般、仏間の改修がとりあえず完了しました。

仏間の改修に着手したきっかけは、その背後の軒下を利用して薪棚(2箇所目)を設けるためでした(薪棚を設けると床下換気口を設置しにくくなるため、薪棚を設ける前に床下換気口を設置するとともに仏間を改修しました。床下換気口は最終的には薪棚から離れた場所に設置することになりました)。

仏間の改修が完了し、これでようやく当初の目的である薪棚設置に取り掛かれます。
薪棚については、今春に1箇所目のものを土蔵の庇下に設置しました。

土蔵の庇は深くて1間(180cm)以上の奥行きがあるのですが、今回薪棚を設置する軒下は2尺(60cm)程度しかないため雨にあたりやすくなります。
薪は多少濡れたところで問題ない一方、心配になるのが薪棚自体です。
1箇所目の薪棚は上写真のとおり杉の丸太を自家製材したものを用いたのですが、雨にあたりやすい環境だと長期の間に根元が腐朽してシロアリの発生源になってしまうのではないかと懸念するのです。
何しろ、今回薪棚を設置する軒下は長年放置してあった廃材からシロアリが主屋(古民家)の土台や柱に移ってしまったと言う苦い経験がある場所です・・・。
やはり、ここだけは木材ではなく、蟻害被害のおそれがない金属材料で薪棚を作るほうが良さそうです。

金属材料のうち、安価で取り扱いが容易なものと言えば単管パイプです(ホームセンターで入手可)。
単管パイプ(φ48.6mm)は工事現場の仮設材として用いられることが多いこともあって、単管を組んだ工作物はどうしても工事現場のイメージが浮かんでしまうのですが、ここは見た目よりも蟻害防止を優先して単管を用いることにします。

薪棚設置箇所の広さ(延長2.5間、幅2尺)から、薪棚のサイズを4m(延長)×2m(高さ)×0.65m(奥行き)として(4mものの単管を使うことを考慮)図を描きます。

上図から単管の数量を拾うと次のとおりです。

  • 4m×3本
  • 2m×6本(→4m×3本)
  • 0.65m×6本(→4m×1本)

つまり、4mものの単管を7本購入すれば良いことになりますので、早速、軽トラでホームセンターに行って調達。
費用については、単管7本で約1万円(1,500円弱/本)。これにクランプ等の部材を加えて計1.5万円程かかりました。
1.5万円で薪棚ができるのば安いとは思いますが、何しろ1箇所目の薪棚の製作費用が0円だったため面白くありません。
大枚をはたいて単管を購入したからには、薪棚以外にも使わないと勿体ないように感じてきました。

そこで、購入した単管を薪棚として恒久的に使う前に、一時的に足場材として使うことを考えました。
その足場を組むのは、下写真の土蔵の南東角です。

南東角は台風を含めて風雨に曝されやすく、軒の水切り部(上写真で朱色丸印)の漆喰はとうの昔に剥がれ、さらに中塗り、荒壁が落ちて下地が現れ始めています。
これ以上進行すると修復が難しくなってしまうため、一日も早く補修したいと思っていたのですが・・・(上写真は2年前の秋に撮影)。
この作業においてはコテとコテ板を両手に持つことから比較的安定する植木作業用の三脚(上写真、高さ10尺:3m)で試してみるも手が届きません。
安全に作業するには、やはり足場(4m程度)を組むしかないわけですが、無用の長物の土蔵にそこまでできずにいました。

ところが今回薪棚のためとは言え単管7本を入手できました。
材料が手に入れば、あとはやるだけです。

足場は直接安全に関わることですので図を描いて検討します。
<注意>労働安全衛生法等に基づくのものではなく、DIY施工用に素人が考えたものです。最悪、死亡事故に繋がる可能性があり、何かあっても全て自己責任です。

高さについて、手摺り(安全帯をつなぐ)を含めて4mものの単管でOKです。

正面から見ると下図のとおりになります。

足場の左右と後方には控えをいれて転倒しないようにしています(前方は土蔵。特に重要な後方の控えは4mの長さをとっています)。
この足場に必要な単管の数量を拾うと次のとおりです。

  • 4m×4本
  • 2m×6本(→4m×3本)

つまり、4mものの単管が7本必要となり、薪棚用に購入した7本をそのまま流用できることになります。

7本の内3本について、ディスクグラインダーを使って半分(2m+2m)に切断します。

こうした金属を切断する場合、切断用の砥石をディスクグラインダーに装着しますが、砥石だけでなくホイールカバーも切断砥石専用のものを使います。

このホイールカバーの装着は、切断砥石の破損時の事故を予防するために労働安全衛生法等で義務付けられています。
しかし、これを着けると作業しにくくなるため実際の現場では使われていないのでしょうが、私のような素人DIY施工は施工性や精度より安全第一です。

単管同士は専用のクランプ(直交タイプや自在タイプが有り、150円/個程度)を使って組みますので、柱となる単管に前もってクランプを取り付けておきます。

これらの単管を立てる位置に敷板を設置します。

柱となる単管を土蔵の壁に一旦預けた状態にして桁や控えの単管を取り付ける形で組んでいきます。

丸太足場だと、この程度の規模ものでも、とても一人ではできませんが、それが単管パイプだと軽くて扱いやすいため一人でも十分に可能です。

そんなことでアッという間に単管部分が組み上がりました。

控えの単管を地面に固定するため木杭を打ち込んで番線(下写真で針金状のもの)で結束します。

ちなみに、この木杭は先に薪棚を作ったときに余った角材(3寸角)をバンドソーで4等分して作りました。

続いて単管を土蔵側と固定するため、土蔵の壁に桁(根太受け)を取り付けたうえ梁(根太)を渡します。

桁(根太受け)は鎧シブキの桟(簓子)にビス留めしていますが、それだけでは不安に感じたため、下写真の超ロング(180mm)なコーススレッドを買ってきて土蔵の柱に対しても固定するようにしました。

これで4方向から足場が支持されたことになります。

足場板には合板(9mm厚)を角材で補強して用いることにします。

この足場板を根太に対してビス留めして固定すれば足場の完成です。

しっかりした足場ができました。

高所作業時(地表から2m以上の高さ)の安全保護具を身につけて足場に登ってみます。

見晴らしも良く、作業の疲れも吹き飛びます(^_^)

安全帯を手すりにつないでも支障になることなく作業できそうです。

肝心の土壁の補修箇所も、ちょうど作業しやすい位置にあたります。