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薪棚設置(6)第2号薪棚

先般、単管パイプで足場を組んだうえ、土蔵の土壁(水切り部)を補修しました。

無事完了して足場が不用になることから、これらの単管を再利用して薪棚を作ることにします。
再利用となるものの、本来は薪棚(1箇所目の薪棚は上写真で土蔵の庇下に設置済)を作るために購入した単管です。
薪棚を設置するため、①床下換気口の設置②仏間の改修③LDKの仕上げ塗り④土蔵の補修、と随分と寄り道をしましたが、ようやく本題の薪棚にたどり着きました(実際の作業量では薪棚のほうがオマケのような感じですが・・・)。

その薪棚は、当初計画のとおり主屋の軒下に単管を使って作ります。

単管(φ48.6mm)は自在に組むことができるため、図面を描くほどでもないのですが、土蔵の足場を検討する際に材料の数量を拾うため下図を描きしました。

平均35cm(30〜40cm)の薪を1列に高さ1.8m(身長)程度積むようにしています。
延長は4mで、中間に柱を1箇所配置することで桁のスパン長を1.8mにしています。
下部の2本の桁を台座にして薪を積むことになり、これらが構造的にも最もシビアな部材になります。
当然、薪の荷重に耐えられなけれならないわけですが、構造計算するまでもないと直感で4mスパンでは「OUT」、その半分にすれば「OK」と判断しました(実際ダメだった場合は桁を追加して対処する!?)。

この結果、柱を6本立てることになり、それぞれに基礎(沓石)が必要になります。
これらの沓石を所定の位置に据えるため、レーザーでレベルを出して外周に水貫(糸)を廻します(水盛り&遣り方)。

上写真で建物に直交する水糸が基礎の位置を示し、壁面から145mm及び545mmの位置に沓石を据えることになります。

沓石については、以前1箇所目の薪棚を作った際は延べ石(主屋の土台基礎として使われていたもの)を20cm程度の長さに切って再利用しました。

まだ延べ石は残っているため同じようにして使っても良いのですが、木材で作る予定の3箇所目の薪棚用にとっておきたいと思っています。
と言うことで、同じぐらいの大きさのコンクリート製沓石(□200mm×h150mm、500円強/個)をホームセンターで買ってきました。

コンクリートはできるだけ使いたくありませんが、使うのであれば将来的に再利用できるようにしておきたいと思っています。
このため、これらの沓石を据える際も均しコンクートを敷くのではなく(再利用しにくくなる)、砂利等だけで土決めすることにします(薪棚程度であれば、これで十二分だと思います)。

沓石よりひと回り大きい穴を掘り、底に砂利等を敷いて突き固めます。

砂利等には、以前に土間コンをハツったときに発生したコンクリート殼を残してありますので、それを再利用しています(若干、バラスを混ぜて粒度調整しています)。

水糸からの下がり(今回は270mm)を見ながら、水平器(下写真で青色のもの)で沓石の水平を調整して据え付けます。

ほかも同様にして6箇所の沓石の据え付けが完了。

ところで、薪棚に隣接する外壁の羽目板は4年前の改修工事の際に私自身が張ったものです(と言っても下地までは全て大工さんの手によるもので、私は本当に板をペタペタ張っただけです・・・)。
板が茶色いのはオイルステインで塗装してあるためですが、雨に当たりやすい下部で塗膜が剥がれたようになっているところがあります(塗装後4年経過)。

薪棚を設置すると雨に当たらなくなるものの、その一方で塗装作業がしにくくなるため、薪棚を設置する前に塗装し直しておくことにします。
塗料は当初と同じVATON(オーク色)を使います(今後のメンテを考えて一斗缶で買ってあります)。

そして西面の下半分を塗り直しましたが、下写真ではあまり塗り直したことがわかりませんね・・・(元々、西面は雨に当たりにくいこともあり、当初の油分も残っていて塗り直す必要がない位でした)。

今回、薪棚は主屋の軒下に設置しますが、その地面は元々は粘土で固められていたようです。
それが風化して凸凹が生じているのはまだしも、粉状になった土のところに野良猫が糞をしていくので困っています(放っておくとノミの発生源になります)。
今回薪棚を設置すれば野良猫も糞をできなくなってヤレヤレですが、今後の薪棚の管理のことを考え、凸凹や粉状になっている地面を整地しておくことにします。
整地の方法については、薪棚がカバーになって雨に当たりにくくなるので三和土(水には弱い)が良さそうです。
三和土の施工は大変ですが、以前、ブログで素人大工さんが施工箇所で直練りしてみえるのを読んで、これなら随分と省力化が図れて良いアイデアだと思いました。
今回は、三和土と言っても上を歩くことはありませんので、さらに簡略して施工してみることにします。

まずは、表面の5cm程度を鍬で鋤き起こします。

そこに消石灰を入れて掻き混ぜます。

本来、三和土は叩いて土中の水分を排出させることで、その後のヒビ割れ(乾燥収縮)を防ぎますが、そのヒビ割れ防止のためブログで素人大工さんは砂(骨格)を混ぜてみえましたので、それを真似してみます(と言っても気休め:10kg程度ですが・・・)。

