井戸再生」カテゴリーアーカイブ

井戸の再生(26)井戸側(ガワ)の隙間

以前、井戸近くの植栽などを整備した際、井戸側(いどがわ、井筒)沿いに穴があいているのを見つけました。

穴は井戸内まで繋がっており、このまま放置すれば、雨水の流入とともに穴が拡大する恐れがあるため、応急措置として波板を被せてあります。

ちなみに下写真も我が家の敷地内にある井戸ですが、放っておくとこうなり、最終的には井戸側の落下や孔壁の崩壊に至るわけです。

上写真の井戸は元々は隣家のもので、隣家は昭和10年代に町に引っ越したと聞いていますので、使用しなくなって80年近くが経過しています。
その点、今回の井戸は昭和30年代に簡易水道が供用されるまでは使われていましたので、まだ?50年程度です。
家屋や器具類もそうですが、井戸も使わなくなると老朽化が進行するのかもしれません。
井戸(自体+周辺の水循環)の維持のためにも、今回の井戸も再利用することを考えていますが、それ以前にまずは不良箇所の手当てです。

今回の穴は比較的小さいため、粘土を充填して塞ぐことができそうです。
粘土は主屋の改修工事で発生した壁土を再利用します。

ただ、充填する際に1箇所に力が掛かると地面を崩してしまいそうにも感じるため、シュロ(棕櫚)の皮を敷いて力を分散させることにします。

シュロ皮の繊維は強度がある一方、天然素材ですので、いずれは朽ちて無くなってくれます。

シュロ皮は下写真のとおり荒壁の貫伏せを施工する際にも使われたように(現在は主に寒冷紗を使用)、粘土(壁土)との相性が抜群です。

さらに粘土を盛り、井戸側が高くなるに水勾配をつけます。

「井戸に直接、地表水を入れてはいけない」と聞いたことがあるような気がしますが、これは衛生面だけでなく、井戸側や孔壁を保護する意味合いもあるのかもしれません。

ついでに別の3辺も確認しておきます。
背面側です。

井戸側沿いに小石がたくさん置かれています。

表面の石を取り除いてみます。

植物の根が張って良い感じですが、よく見ると井戸側沿いに小さな隙間が生じています。

水勾配をつけるため粘土で盛り土するとともに隙間を塞いでおきます。

ちなみに粘土の表面がテカテカしているのは鏝を使っているためです。
壁でもあるまいし鏝を使う必要はないのですが、鏝を使うと手のほうに土が付いてくることがないため作業性が良いです。

続いて正面側。

井戸側に沿って生えているのはアイビーと言う蔓植物ですが、適度であれば地面を強固にしてくれますので、無闇に抜いたりはせず活かすことにします。

ただ、水勾配をつけるためアイビーを少し整理したうえで盛り土します。

残る1辺については自然石の流しが置かれているため、そのままにしておきます。

この状態で1年程度様子を見て、来年にはポンプを設置して再利用できるようにしたいと考えています。

上写真で手水鉢があるところまでは配管(別の井戸系統)が来ていますので、そこへ接続してやれば、水源の複数化を図ることができます。
また、配管する際に地面を掘りますので、ついでにもう1本入れて手押しポンプを設置すれば、自然石の流しも使えるようになりそうです。

<続きます>

井戸の再生(25)井戸浚い

前回、エアーリフトポンプを改良しました。
その結果、エアーリフトポンプで効果的に揚水するためには、揚水管に応じた送気量(多くても少なくてもいけない)を設定することが重要であることがわかりました。

この結果を踏まえ、VPφ20(直径20mm)の揚水管に対して空気吐出量80L/min(10kPa時)のブロワで送気することで井戸浚いを行っていくことにします。

【7月23日】
1時間ほどエアーリフトポンプで揚水して井戸浚いを実施(下写真は井戸浚い後)。

【7月30日】
このところ降雨がないため、水位が1週間前に比べ相当下がっています(下写真は井戸浚い前)。

上写真の状態から井戸浚いを開始。
2時間ほどエアーリフトポンプで揚水したところ、井戸内の水が無くなってしまうのではないかと思うほど水量が減りました(実際にはこれでも1mほどの水位があります)。

水位の低下に伴い揚水の勢いが落ちてきたことから、この日の井戸浚いはこれで終了。
エアーリフトポンプでの揚水には空気吐出口において一定の水位(1m程度?の水頭圧)が必要であるようです。
そして、その水頭圧(hs)が大きいほど揚水量(Vw)が増すように感じましたが、その辺りのことを下記リンク先に記載の「エアーリフトの揚水公式」が示しているのかもしれません。

論文「エアーリフトポンプ(Air Lift Pump)の設計理論」

しかし、これほど水位が下がるということは、この井戸は既に枯れており、地表から流入した雨水が溜まっていただけではないのか?とも感じます。
作業時以外は、簡易屋根(ブルーシート)をかけるなどして雨水が直接入らないようにしていますので、今後、水位がどう変化するか注視することにします。

【8月6日】
先の井戸浚いから1週間経過。
井戸の水位が回復していることから、井戸は枯れてはいないようです。

相変わらず濁っており、井戸底の状態は分かりません。

2時間ほど揚水するも、この日は水位低下がみられません。
台風による降雨があったため、充分な地下水量があり、減った分が直ぐに供給されるのかもしれません。

ヘドロ状のものは所々で出てくることはありますが、頻度・量ともに減ってきました。
また、以前は揚水すると周囲が多少悪臭に包まれたのですが、そのようなこともなくなりました。

【8月13日】
水位は高く、濁りもあります(下写真は井戸浚い前)。

猛烈な暑さですが、水遊びのような感じの作業で、しかも井戸水の冷たさで暑さも苦になりません。
ヘドロの臭いも無くなったため、缶コーヒーを飲みつつ!?作業してます。

【8月19日】
水位や濁りに大きな変化はなく、この日も1時間半ほど井戸浚いを実施。

ヘドロが出てくることはほとんどなくなり、土砂も大半は取り除けたように感じます(濁りがあるため確認不可能)。

作業後(作業前のほうが良いのですが)、濁りを確認するため採水。

昨年ポンプを設置した井戸のもの(下写真)と比べると全然違います。

いつかはこのように澄んだ井戸水になると良いのですが。

そう言えば、ポンプを設置した井戸の近くにはアマガエルがやって来るようになりました。

井戸水を使った際、竹の給水栓カバー(上部の節部分)に水を貯めておいてやるのですが、プールのように水に浸かることができて気持ち良いのでしょうね。

カエルは水浴び、そして私はこの夏、週末の井戸浚いで海に行かずとも日焼けすることができました・・・。

井戸浚いについては、これで一区切りがついたように思いますので、この状態でしばらく(来春頃まで?)水位や濁りなどの変化をみることにします。

続きます