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卓上丸ノコのメンテナンス(2)ターンテーブル不動

ヤフオクで購入したジャンク品(不動)の卓上丸ノコを再生することにし、前回、モーターが動くところまで整備できました。

一番の問題だったモーターの不動については解決したとして、次に問題なのがターンテーブルが回転しないことです。
ターンテーブルは下写真で黒色のグリップを締めて任意の角度に設定できるようになっているのですが、グリップの軸が曲がっており、それが原因でターンテーブルが回転しないようです。

グリップの軸が曲がっていると言うことは落下等、何かしら大きな力がかかったわけで、ターンテーブルや本体にも歪みが生じている可能性があります。
通常、卓上丸ノコには精度が求められますので、このような形跡があるものは購入を避けるべきかと思います。
ただ、今回の卓上丸ノコは木の枝や竹などの雑切り用として使用する予定で、精度を要しないことからグリップが曲がっているのを承知のうえ購入しました。

グリップは取り外せそうにないため、ターンテーブルの回転軸(下写真で朱色矢印。M8六角ボルト)を外すことに。

こちらのボルト・ナットも固着しており、ボルトが折れる形で外れました。

そして、グリップの方もなんとか外せました。

回転軸やグリップを外したことでテーブルと台座を分離できるようになります。

ここも錆が酷く、これではスムーズに回転しないでしょうからワイヤブラシ等を使って錆を落とします。

他のところの錆や汚れも落としてスッキリ。

次に、曲がっているグリップの軸を修正します。
軸をリードバイスで固定して作業することにしますが、軸にネジが切ってあり、そのままバイスでくわえるとネジが潰れてしまいます。
そこで、ネジに同サイズ(M8)のナットを入れ、ナットをバイスでくわえることに。

作戦成功!
ネジを潰さず軸を真っ直ぐに修正できました。

グリップを保持する金具も下写真のとおり変形しています。

これを金槌で叩いて修正。

これらの部品とともにターンテーブルの回転軸(下写真で朱色矢印。M8六角ボルト)を取り付けます。

ボルトはホームセンターでM8×60mmのものを買ってきましたが、上写真のとおり長過ぎでM8×50mmが正解のようです。
ナットもホームセンターで買ってきた一般的なものを使っていますが、元々はロックナットが使われていたため、同じものをメーカーから取り寄せることにしました。

とりあえずはスムーズにターンテーブルが回転し、グリップで固定できるようになりました。

ガイドフェンス(下写真。切断時に木材等を保持するための部品)にバイスの残骸(鉄棒)が付いていて邪魔になるため外したいのですが、錆で固着しています。

力任せにすればガイドフェンスを変形させかねないため、ラスペネ(防錆潤滑剤)を吹き付けて数日様子を見るも無理そうな感じ。
そこで、バイスプライヤで鉄棒を保持しつつガスバーナーで炙ることに。

無事外せました!

固着したネジなども同様ですが、いかにダメージを与えずに外すかと言うところが、こうしたメンテで一番難しいように感じています。

電源コードもシースが芯線近くまで傷ついており要メンテです。

傷のある箇所がプラグ近くのためコードを切り詰めることに。

圧着端子を使って新しいゴムプラグを取り付け。

チップソーを取り付け、角度等のセッティングを取説に従って実施。

試し切りをします。

墨線(下写真で切断面に僅かに残る黒色の線)と寸分違わず切断できます!

これだけ精度良く切れると雑切り用に使うのは勿体無いように感じてきました。

思っていた以上に良い状態にまで再生できたため、この際、欠落している部品(下写真)もメーカーから取り寄せて完成度を高めることに。

下写真はターンテーブル回転軸(六角ボルト)のナット。
左側がメーカーから取り寄せたロックナットで、右側が一般的なナットです。

スイッチのロックオフボタン(下写真で朱色矢印)も取り付け。

そして、メンテ完了です!