水を加えて本来はここで叩くのですが、砂を混ぜたので省略していきなりコテで均しながら仕上げます(これは「三和土」と呼べるものではないのかもしれませんね・・・)。

要は粘土に石灰と水を混ぜてコテで均しただけですが、意外にも良い感じになりました。

施工箇所を上空から眺望。

これまでは上写真で奥側のように、野良猫や雨だれの跳ね返りを防ぐため古瓦を並べてあって見苦しかったのがスッキリしました。

薪棚設置(5)鼻栓そして完成

前回、材を加工して土蔵の庇下に組みました。

ところで、この薪棚はホゾ組みによる構造としていますが、土蔵への通気を確保するため、外周に土台を回さずに直接、柱を建てています。

一般的な木造建築物のように土台に柱を建てれば、柱は土台により固定されてズレることはありません。
一方、今回のような場合、仕口箇所が緩めば柱がズレてしまうことになります。
木工のような小物であれば仕口にボンドを塗って固定することもできますが、この大きさのものにボンドはさすがに厳しいです。
木造建築物において、ボンドを使わずに仕口を固定する方法はもちろんあり、その一つは「込み栓」と呼ばれるもので、我が家(古民家)でも用いられているのを目にします。

柱を貫通させて仕口に角材を打ち込むことで固定するわけです。
理屈は単純なものの、私のような素人が手を出せるようなものではありません。
角材の代わりに長い釘(コーススレッド)を打ち込んでも、ある程度は同じ役割を果たしそうです。
今回のような薪棚であれば、それで十分かもしれませんが、せっかくホゾ組みにするのに金物を使っては面白くありません。
他に方法はないものかと思っていると、今回薪棚を設置する土蔵の庇の仕口(下写真で朱色矢印)が目につきました。

柱と梁の仕口を「鼻栓」と呼ばれる方法により固定してあります。

「込み栓」は柱を貫通させて角材を打つのに対し、「鼻栓」は柱を突き抜けるようにホゾを長くして柱から出たところに楔状の角材を打つことで仕口を固定するわけです。
これなら私のような素人にもできそうだと思い、材を刻む際、ホゾに鼻栓を打てるようにしてあります。

ところで、この鼻栓用の穴を掘る際、参考にするため土蔵庇の鼻栓をよく見たところ穴が柱側に1分(3mm)程度大きくあいていることに気づきました。

この鼻栓は3年前に大工さんに施工していただいたものですが(写真で材が古く見えるのは古色塗りしてあるためです)、とても間違って穴をあけるような大工さんではありません。
何か理由があるはずだと考えてみると、なるほど!こうしておくと楔を打つごとにホゾが引っ張られて仕口が確実に固定されるわけです。

と言うことで大工さんの真似をし、既に桁や梁のホゾには鼻栓用の穴(30×15mm)を下図のとおり柱側に1分(3mm)ずらして掘りました。

鼻栓の穴に打ち込む楔を準備します。
薪棚の端材(杉)から穴のサイズ(30×15mm)に合わせて15mm厚で木取り。

これを楔状にカット。

こうして作った鼻栓を打ち込みます。

打ち込むごとにホゾが引っ張られてくるのを感じます。
これなら仕口が緩むことはありません。
ただ、上写真のような地面に近い箇所だとホゾや鼻栓が傷みやすいだけでなく、ホゾに蹴躓く可能性もあります。
やはり、本来は土台を回して柱を建てるなり、込み栓により仕口を固定すべきなのでしょう。

こうして仕口は固定できましたが、実はまだ完成ではありません。
下写真で朱色着色で示す箇所に、積んだ薪が崩れないようにするためのストッパー的なものが必要なのです。

筋交いのようなものを入れる手もありますが、この場所に筋交いは無意味なため単純に垂直に2本の角材を入れることにします。

角材は手元にある野縁材(廃材)を再利用することにし、柱と面一になるように梁側を丸ノコを使って切り欠きます。

こうしたところで丸ノコを使うのは大変危険です。
そもそも材の刻み時に加工しておけば、こうした危険はことしなくても済むワケで、設計時に「後で考えれば良い」と思って横着した結果です・・・。

ともあれストッパーの角材を取り付け。

追加分の材にも塗装すれば(オイルステイン:VATON)、薪棚の完成です。

この薪棚は前後に2列積むタイプのため、後列の薪を出し入れできるように後方に通路的なスペース(幅60cm)を設けてあります。
どれだけの幅を確保すれば良いのか設計時に迷いましたが、60cmもあれば十分、薪を持って出入りできそうです。

薪棚が完成したので早速、雨ざらしになっている薪を運んで収納します。

やはり薪棚にちゃんと収納すると良いものです。

今回収納した薪は1年半前に伐採したものです。
前列(下写真で右側)がクロガネモチ(広葉樹)で、後列がスギ(針葉樹)です。

それぞれ1列(2.1×1.4×0.35≒約1m3)におよそ一杯です。
クロガネモチもスギも樹高15m程度の大きな樹だったのですが、薪にすると1本で約1m3になると言うことですね。