日別アーカイブ: 2020-04-01

果樹園の再生(25)イチジクの挿し木

前回、ビワの接ぎ木を行いました。

果樹の増殖は接ぎ木により行うことが多いですが、接ぎ木は技術的な難しさに加え、台木の栽培など色々と大変です。
それを思うと1本800円程度で市販されている接ぎ木苗は本当に安いものです。
それにも関わらず私が接ぎ木を行うのは耕作放棄地などに植えるのに数を必要とするほか、できるだけ自然樹形(主幹形)で生育させたいと思っているからです。
市販の接ぎ木苗は主幹が大きく切り詰められた状態で販売されていますが、このため余程樹勢の強いもの(スモモ等)でない限り、自然樹形(主幹形)に復帰させるのは現実的に不可能だと感じています。
もちろん、苗木の栽培農家が無駄に切り詰めているわけではありませんが、山の木のように自然な形で生育させようとする場合には致命的な一手になりかねません。
そんなわけで「接ぎ木」にトライしているのですが、先に書いた通り色々と大変で、よく「挿し木」ができないものかと思います。
しかし、果樹で挿し木ができるものは少なく、思い付くのはイチジクとグミぐらいでしょうか。

イチジクと言えば、2年前に接ぎ木苗(蓬莱柿)を植え付けたものが、既に3mを超える高さにまで大きくなっています。

さすが挿し木が可能なだけあって成長力も旺盛です。

しかし、こうして急激に成長するものは根による支えが追いつかず、風で幹が折れたり、倒れたりしやすいもので、このイチジクの木も昨年8月の台風襲来により傾いてしまいました。
下写真が杭を追加して補強しているときの様子です。

このときには既に下写真のとおり結実しており、その後、熟して初収穫に至りました。

木も大きくなっていることから挿し木を行うことにします。
枝を切り、挿し穂として3芽程度がつくように切り分けます。

断面(形成層)が大きくなるように切り口が斜めになるように切っています。
また、反対側の表皮も削っています。

水に浸けて、しばらく水揚げさせます。
イチジクは活着しやすいため畑にでも挿しておけば十分のように思いつつも挿し床(鹿沼土)を用意。

そこに挿し穂を挿せば完了です。

接ぎ木に比べると本当に容易です。

切り口を見るとイチジクの形成層(下写真で緑色の部分)は随分と大きく、なるほど挿し木が可能なわけです。