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古民家の自然換気(48)トイレに換気扇を設置①

前回、ファンヒーターの電源をとるためコンセントを増設しました。

また、コンセントを増設したついでに、仮設状態だった電気ケーブル(厨子二階:屋根裏に配線)を本設しました。

配線がキチンとするとスッキリして良いものです。
電気配線がある厨子二階(屋根裏)は壁や柱の煤汚れで見た目は悪いものの、自然光が射し込むとともに自然換気により空気が循環して気持ち良い空間になっています(生活空間ではありませんが)。

上写真で奥にある壁の向こう側にも建物(下屋)が続いているのですが、実は上写真の箇所とは対照的な状態なのです・・・(下写真が壁向こうの天井裏の状態)。

ここは20年程前にリフォームしたところ(主に水廻り部分)なのですが、そのときは屋根を直さないまま行ったため、その後に屋根(当時は土葺き)から落ちてきた土や粉塵、そしてネズミの仕業(断熱材のグラスウールを寝床にしていた!?)で無茶苦茶な状態になっています(工事は屋根や床下から始めて最後に内部の造作を行うべきだと今更ながら痛感します)。
造作の方法は現代住宅と同じで、居室側の壁や天井にはビニール製のクロスが一面に貼られていることから居室と屋根裏との間で空気の循環は一切なく、空気が淀んで雰囲気も悪い状態です。
このため、いつかは換気を図るとともに下写真のように複雑な電気配線をシンプルに整理したいと考えています。

ところで、上写真はトイレの天井裏にあたりますが、トイレも全面クロス貼りのためトイレ使用後の匂いが長く残ると家族の不満箇所になっています(自然排気の換気口はあります)。
強制排気する換気扇を付ければよいのですが、そのような対症療法に頼る前に根本な解決法として食事や生活を見直す契機になるのではないかと換気扇の設置には気が進まずにいました。
そのように思っていたのですが、トイレの換気扇を天井に設置して天井裏に排気するようにすれば(通常は屋外に排気)、居室と屋根裏との間で空気の循環が生まれるのではないかと気づきました。

と言うことで、トイレに換気扇を設置することにします。
換気扇は先述のとおり天井に取り付けますが、天井裏には断熱材のグラスウールが敷かれていて足の踏場がない状態です。
このため一旦、グラスウールを撤去して作業場所を確保します(この機会に集塵機で土や粉塵を吸い取って掃除しておきます)。

上写真で朱色矢印で示すVVFケーブルの先にトイレの照明器具が取り付けられています。
屋根裏側は野縁や胴縁材を使って照明器具や天井板(石膏ボード)を支持するため下地が組まれていますので、換気扇(上写真で黒色のもの:φ75mmパイプファン)の取り付けもそれらを利用すれば良さそうです。

換気扇の設置場所は下地がある箇所で、かつ照明器具よりドア側(上写真で手前側。奥側に自然排気の換気口あり)にします。

その位置に所定の寸法で開口を設けます(ボード用鋸を使用)。

天井裏から作業できるため、粉塵にまみれずに済み助かります。

居室側も切断箇所を囲うようにビニール袋をつけておきましたの掃除もせずに済みます。

換気扇を取り付ける前に、本体に電源をとるためのVVFケーブル(1.6×2C)を接続して天井裏に逃しておきます。

居室側から天井裏の下地(一部追加)に対してビス留めして取り付けます。

換気扇の電源は、天井裏で既設のVVFケーブルから分岐してとります。
換気扇のON・OFFを操作するスイッチについては、壁に照明用のスイッチ(ボックス)がありますので、そこに増設すれば良さそうです。

このスイッチの負荷(照明)からVVFケーブルを辿ると、天井裏にある下写真のジョイントボックス部に行き着きます。

そして、このジョイントボックスから先ほどのスイッチがある壁の中にVVFケーブル(1.6×3C)が降りていっていますが、不思議なのはスイッチが照明用1個にも関わらず3芯のVVFケーブル(1.6×3C)が使われている点です(通常なら2芯のものを使用)。
上写真をよく見ると、このVVFケーブルの表面に「I、Ⅱ」と記載され、ジョイントボックスを挟んで反対側にそれぞれ「Ⅰ」と記載されたVVFケーブル(何らかの負荷へ)と「Ⅱ」と記載されたもの(照明へ)があります。
どうやら、この配線でもうひとつ何らかの負荷の点滅を操作しているようです。
同じ壁でトイレの反対側に別系統(ブレーカーが別)のスイッチボックスがあり、それが怪しそうなので壁から外してみます(ホタルランプが点灯しているようにみえますが光の加減です^_^;)。

