きつくり(庭木の剪定)」カテゴリーアーカイブ

庭木の剪定(31)生垣を低く仕立て直す

毎年秋に行なっている庭木の剪定はほぼ10月のひと月で終えられました。

以前は年内に終えられなかったことから1/3以上の短縮を図れたことになります。
その要因はいくつかありますが、そのひとつが大きな庭木を低く仕立て直したことです。
低くすることで剪定の手間が減るだけでなく、木に登る必要がなくなり安全にもなります(樹高を4.5m:10尺の三脚+身長:未満にしています)。
下写真のカイズカイブキは2年前に朱色破線のところまで低く仕立て直しました。

上部を切ったわけですが、そうすると頭でっかちの樹形になってしまいます。
そこで、頭のほうの玉(玉散らし仕立て)を小さくして自然な樹形に戻しますが、木への負担を考慮すると1年に少しずつ行うしかありません。
こうして昨年に剪定した後の状態が下写真になります。

最も上段の玉は既に小さくなっていますので、今年は上写真で朱色線の2段目の玉を小さくすることに。

少しはマシになったかな?

ところで、このように大きな木を低く仕立て直すことに対して心配したのが、木が暴れるのではないかと言うことです。
上部を切っても枯れることはないにしても、相当な強剪定になることから徒長枝や胴吹きが出まくるのを覚悟していました。
しかし、意外なことにいつもと変わりません。
カイヅカイブキの場合、強い剪定を行うと先祖返りして杉ような葉に変わることがありますが、そのようなこともありません。
樹高に対して葉の量が十分にあるため、上部を切って低く仕立て直すようなことをしても木にとって余り負担にならないのかもしれません。

庭木を低く仕立て直すことがうまくいっていることから、同様にして生垣も低くできないものかと思っています。
生垣(槙垣)は初夏と秋の年2回剪定しており、今秋は既に約半分の区間について終えています(下写真)。

上写真のとおり生垣の高さ、幅ともに大きくなりすぎて、まるで堅牢な塀のような感じになっています。
これでは風通しも悪いだろうと、昨年に開口部を設ける形で一部の生垣を撤去しました(上写真で手前側。将来的には公道から車庫へ出入りができるようにする計画)。
この開口部を挟んで生垣は下写真のアプローチへと続いています(下写真は今春撮影)。

今秋、この区間の生垣について低く仕立て直すことにします。
現在、生垣の高さは2m近くありますが、これを大人が立って生垣の向こうが見えるか見えないかぐらいの高さ(路面から1.6m)まで低くしたいと思います。

生垣の天端が路面から1.6mの高さになるように上部を切っていきます。

30〜40cm分を切るだけなのですが、上面は枝葉でびっしり覆われいるため、かなり手間がかかります(木を低くするのは本当に大変です)。
そして、当然のことながら上面は丸坊主になっています。

生垣の樹種は針葉樹のマキですので、丸坊主と言っても枝先に少なくとも葉を残すようにしています。

そして、開口部までの区間が完了。

上面が丸坊主になっているため、天端がガタガタになるのではないかと思ったのが、意外と揃っています。
何より、低くなったことで威圧感が無くなったのが良いです。

開口部を挟んで残りの区間(下写真で奥側)は高いままです。

実はこちらは公道からセットバックする形で畑側に新しい生垣を作っています(ブログ記事にはしていなかったと思います)。
2年前にマキの種を播き、現在、10〜20cm程度まで成長しています。

<写真>

生垣になるまでには10年はかかりそうです。

庭木の剪定(30)刈り込み鋏を研ぐ

今年も10月に入ると庭木の剪定を始めました。
10月に始めても以前は年明けまで続いていたのですが、年々短縮し、今年は既に終えられています。
短縮できた要因にはいくつかあり、そのうちの一つが剪定方法の変更で、松を除いて基本的に刈り込み剪定により行なっています。
その刈り込み剪定で欠かせないのが刈り込み鋏ですが、先日、近所の方との話しにおいて、その方が所有している刈り込み鋏の切れ味が悪いとのこと。
で、現物を拝見すると・・・

ヤニがかなり付着していることもあって、いかにも切れ味が悪そうです。
刃こぼれもありますが、それほど大きなものではありませんので研ぎ直せば切れ味が復活するに違いありません。
ちょうど私が使っている刈り込み鋏も研ぎたいと思っていたところですので、ついでに研いであげようと預かってきました。

ヤニは砥げば取れますが、刃の内側(刃どうしが擦り合う側)は研ぐわけにはいきません。
そこで前処理として溶剤を使って除去しておきます。

泡立っていて市販のヤニ取りクリーナーを使っているように見えるかと思いますが、実はキャブレタークリーナーです。

3回ほど繰り返し、ここまで除去できました。

刈り込み鋏は上写真のように鋏側を固定して研ぎます(砥石は持って使う鎌砥石を使用)。
また、角材を台にして柄に体重をかけるようにしてしっかりホールドすると、ぐらつくことなく一定角度で研ぎやすいように思います。

まずはザッと研いでみます。

砥いだことでヤニが取れ、そこが白くなっているのがわかります。
ただ、よく見ると刃先に黒いヤニが線状に残っています。
つまり、刃先に砥石が当たっていないことになります。

この状態を簡単な模式図(断面図)で表すと下図のようになるかと思います。

刃先が「丸刃」と呼ばれる状態になっており、これでは平面の砥石を前後に動かしても当たらず、結果、黒いヤニがそのまま残った状態になっているわけです。
こうなると少し研いだところで刃は付きませんし、強引に刃を付けようとすると刃が立ってきて悪循環に陥ってしまいます。

これを修正するには下図のとおり丸刃の部分を研ぎ落とすしかありません。

では、鎌砥石の荒砥側を使って研いでいきます(一定角度で!)。
丸刃の部分が無くなると裏側に「返り」が出て刃が付いたことがわかります。
下写真の状態では、まだ先端のほう(朱色丸印)に丸刃が残っています。

さらに研いで全体に刃が付きました。

ここまで来ればあとは容易です。
鎌砥石の中砥側で仕上げます。

刃どうしを連結するネジを調整し、油(オイルスプレー)を塗布して完成です!

試しに新聞紙を切ってみるとサクサク切れます。

ついでに、私が使っている刈り込み鋏も研いでおきます。

マメに研いでいますので、中砥を数回当てるだけで十分です。

10月は剪定だけでなく畑仕事で鎌を使う機会が多かったため鎌も研いでおきましょう。

剪定では刈り込み鋏のほかに剪定鋏も良く使います。
剪定鋏は簡易的にスティック状の油砥石を使って研いだりすることもあるのですが、今回、研ぎ屋さん(いつもは電動工具:カンナ刃を研磨してもらっています)にお願いしました(研ぎ代はホームセンターで超安物の剪定鋏を買うよりも安価です)。

上写真で右側のひとまわり大きいほうは亡き父が使っていたもので、かなり状態が悪かったのですが、新品の切れ味になって帰ってきました!

プロが研いだものを見ると勉強にもなります。

剪定に限らず、畑仕事、山仕事、木工、料理等において研ぎはつきものですし、研ぎはそれらの土台になる大切なことだと思っています。
まあ、最近はホームセンターに980円の刈り込み鋏が売っていたりして、刈り込み鋏でさえ使い捨ての時代になりつつあるようですが・・・。
しかし、1万円程度のそれなりの刈り込み鋏を買ったとしても10回以上研いで使えば安物を使い捨てにするよりも経済的ですし、ゴミも発生しません。
それに何より良い道具を大切に扱えば、作業自体が丁寧に楽しくなります。