モーターの調子、切断精度ともに良好。
見た目だけが残念ですが、塗装し直せば新品同様になるかも(なりません)。

卓上丸ノコのメンテナンス(1)カーボンブラシ固着

鉄骨倉庫の棚を有効利用するため、前回、錆が出ていた鉄骨を再塗装しました。

この棚を作業テーブルのようにして使い、その端に卓上丸ノコや集塵機を設置しようと考えています。
卓上丸ノコと集塵機は既にジャンク品(不動)を入手してありますので、まずは下写真の卓上丸ノコからメンテしていくことにします。

ところで、この卓上丸ノコはヤフオクで落札したもので、落札時の商品説明には「通電確認済」とありました。
ところが、落札後しばらく経って出品者の方から次のとおり連絡が・・・
「発送前確認のためスイッチを入れたところ、モーターが火を吹いて焼けてしまった。キャンセルするか、これでも良ければ送料を無料とするので、どちらかを選んでほしい。」
モーターが焼けたならキャンセルの一択でしょうが、出品者はこのような機械に詳しくない感じで、なんとなくモーターは焼けていないようにも感じました。
それに、私がキャンセルすれば、この卓上丸ノコは鉄屑行きでしょうし、送料(モノが大きいため送料が高い)を負担してもらえると言うことなので思い切って購入することにしました。

実は、今回購入した卓上丸ノコ(マキタ LS0830)は、別途ガレージで使っているスライド丸ノコ(下写真:マキタ LS0813)からスライド機能を省いたもの(押し切りのみ)で、ほとんどの部品が共通なのです。
つまり、今回購入した卓上丸ノコを最悪、再生できなくても、スライド丸ノコ用の修理部品になるとの目論見もあります(部品もメーカーから取り寄せると意外に高いものです)。

今回購入した卓上丸ノコをメンテしていくことにし、まずは外観チェック。

本体、チップソーともにサビが酷いです。
チェックしていて気付きましたが、ターンテーブルが左右に回転しません・・。
ターンテーブルが回転しない(=角度切りができない)と言うのは、卓上丸ノコとして致命的な欠陥です。
これぞジャンク品です!

一方、左右への傾斜は問題なし。

他にもいろいろと不具合や部品の欠落がみつかりましたが、いずれにしても最大の問題点はモーターが不動であることです。
とりあえずコンセントにつないでみたくなりますが、安全のためにも、ここはモーターを分解して確認することにします。
まずはカーボンブラシを取り外します。

ところが、カーボンブラシが固着して抜けません・・・。
そう言えば、出品者の方が「発送するまで屋外に置いてあった」と言っていたことを思い出しましたが、それが原因で結露してカーボンブラシが固着した??
この状態でスイッチを入れれば、瞬間的に動作したとしてもカーボンブラシが固定されているため直ぐに止まるはずです。
出品者の方が「火を吹いて止まった」と言っていましたが、単に一瞬動作した際に火花が飛んだけなのでは?
と言うことは、モーターは焼けてない可能性あり!

ハンドル等と一体になっているモーターケースを取り外します。

スライド丸ノコはライトやレーザーの機能があったため配線が複雑でしたが、こちらはシンプルです。

アマチュアは見たところではコイルに焼けたような形跡はありません。

カーボンブラシが接するコンミテータと呼ばれる部分(下写真で黒色の円筒形部分)の表面が少し荒れていますが、不動の原因ではなさそうです。

ステータコイルも特段問題なさそうです。

そして、ステータコイル側からマイナスドライバーでカーボンブラシを押して抜き取りました。

ブラシホルダを磨いて、カーボンブラシ(下写真で朱色矢印)がスムーズに動くようにします。

モーターを分解したついでに、ベアリングやギアの状態も確認しておきます。

ベアリングはスムーズに回転し、ギアの摩耗も見られません。

主軸側もOK。

こうしたギアなどの部品も、先のスライド丸ノコと共通です。

組み立て直し、カーボンブラシを新品に入れ替え。

テスターで導通を確認すると問題なし。
そして、コンセントにつないでスイッチを入れると全然問題なく動作します!!
不動の原因は、単にカーボンブラシの固着だったわけです。

いずれにしても最大の問題点が解決して、ひと安心です。
モーターが動くことを確認できたことから、次回、他の不具合箇所のメンテを続けます。