そうすると普通はスイッチボックス内では見かけないクイックロック(上写真で朱色丸印)が出てくるではありませんか!
この配線を調べてみると、先ほどの3芯のVVFケーブル(の内2芯分)が勝手口(照明)用のスイッチに繋がっており、残りの1芯分を別のVVFケーブルでトイレ側に送っているようです。
こうすると材料のコストを縮減できるのでしょうが、私のような素人(ペーパー電気工事士)は頭の中が混乱してしまいます・・・。

頭が混乱した状態で下手に換気扇用の配線を追加すればショートさせかねませんので、ここは一旦、複線図を描いて頭の中を整理することにします。

複線図は、実際の電線(心線)とその結線を表したものです。
初めて見ると訳がわからないように感じますが、基本的には電源に対して各負荷(照明等)を並列に接続してあるだけです(壁スイッチは非接地側の電線の途中に入れる)。
先に壁内からクイックロックが出てきて混乱してしまったところも上図のとおり書いてみると頭の中が整理されてスッキリします。
ただ、ここへさらに換気扇を追加すると電線が増え過ぎて私には手に負えなくなりそうです。

そこで、ジョイントボックス(下図で朱色丸印)を1箇所増やし、そこにトイレ関係のもの(コンセント、照明、換気扇及びスイッチ)をまとめることにします。

こうすると壁内でクイックロックを使うと言ったこともしなくて済みまし(心線1本分、不経済にはなります)、何よりジョイントボックスごとの構成がシンプルに分かりやすくなって良いと思います。

避暑部屋から避寒部屋へ(露出コンセントの増設)

前回、主屋の厨子二階(屋根裏)に地デジのアンテナを設置しました。

アンテナとテレビとを結ぶ配線(上写真で黒色の同軸ケーブル)も厨子二階の床上に敷設しました。
テレビの配線をキチンと敷設したことで、仮設状態の電気の配線(上写真で灰色のVVFケーブル)が目につくようになりました・・・。

電気の配線は、もともとは居室側に露出配線されていたのですが、目障りなことと厨子二階を有効利用するため4年前の改修工事において厨子二階に配線し直してもらいました。
その際、各照明やコンセントへの支線部分については、改修工事後にDIY施工(天井等の化粧工事的な部分)する予定であったため仮設にとどめておいてもらったのです。
その後、なんとか天井のDIY施工も完了しましたし、日常生活における電気(器具)の使い方も固まってきたことから、それらを踏まえて配線を一部修正するとともに本設することにします。

配線の現状は下図(単線図)のとおりです。

分電盤からの配線は3系統(上図で朱色・青色・緑色の線)に分かれています(内1系統は離れへの専用線)。
それらから分岐させて各部屋に1箇所の照明と1(または2)箇所のコンセントを設けているだけです。
さらに照明のオン・オフも器具側で操作するものとして壁スイッチを設けていないため、とても単純・明快な配線になっています。
実は、上図には水廻り(20年程前にリフォーム)の部分は含まれていないのですが、水廻り部分は壁スイッチに加えて3路・4路回路を多用しているため配線は超複雑になっています。
確かに壁スイッチや3路回路等を使うと見た目や使い勝手が良くなりますが、方向として脱電気を目指す私にとって、これは違うのではないか感じ、4年前の改修工事の際に設計士さんや電気屋さんに極力単純・明快な配線になるようにお願いしたのです。
照明やコンセントの数も最小限にしてもらい、その後の生活に応じて必要があれば増設する考えです。

そして、改修工事が終わって4年が経ちましたが、今のところ大きな不便は感じていません。
ただ、今年の夏にエアコンを設置して避暑部屋にしたところに、もう1箇所コンセントがほしいと思っています(既設のコンセントは下写真でテレビ背面の壁に埋め込まれています)。

この部屋にエアコンを設置して痛感したのが、部屋の広さが6畳と狭いため冷房がすぐ効き、しかも電力消費量も少ないことです。
このため、冬もここを避寒部屋として有効利用したいと思っています(朝晩はLDKに薪ストーブを焚くため昼間のみ)。
そして、暖房器具についてはエアコンだと加湿されないため石油ファンヒーターを使いたく、その電源をとるコンセントがほしいわけです。

新設するコンセントは、ファンヒーターを置く場所から既設コンセントの対角になる場所に設置することにします。
配線については、既設の分岐箇所(ジョイントボックス)から引っ張ってくれば良いのですが、この機会に厨子二階にもコンセントを設けることからジョイントボックスも追加し、そこから分岐させることにします(下図で朱色線の配線。既設の照明やコンセントの配線も一部変更します)。

