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手押しカンナのメンテナンス(2)モーター分解

手押しカンナをメンテすることにし、前回、ボールベアリングを主軸(カンナ胴の回転軸)から引き抜くところまでできました。

ベアリングは主軸だけでなく、モーター(アマチュア軸)にも使われています。
アマチュア軸のベアリングも不具合があるかもしれませんので、こちらも交換を前提にモーターを分解・点検することにします。

モーターは下写真のとおり筐体と電源コードでくっついています。

このままでは作業しにくいため離したいところですが、電源コード(コードガード)が筐体の壁を貫通しているため分離するには電源コードを切るしかなさそうです。
配線を確認すると、組み立て時に圧着端子(下写真で朱色矢印。絶縁閉端子)でコードどうしを接続してあることがわかりますので、その箇所で切断することにします。

モーターだけになって扱いやすくなりました。

アマチュア(電機子)を引き抜く前に一応、カーボンブラシをはずしておきます(アマチュアのコンミテータ部を傷つけないようにするため)。

カーボンブラシは減っているものの、まだしばらくは使える長さが残っています。
ただ、カーボンブラシを交換する手間のことを考えると(今回はモーターをはずしてあるため容易に交換可能)、この機会に交換しておいたほうが良いようにも思いましたが、結局交換せず・・・。

そして、アマチュアを引き抜きます。

こちらも先の主軸と同様、軸の両側にボールベアリングがついています(上写真で朱色矢印)。
ところで、上写真にも写っていますが、モーター内におが屑が混じった綿埃が大量に入っています。
ピンセットで取り除き始めたものの、細かいところまで入り込んでいるためエアダスターで吹き飛ばすことに。

綿埃は異音の原因ではないと思いますが、放置すればモーター焼けにつながりかねず、今回モーターも分解・点検しておいて良かったです。

アマチュア軸にもプーリーがついています。
これも主軸と同様にネジ(アマチュア軸側は逆ネジ)で取り付けられているはずですが、固く締まっています。
バイスでくわえれば溝を痛めかねないためアマチュアベアリングプーラで掴んで回転させることに。

プーリーをはずせたらベアリングを引き抜きます(アマチュアベアリングプーラ使用。下写真にはベアリングが1個しか写っていませんが実際には2個あります)。

ボールベアリングは主軸、アマチュア軸とも同じですが、プーリー側(下写真で右側:内径12mm)とその反対側(左側:内径10mm)で少し大きさが異なるものが使われています。

ボールベアリングはNTN社の製品が使われており、それぞれの型番は(小)6200LLB、(大)6201LLBになります(LLB:両側非接触ゴムシール形)。
NTN社はテレビCMでもお馴染みの会社ですし、ベアリングの代名詞とも言える存在です。
最近は安価な互換品(Made in CHINA)も入手できますが、今回は肝心要の箇所に用いますので信頼のNTN製を購入。

このサイズのものですとNTN製のものでも1個300円もしませんので、4個全てを交換しても1,000円程度です(互換品だと、その半額程度)。

ベアリングは軸に差し込んで取り付けますが、当然のことながらベアリングの内輪側を押します。

私のような素人作業では、内輪のサイズに合ったソケットレンチを使うことが多いようですが、今回はプーリーがある分、奥に入れる必要があるためプラグレンチ(ソケットレンチよりも高さを稼げる)を使用しました。

ちょうど、モーター(アマチュア)とカンナ胴が並びましたので、その関係を写真に加筆してみました。

モーターの動力をVベルトでカンナ胴に伝達。
そして、カンナ胴に取り付けたカンナ刃を高速回転させて木材表面を切削するわけです。
こうして見ると単純な仕組みですし、基本的に電動工具はこれをベースにして刃の形状や動き方にバリエーションがあるだけのように感じます(今回、この手押しカンナのメンテができれば他の電道工具もメンテできる!?)。

さて、ベアリングを無事交換できましたので、今度は逆の手順で組み立てていきますが、その前に定盤や筐体を掃除しておくことにします。
定盤の裏はオガ屑のほかグリス汚れが付着しているためパーツクリーナーで除去。

筐体の表面には樹脂状のものが全体に付着しているためパーツクリーナー等で除去してキレイにしたいところですが、樹脂製のため水拭きするに留めます。

裏側も隙間に詰まったオガ屑等を取り除いておきます。

<続きます>

手押しカンナのメンテナンス(1)ベアリング交換

1年前、集塵機のメンテナンスとして電源コードの交換などを行ったブログ記事をUPしました。

先般、そのブログ記事に「とても参考になった」との嬉しいコメントをいただきました(^_^)
ブログ記事にするときは、ブログのテーマ(里山や古民家の再生)から離れているようにも感じ、どうしたものかと思ったのですが、こうして参考にしていただけたとのことで記事にしておいて良かったと思っています。
まあ、里山や古民家の再生には集塵機を含む各種道具が不可欠です。
その道具も再生と言うことで、今後は道具のメンテナンスも積極的に取り上げていきたいと思います。

