月別アーカイブ: 2017年7月

古民家の自然換気(8)土壁の補修(荒壁)

前回、吊り天井などを撤去しました。

その結果、これまで隠れていた差し鴨居や土壁が現れました。

隠れていた箇所(上写真で左側)の土壁は漆喰仕上げであることが分かりました(上写真は漆喰を剥がした後)。
右側の土壁も元々は漆喰仕上げだったのだと思いますが、その後の塗り替えにより現在は砂壁仕上げになっています。
このように左右で異なっていますが、一連の壁ですので仕上げも統一させるつもりです。
この部屋には薪ストーブがあるのですが、その薪ストーブ導入の際に背後の壁を漆喰仕上げとしたことから、この壁も漆喰仕上げにする予定です。

また、上写真で朱色丸印の箇所は、15年前のリフォームにおいてコンセント等を設置するため壁土が削り取られています。
傷は荒壁まで達していますので、荒壁、中塗りの順で補修することにします(この程度であれば中塗りの一発で補修できるのかも)。
これらの補修が終わった後、全面を漆喰で上塗りすることになります。

補修箇所は下写真の計3箇所です(3箇所目は小壁が接続していたところ)。

壁土は一昨年の改修工事で発生したものを再利用します。

既存の土壁に水打ちした後、中塗り鏝を使って塗りつけます。

泥遊びのようで楽しい作業です(^_^)

中塗りで既存壁の面(ツラ)に合わせますので、2〜3分程度(中塗り厚)控えています。

中塗り部分の補修は、今回補修した荒壁部分が完全に乾燥してから行う予定です。

ついでに右側部分の上塗り(砂壁)も剥がしておきます。
壁に水打ちしても剥がせますが、水が滴り落ちて厄介なので下写真の剥離材を用います(以前参加した壁塗りワークショップで教えてもらいました)。

上塗りするように剥離材を塗りつけます。

数分待って、ヘラなどでこそぎ落とします。

砂壁をこそぎ落として現れたのは中塗りではなく、クリーム色をした下塗り材です。

下塗り材も同様にこそぎ落として、中塗りが現れました。

<続きます>

古民家の自然換気(7)吊り天井の撤去

前回、台所側と居間側を分断していた垂れ壁などを撤去したことで、幾分スッキリした感じになりました。

<ビフォー>

<アフター>

ところで、上写真の点線で示すように大黒柱と副大黒とを差し鴨居が結んでいるのだと思いますが、以前のリフォームにより差し鴨居の半分程度が隠れた状態になっています(昭和40年代から隠れた状態にあります)。
これらに格子戸の下にある差し大引(敷居)を加えた四部材が、我が家のカナメとも言える部分ですので、全体が見えるようにしたいものです。
ただ、隠れている部分はひょっとすると過去のリフォーム等において無残な姿になっている可能性も無きにしもあらず。

いずれにせよ剥がさないことには分かりませんので、吊り天井(石膏ボード+クロス)とともに撤去します。
相変わらず石膏ボードの粉塵にはうんざり・・・。
とりあえず石膏ボードを撤去したことで、隠れていた差し鴨居などが現れました。

差し鴨居は少し傷があるものの、古色塗りで目立たなくなるレベルのようです。
ただ、上貼りにより通気がなかったため虫にとっては居心地が良かったようで、他の部分に比べてキクイムシによる被害(穿孔)が多くあります。

続いて、野縁等の下地材も撤去します。

吊り天井が無くなった状態で見上げると下写真のとおりです。

ダイナミックな感じや開放感があって、これはこれで良いものです。
大屋根まで吹き抜けにしている古民家再生の事例を見かけますが、確かにそうしたくなります。
ただ、夏は良いとしても(特別な対策をしない場合)冬が辛そうですので、我が家の場合は採光用の窓を設け、天井裏の一部を見える程度にするつもりです。

ところで、解体撤去に伴い、僅かな面積にも関わらず大量の廃材が発生しました。
木材は釘を抜いて再利用(野縁材)したり、薪ストーブの焚き付け(胴縁材)として使えますが、石膏ボードについては専門業者に処分を依頼せざるを得ません。

石膏ボードは非常に安価(坪700円程度)ですが、買うよりも処分費のほうが高いという厄介な代物です。
処分費は上がる一方かと思いますので、処分費を含めたトータルコストや環境負荷を考慮し木材を採用するということが今後はあり得るのかもしれませんね。

<続きます>