文章で説明したり上図のような配線図で表すとややこしく感じますが、超単純な並列回路で、並列回路を習った小学生なら設計できるレベルの配線です(施工には電気工事士の資格が必要です)。

それでは上図のとおり配線していきます。
まずは、既設のジョイントボックスから新設する予定のジョイントボックスの位置までVVFケーブル(2.0×2C)を敷設して幹線を延長します(この時点では既設の配線とは接続しません)。

次にコンセントや照明への支線を敷設します。
新設するコンセントについては、近くに壁がないため(古民家は壁が少ない)必然的に露出型のもの(下写真)になります。

上写真で左が従来からあるもので、右がパナソニック社のリファインシリーズ(コスモシリーズの露出型版?)のものです。
リファインシリーズのものは奥行きが小さく、ネジ頭も露出していないなどデザインも洒落ています(20年もすれば流行遅れになるのでしょうが)。
4年前の改修工事で電気屋さんが設置したコンセントがこのシリーズのものだったため、それらに統一してリファインシリーズを採用することにします(若干高価なため、厨子二階に設置のコンセントは従来のもので我慢です^_^;)。

コンセントを差し鴨居にネジ留めし、VVFケーブルを結線。

露出コンセントの場合、結線するのに面倒な輪作りをする必要があったのですのが、なんとリファインシリーズでは輪作りせずに芯線をそのまま挿し込むだけで良いようになっています。

厨子二階(天井裏)に向けてVVFケーブルをステップルで固定します。

コンセント自体はまだしも、VVFケーブルが目に付きます・・・。
このため、VVFケーブルの露出部分が少なくなるように天井近くの差鴨居のところに設置しています(こうするとファンヒーターの電源をとるのに延長コードが必要になりますが、夏になればファンヒーターとともに延長コードも撤去してスッキリさせる考えです)。

厨子二階用のコンセントも設置します。

こちらは従来のとおり芯線を輪作りして結線しなければなりません。

ほかにも照明等の配線を一部変更し、それぞれのVVFケーブルを新設するジョイントボックス(幹線の末端)のところまで敷設して結線。

単純な並列回路ですので、黒色の電線(非接地側)と白色の電線(接地側)に分けて結線すれば良いことになります(クイックコネクタを使用)。

結線箇所には安全のためプラスチックカバー(商品名:ナイスハット)を被せておきます。

最後に既設のジョイントボックスで結線しますが、ここまでは電気がきていますのでブレーカーを落として検電器で通電していないことを確認したうえ着手します。

増設分はこれで完了ですが、ついでに仮設状態のままになっているVVFケーブルをステップルで留めて本設します。

やはり配線がキチンとする気持ち良いものです(まだドアホン用の通信線が仮設状態ですが・・・)。

今回、厨子二階にコンセントを新設しましたが、早速これを利用して下写真の電話ユニット(下写真で中央。その右は電話機の親機)を設置しました。

これはソフトバンク社が提供している「おうちのでんわ」と言うサービスを受けるために必要になる機器です。
「おうちのでんわ」は自宅の固定電話を月額500円程度(ナンバーディスプレイを含めて1,000円弱)に削減できるという謳い文句のサービスです(電話番号も変わりません)。
携帯電話の普及により固定電話は要らないように思うものの今すぐに廃止するわけにもいかないため、通信費削減のためNTTの回線から乗り換えることにしました(NTTの回線は休止扱い)。
このユニットは要は携帯電話で使われているLTE回線の受信装置で、このため電波を受信しやすいところに設置する必要があります。
先に設置したテレビアンテナと同様、厨子二階だと電波が良好だろうとここに設置したわけです。
「おうちのでんわ」に乗り換えてひと月以上が経ちますが、今のところ固定電話と全く変わることなく使えています(固定電話用の通信線を撤去できてスッキリしました)。

下写真が現在の厨子二階の状態です。

屋根裏の無駄なスペースだと思っていましたが、①空気層断熱、②採光、③自然換気、④薪ストーブの煙突配管、⑤テレビアンテナ設置、⑥電気の配線、⑦電話と様々に有効利用できるようになりました。

本題のファンヒーターについても、増設したコンセントにつないで運転できるようになりました。

能力の小さいファンヒーターですが、6畳のため直ぐに暖かくなります。
テレビ、ファンヒーターと揃い、あとはコタツとミカンを準備すれば避寒部屋の完成です^_^