古民家再生」カテゴリーアーカイブ

古民家の自然換気(29)天窓用シェード①検討

昨年、採光と自然換気を図る目的で主屋の古民家に竹天井を設けました。

竹同士の隙間から光や空気が出入りするわけですが、冬季は暖かい空気が逃げてしまわないように、竹天井の上に断熱用のプラダン (ポリカーボネート)を設置してありました。

暑くなってきましたので、いよいよプラダンを上げ(下写真で手前側の状態)、換気を図るとともに外気をふんだんに取り込むことにします。

時代の流れは住宅の気密性を高め、冷房効率を上げる方向にありますが、我が家はその真逆で気密性の低下(昔の状態に戻す)を志向しています・・・。

採光のための天窓は2箇所あり、もう1箇所は下写真のとおり障子天井にしており、こちらも開閉が可能になっています。

ところで、屋根に設けられている天窓(ガラス瓦)ですが、採光により居室内が明るくなって良い反面、夏季は日差しが強過ぎるように感じています。

それでも1Fの居室については竹(天井)や障子(天井)がシェードになって日差しが和らぐため問題ないものの、2F(厨子、小屋裏)はまさに温室状態です。
厨子2Fは電気配線などの管理用として使っているだけなので暑くても構わないのですが、厨子2Fの暑さは1Fの居室まで(土壁などを通じ輻射熱として)影響を与えると思います。

夏季のエアコンへの依存を減らすためには、居室は暗くなるとしても、天窓側にもシェードを付けて採光量を減らすほうが良さそうです。
こうしたシェードとして耐候性のある布状のものがホームセンターで売っていますし、使わなくなったレースのカーテンを取り付けても良いかもしれません。

一方、天窓にはガラス瓦(1箇所4×3枚)を用いていますが、瓦の構造(隙間あり)から強風時に細かいゴミが入ってくるのは避けられません。

このためゴミを受けるものを設けたいと思っていたのですが、このゴミ受けとシェードを兼用できそうです。
ゴミの掃除やシェードの入れ替え(夏は半透明、それ以外は透明)のことを考えると、屋根の下地材(垂木)に枠を取り付け、これにプラダン(透明⇄半透明)を抜き差しできるようにしてはどうかと考えました。

シェード(枠)の大きさは少なくとも天窓をカバーするものとし、具体的には幅は垂木(2寸角)の間隔(尺2寸)から1,150mmとし、奥行きはプラダン幅910mm+αとしています。
また、棟に対して直角方向でプラダンを抜き差しするほうが使い勝手が良さそうですが、母屋桁が邪魔をするため水平方向で抜き差しするようにしています。

この大きさをもとに図に起こしたものが下図になります。

枠材は24mm×29mmの角材を用いるようにしています。
プラダンの厚さ4mmに対して溝を6mm幅で切るとすると、枠材の厚さは20mm強(溝幅の4倍程度)あれば十分そうです。
そこで手元にある杉の間柱(105mm×30mm、500円程度)から木取りするものとして、24mm(≒105÷4mm)×29mm(≒30mm)としています(間柱1本でシェード2箇所分の木取りが可能)。

<続きます>

雨水対策(14)コンクリート殼の再利用と減勢工

雨樋の排水が集まる箇所(排水不良)の排水性を改善するとともに、地中への雨水浸透も期待し、竹を利用した排水路(土水路)を設けることにしました。
そして前回、溝を掘って竹を投入するところまでできました。

竹の投入について、畑の畝作り(下図)であれば、まだ分かる話しかもしれません。

しかし、排水路に竹を入れるなんて言うことは、わざわざ水の流れを阻害しているようなもので、一般的な土木構造物ではあり得ないはずです。

さすがにこんな馬鹿なことをやっている人はいないだろうと、ネットで検索してみました。
そうしたところ、「大地の再生(講座)」に取り組んでみえる方のブログを見付け、そこに大地の通気性や透水性の改善を図るため、溝に竹や炭などを投入するとあります。

雑木の庭造り(高田造園設計事務所)

竹を投入することについて、私自身は単に溝を埋まりにくくすると言う物理的な側面からしか考えていませんでしたが、「大地の再生講座」ではこれで動植物の力も活かすことも考えられており、本当に目からウロコの内容です。
さらには、コンクリート殼でさえ溝に入れて利用すると言う事例も掲載されています。
このコンクリート殼の再利用は、「大地の再生講座」の矢野智徳さんが阪神淡路大震災で大量の瓦礫がゴミにされるのを見て始められたそうです。

DIY施工でもハツリなどでコンクリート殼が発生することがあります。
発生したコンクリート殼は、最後まで責任を持つという意味で敷地外に搬出処分するのではなく、可能な限り再利用(コンクリートの骨材など)していますが、それでも径が大きいもの(直径40mm以上)は使う当てがなく敷地内に仮置きしてある状況です。

奇遇にも今回の排水路に隣接した場所に仮置きしてあり、まさに出番を待っていたのかもしれません。

「大地の再生講座」の知恵を拝借し、排水路(竹の上)にコンクリート殼を投入します。

嵩上げのため、さらに竹を投入してコンクリート殼をサンドイッチします。

最後に剪定屑で被覆します。

これで排水路本体は完成ですが、前回地面を掘り起こしたところ、排水路流末の地中から昔の土管と減勢工が出てきました。

土管は2本あり、その内の1本は状態が良いため再設して流末部(段差部)を下写真のとおり処理します。

その後の降雨時に状況を確認すると・・・

これだけ水の勢いがあると草は生えづらく、地面がえぐられてしまいます。
やはり、元々あったのように減勢工を設ける必要があります。

以前行った敷石(石畳)作りと同様に石の形状を見極めて組み上げます。

その後の降雨時の状況。

良い感じで流れており、見ていても気持ち良くなります。
前回の降雨時は水が濁っていましたが、今回は濁りが取れています。
排水路に投入した竹やコンクリート殼が泥を濾してくれているのかもしれません。

排水路を設けたことで通路に排水が流れることはなくなりました。
今後は雑草の力とともに土の流出は抑えられることでしょう。

天然石を使った減勢工が良い感じのため、別の雨樋流出口(外便所の解体に伴う雨樋の移設箇所)にも同様に設けることにします。

石積みに使うには少し小さい石も、こうした用途に使うことができますね。

<続きます>