ところで、私はiPhoneを使っているのですが、その液晶画面にヒビ割れが生じたため先日、自分で交換しました。
もちろん、私のような素人が自力だけで作業できるわけがなく、iFixit(修理を愛する人たちが作った、あらゆるモノへの修理ガイド)と言うサイトにUPされている詳細な手順を参考にさせていただきました。
このiFixitは「使い捨て消費社会からの脱却」(下図のリペアマニフェスト)を目指して様々なデバイスの修理情報を公開しています。

このリペアマニフェストに「修理できないのなら、所有していることにはなりません」とありますが、まさに同感です。
修理できないと言うことは、壊れた途端にゴミになると言うことです。
「ゴミを所有する」なんて表現しないように、そのようなゴミと紙一重のものは所有することにはならないと言うことなのでしょう。
iFixitが対象にするのはデジタル機器をはじめとする各種デバイスですが、同じことが大は住宅から小は玩具まで多くの物について言えるかと思います。
昨今、断捨離がブームになっているのには様々な理由があると思いますが、そのひとつにはこのような「所有している」と呼べないような代物に対する人々の潜在的な嫌悪感があるように思えてなりません。
一方、先にメンテナンスした集塵機を含む電動工具類は業務用と言うこともありますが、修理する前提で設計・製造されているのが本当に素晴らしいですし、こうしたものであれば「所有している」と呼んでも良いのではないでしょうか。

と言うことで、再びボロい電動工具(下写真の手押しカンナ)をヤフオクで入手しましたのでメンテして使えるようにしたいと思います。

手押しカンナについては、以前に自動カンナと一体になったものを所有していたのですが、使用頻度が少ないことから処分(ヤフオクで売却)しました。
しかし、小物をちょっとカンナ掛けする場合などに便利だったなあ・・・と処分したことを後悔して今回、場所を取らない小型のもの(切削幅5寸)を買い直しました。
買ったのは上写真のとおりかなり汚いだけでなく、肝心のカンナ刃や安全カバーも無くなっていて、このままでは使える状態ではありません。
しかし、この手押しカンナも修理が可能な製品で、必要な部品をメーカーから取り寄せられます(部品代は1万円もかからないとして本体の購入金額とあわせて2万円以内に収まるだろうと目論んだわけですが・・・)。

とりあえずモーターの動作を確認するためスイッチを入れてみると爆音が!!
単に音が大きいだけでなく、あきらかに異音で、私のような素人でも主軸かモーター軸のベアリングが逝っているのがわかります(涙)
そう言えば、出品者の説明に「少し動作音が大きい感じがします」とあったのを思い出しました。
恐るべしヤフオク・・・。

この調子だとほかにも悪いところがありそうですので、全て分解して確認することにします。
まずは、定盤を筐体からはずしたうえ、定盤の裏に取り付けられているモーター(下写真で紺色)及びカンナ屑排出用の筒(下写真で黒色)をはずします。

そうするとカンナ胴が現れ、その両側にベアリング(下写真で朱色矢印)があることがわかります。

上写真で奥側(プーリーの付いていないほう)のベアリングを側面から確認すると・・

ベアリングの各ボール間にある保持器が壊れたり無くなってしています。
それに、このような機械で使われるボールベアリングは普通側面がシールされているはずで、そもそもこうやってボールが見えること自体おかしいです。

反対側のベアリングはプーリーの奥に位置して確認できませんし、いずれしてもベアリングを交換する必要があるため主軸(カンナ胴の回転軸)を定盤からはずします。

ベアリングを引き抜く前にプーリーを何とかする必要があり、ベアリングのように軸に差し込んであるのだろうと思って引き抜こうとするもビクともしません・・・。

こうした場合によくやってしまうのが力任せに作業して部品を痛めたり壊してしまうことです(怪我や事故につながる可能性も)。
急いで作業する必要は全くありませんし、こうした場合は一旦作業を中止するのが吉です。
そうすると意外と新たな考えが思い浮かぶもので、今回の場合、プーリーの回転と逆方向のネジで取り付けられているのではないかと思いつきました。
実際やってみると、そのとおりで、無事取り外せました!(主軸側:正ネジ、モーター側:逆ネジ。下写真で主軸の先端にネジ切り加工が施されているのがわかります)。

プーリーを無事はずせたので、本題のベアリングです。
ベアリングについては専用の治具(アマチュアベアリングプーラ。下写真で左側)がありますので、それを使って引き抜きます。

ベアリングの状態を確認すると、プーリー側のベアリングについては特に問題なさそうですが、こうしたものは両側同時に交換するのが基本かと思います。
また、ベアリングは主軸だけでなく、モーター(アマチュア軸)にも使われていますので、この機会にモーター側のベアリングも新しいものに交換しておくことにします。

<続きます>