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古民家の自然換気(33)竹による墜落防止策②

夏季は障子天井をオープンにして換気を図ることで、なるべくエアコンへの依存を減らしたいと考えています。

しかし、障子天井を開けると厨子二階(小屋裏)の床に穴が開いた格好になって危険なため、前回、下図のとおり竹を利用して墜落防止策を講じることにしました。

竹は容易に着脱できるように井戸の竹蓋(下写真)のように編んだものにします(2分割、1個のサイズW910mm×L725mm)。

(手順は以前作った井戸の竹蓋竹天井と同じですので、概要の記載に留めます。)

竹は直径が1寸(30mm)程度のものを使いますが、2年前の冬に伐採したものが少し残っており、これで何とか足りそうです(昨冬に伐採したものは、まだ青竹の状態)。
910mmで切り揃えたうえ、水拭きし、亜麻仁油で磨きます。

竹を並べ、長さが725mm程度になるように本数を調整します。

棕櫚縄(黒染め)を使って編みます。

竹は円筒形で表面が平滑ですが、棕櫚縄を使って頑丈に編めるものです。

同じものを、もう一つ作ります。

出来上がったものを厨子二階側から設置します。

これで、うっかり開口部に踏み込んだとしても墜落することがなくなり安心です。

ところで、天井に換気用の大きな開口を設けたりしているので換気量の計算による裏付けでもあるのかと思われるかもしれませんが、そのようなものは一切ありません・・・。
実は、昔も同規模の開口(換気用)があり、それを復活させているだけなのです。
学生のとき、換気量の計算(農業施設)を課題で行なったことがありますが、我が家のようなボロ屋の場合、そんな小難しいことをせずとも自然任せで良かったわけです。


(改修工事前)

昔の開口部には上写真の箱状のものが乗せてあり、これを見たときは「何のためのものなのか?」と疑問に思ったのですが、今になってみて、これも墜落防止のためのものだったことが良く分かります(昔の厨子二階は柴の保管場所として使われていたため、そのゴミが階下に落ちないようにするための目的もあり)。

さて、階下の居室側から見ると、竹の隙間から木漏れ日のように光が差し込んで良い感じです。

天窓のシェードと、この竹の設置により以前に比べて暗くなったものの、夏季はこの程度で十二分のように感じます。

見た目も涼しげな感じになりましたので、ついでに風鈴も取り付け、さらに夏バージョンらしくしてみます。
風鈴を竹(稈)に結んで取り付ければ良いのですが、高所のため容易に取り付けられるように竹にフックを取り付けておきます。
フックには、以前に作ったほうき掛けと同じく波板用セットフック(10本入りで100円程度)を用います。

ドリルで竹に穴をあけ、セットフックを取り付けます(傘金がうまい具合に使えます)。

一方の風鈴を出してくると、短冊部分が無くなってありません・・・。
短冊は厚紙や突板から作っても良いのですが、ここは竹天井に合わせて竹で作りたいものです。
以前、竹で育苗ポットの名札を作ったことがあり、それを使えると思ったのですが、そのままでは重すぎて風で揺らぎそうにありません。

そこで、鉈を使って半分の厚さに剥いで軽くします。

手元にあった乾燥竹を使っていますが、青竹ならもっと剥ぎやすいのかもしれません。

紐を通す穴をあけるついでに、ほかにも適当に穴をあけて装飾とします。

竹製の短冊を風鈴本体に取り付けます。

フックに掛けて完成です。

換気時の上昇気流で風鈴が鳴ると良いのですが、上昇気流だけでは厳しい感じです。

<続きます>

古民家の自然換気(32)竹による墜落防止策①

前回で天窓のシェードが完成しました。

そして、シェードの設置により日差しが和らぐことから障子天井を開けることにしました。

こうして換気とともに外気をふんだんに取り込むことで、夏の暑さ対策としたいと思っています(猛暑時は閉じてクーラー稼働)。

一方、障子天井を開けたことで、小屋裏(厨子二階)側は下写真のとおり床に穴が開いた格好になっていて危険な状態です。

厨子二階には私しか上がることはないのですが(電気配線等の管理用)、ぼんやりして墜落してしまうかもしれないため、以前から柵で囲うなどして安全対策を講じなければと考えていました。

ところで昨年、この開口と同様の目的(採光&換気)で、別の開口部を竹天井にしました。

この竹天井の上に乗る考えはなかったのですが(作業等の場合は、根太に合板を掛けて乗る考え)、試しに乗ったところビクともしませんでした。
竹は太さが1寸(30mm)程度のものですが、筒状の断面形をしているだけあって頑丈なものです。

これだけ頑丈であれば、先の障子天井の開口部にも竹を渡しておけば、私の体重程度(65kg)であれば竹が折れて落下するようなことはないはずです。
柵を作るよりも容易(しかも材料費不要)ですし、見た目も涼しげになり、障子天井を開ける夏季に相応しいかもしれません。
そこで、転落防止策と意匠を兼ね、この開口部に竹を設置することにします。

障子天井箇所の断面は下図のとおりです。

ちょうど断熱用のプラダンと障子との間に空間(t=72mm)があり、ここに直径1寸(30mm)程度の竹を渡すことができます。

竹を敷き並べるだけでも良いのですが、脱着や強度のことを考えると、昨年の竹天井のようにモジュール(井戸蓋式)で作るのが良さそうです。

障子天井箇所を平面で見ると下図のとおりです。
開口の中央にペンダントライト(1Fのテーブル用)を掛けていますので、これを挟んで2つのモジュール(1個のサイズ:W910mm×L725mm)に分けることにします。

結局は昨年の竹天井と同じになりますので、実は、ほかに何か面白いことができないかと考えていました。
そのひとつとして考えたのが、竹小舞を使う案です。
現在、土壁を修復するため竹を使ってエツリ(小舞掻き)をしているところがあるのですが(下写真)、たまたま背後にある照明を点けたところ良い感じになったのです。

ただ、問題は強度面です。
壁に使うよりもヒダチ(間渡し竹)を太くするとともにピッチを狭くすれば頑丈になりますが、ここは当初の目的(墜落防止)を優先し、竹小舞を使う案は見送ることにしました。