古民家再生」カテゴリーアーカイブ

雨水対策(13)雨水浸透排水路

当地では先日梅雨入りしました。
今後本格的な梅雨を迎えるに当たり、雨水排水のことが気になってきます。
昨年の今時分には、その対策として雨樋排水路の延長を行いました。


(雨樋の延長)


(排水路の延長)

これらは、過去に裏山の斜面(下図で左下)が崩壊したことがあることから、その再発を防ぐために講じたものです(他にも土留め設置等)。

この箇所については、ひとまず片付きましたが、実はもう1箇所、気になっているところがあります。
それは上図で朱色丸印の箇所で、3棟(主屋、倉庫、土蔵)からの雨樋の排水が集まるところです。
ここは土が流出し凹地になっており、排水不良から年中ジメジメしているのです。

主屋と土蔵は、ここに接する角がシロアリ被害にやられていましたが、この排水不良の影響もあったのではないかと思っています(倉庫は鉄骨造り)。

そもそもこの箇所の土が流出した原因については、建物からの雨水排水量の多さに加え、除草剤の多用により裸地になっていたこともあると考えています。
除草剤については既に使用を止め、雑草(の根)の力を活かすようにしています。
一方の排水量の多さについては建物を除去しない限りは減らすことができませんので、排水路を設けて排水性を改良するしかありません。

こうした場合の排水路にはコンクリート製のU字溝を使うことが多いと思いますが、その場合、途中で雨水が地中に浸透することはほとんどありません。
これに対し、今回の場合は、流末となる山の斜面が雨水排水の勢いによりえぐられているため、可能な限り地中に浸透させて山への排水量を少なくしたいと思っています。

ちなみに、このえぐれた箇所は、数年前から古瓦を細かく砕いたものと土砂を互層にして盛って安定化を図っています。

雨水を地中へ浸透させるにはコンクリート製のU字溝ではなくて昔ながらの土水路が良いわけですが、土水路だと直ぐに埋まってしまって大変だろうと思い、なかなか手を付けられずにいました。
そんな中、これはと思ったが、以前のブログ記事でも紹介した畑の畝立てにおいて溝部分に竹を投入する方法です。

土水路にも同様に竹を投入すれば、溝が埋まりづらく、いずれは埋まるにしても竹が残っている限りは一定の排水機能は維持されるはずです。

愚案かもしれませんが、何事もやってみなければ分からないと言うことで、早速取り掛かることにします。
水糸を張って、排水路の位置を決めます。

幅、深さともに30cm程度、地面を掘って溝を設けます(掘り起こした土は凹地を盛るのに使用)。

地面を掘ったところ、排水路の末端箇所で土管が出てきました。

土管の位置・高さから、昔も同じ位置に排水路があったようです。

土管の先も掘り起こしてみます。

写真では分かりづらいですが、土管の先には石が敷き並べられています。

地面がえぐられないようにするための減勢工のようです。
ここまでしてあったとは驚きです。

掘った溝には竹を投入します。

<続きます>

井戸の再生(26)井戸側(ガワ)の隙間

以前、井戸近くの植栽などを整備した際、井戸側(いどがわ、井筒)沿いに穴があいているのを見つけました。

穴は井戸内まで繋がっており、このまま放置すれば、雨水の流入とともに穴が拡大する恐れがあるため、応急措置として波板を被せてあります。

ちなみに下写真も我が家の敷地内にある井戸ですが、放っておくとこうなり、最終的には井戸側の落下や孔壁の崩壊に至るわけです。

上写真の井戸は元々は隣家のもので、隣家は昭和10年代に町に引っ越したと聞いていますので、使用しなくなって80年近くが経過しています。
その点、今回の井戸は昭和30年代に簡易水道が供用されるまでは使われていましたので、まだ?50年程度です。
家屋や器具類もそうですが、井戸も使わなくなると老朽化が進行するのかもしれません。
井戸(自体+周辺の水循環)の維持のためにも、今回の井戸も再利用することを考えていますが、それ以前にまずは不良箇所の手当てです。

今回の穴は比較的小さいため、粘土を充填して塞ぐことができそうです。
粘土は主屋の改修工事で発生した壁土を再利用します。

ただ、充填する際に1箇所に力が掛かると地面を崩してしまいそうにも感じるため、シュロ(棕櫚)の皮を敷いて力を分散させることにします。

シュロ皮の繊維は強度がある一方、天然素材ですので、いずれは朽ちて無くなってくれます。

シュロ皮は下写真のとおり荒壁の貫伏せを施工する際にも使われたように(現在は主に寒冷紗を使用)、粘土(壁土)との相性が抜群です。

さらに粘土を盛り、井戸側が高くなるに水勾配をつけます。

「井戸に直接、地表水を入れてはいけない」と聞いたことがあるような気がしますが、これは衛生面だけでなく、井戸側や孔壁を保護する意味合いもあるのかもしれません。

ついでに別の3辺も確認しておきます。
背面側です。

井戸側沿いに小石がたくさん置かれています。

表面の石を取り除いてみます。

植物の根が張って良い感じですが、よく見ると井戸側沿いに小さな隙間が生じています。

水勾配をつけるため粘土で盛り土するとともに隙間を塞いでおきます。

ちなみに粘土の表面がテカテカしているのは鏝を使っているためです。
壁でもあるまいし鏝を使う必要はないのですが、鏝を使うと手のほうに土が付いてくることがないため作業性が良いです。

続いて正面側。

井戸側に沿って生えているのはアイビーと言う蔓植物ですが、適度であれば地面を強固にしてくれますので、無闇に抜いたりはせず活かすことにします。

ただ、水勾配をつけるためアイビーを少し整理したうえで盛り土します。

残る1辺については自然石の流しが置かれているため、そのままにしておきます。

この状態で1年程度様子を見て、来年にはポンプを設置して再利用できるようにしたいと考えています。

上写真で手水鉢があるところまでは配管(別の井戸系統)が来ていますので、そこへ接続してやれば、水源の複数化を図ることができます。
また、配管する際に地面を掘りますので、ついでにもう1本入れて手押しポンプを設置すれば、自然石の流しも使えるようになりそうです。

<続きます>