日別アーカイブ: 2019-11-16

土蔵の修繕(9)土壁を補修(漆喰仕上げ)

土蔵の土壁(軒の水切り部)を補修するため、前回、単管パイプを使って足場を組みました。

補修箇所の現状は下写真のとおりです。

仕上げの漆喰は遠の昔に無くなり、さらに中塗りが剥がれて荒壁が剥き出しになっています。
その荒壁には鉛直方向に荒縄が入れられているようで、その一部が露出し始めています。
この箇所は水切りのため鉛直方向に逆勾配(上にいくほど外に張り出す形)がついているため、その成形・補強用のものだと思います(エツリ用の荒縄ではありません)。
と言うことは、荒縄が雨に濡れて朽ちれば、それに支えられている壁土が一気に崩壊してもおかしくありません(実際、こうしたところが崩れ落ちている土蔵を見かけることがあります)。

まずは荒壁の補修から行います。
荒壁の補修面積は僅かですので、左官バケツで壁土を練ります。

荒壁でも大直しのような感じになるため、砂(3割程度)を混入しています。

材料と道具を持って足場に登ります(ヘルメット・安全帯着用)。

隣接箇所の形状(逆勾配で、さらに丸みもついています)に合わせて壁土をつけます。

露出し始めていた藁縄を荒壁でカバーできて、ひとまずは安心です。

荒壁と言っても塗り厚は薄いため、翌週末(1週間)には下写真のとおり乾燥して中塗りできる状態に。

いつものとおり中塗り土を練って荒壁のうえに塗り付けます。

コーナーの出隅部分を反対側からも塗って仕上げます。

出隅の形状を見ると、壁が逆勾配で、さらに緩やかな丸みもついていることが分かります。
こうして実際に施工してみると、私のような素人がこのような壁を足場なしで行うと言うのは無謀な考えだったと改めて感じます・・・。

中塗りの層が残っている隣接箇所とは下写真のように繋ぎ合わせました。

これで南東角の補修箇所については中塗りまで完了しました。

南東角の土壁が痛んだのは台風を含めて雨風が当たりやすいためです。
同じ理由から東面についても南東角のように酷くはないものの中塗りの層が剥がれているところ(下写真で朱色破線の下側)があります。

剥離箇所の範囲を見ると、軒先から離れるほど雨が当たっていることがわかります。
そして、その下側のさらに雨が当たる場所は板張り(鎧シブキ)にしてあるわけです。
水切りの部分も板張りにしたら良いように考えますが、おそらく排水性や施工性を考慮して漆喰仕上げの土壁にしてあるのだと思います。

東面は庇の屋根があって足場を組まなくても作業できるため、ついでに補修することにして剥離箇所を中塗りします。

剥離箇所は少ないと感じて部分的に中塗りしたのですが、結局は上写真のとおり半分程度の面積になり、これなら全面を中塗りすべきでした・・・。

翌週末(1週間)には乾燥して補修箇所は目立たなくなりました。

見た目的にはこれで十分なのですが、中塗りで塗ったのは単なる土(中塗り土)で雨に弱いです。
やはり、雨に当たりやすい南面と東面については元のように漆喰で仕上げておくのが良さそうです。
将来的(20年後を目処)に解体・撤去する予定の土蔵にここまでする必要はないのかもしれませんが、手間だけのこと(材料費は安価)ですのでこの機会にやっておくことにします。

漆喰で仕上げるのは南東の角を中心にして下写真の朱色破線で囲む範囲とします。

漆喰はいつもの「大和しっくい」(プレミックス)を使います。
漆喰は荒壁や中塗りの土に比べると水に強いですが、それでも今回のように雨の当たるところに用いる場合は油を混ぜて耐水性を高めるそうです。
油は適当な植物油で良いように思いますが、混合割合とかも知りたかったことから漆喰専用の油を購入しました(漆喰1袋:20kgにつき1本:360ml、400円/本)。

一旦、漆喰を練ったうえ、指定量の油を混ぜて練り直します。

そして、東面を塗りました(写真を撮り忘れました・・・)。

続いて南面を塗ることになりますが、棟側は今の足場だけでは手が届きません(下写真は漆喰を塗る前のもの)。

手摺り用につけている単管を桁にして足場板をかければ手は届くようになる一方、手摺りが無い状態になってしまいます。
手摺りが無かったとしても作業はできるため、ややもすると私のような人間は早くやってしまいたい気持ちに負けて横着してしまう場面です。
DIY施工に工期なんてありませんので、ここは「安全第一」、左官作業を一旦中断して足場の確保からやり直すことにします。

手摺りを設けるには、柱の単管を継ぎ足したうえ手摺り用の単管を架けることになります。
これに必要となる材料をホームセンターで調達。

  • 単管(4m):1本(→柱材1m×2本、横架材2m×1本)
  • 直交クランプ:2個
  • C型ジョイント:2個

単管同士の接合には、今回は手摺り部分のためC型ジョイント(ボンジョイント)と呼ばれる継手を用います(ボンジョイントは抜け出し防止機能がないため、足場材としての使用は禁止されています)。

一段高いところに足場を追加するとともに手摺りを設けます。

2段の足場ができました。

足場ができたことから左官作業を再開します。
漆喰塗りについて、いつもは押さえずに仕上げるのですが、今回のような雨に当たる場所だと押さえて表面をツルツルに仕上げたほうが耐水性が上がりそうです。
そこで、ある程度水が引いた頃合いを見計らってコテで押さえます。

上写真は、南東角の全面的に中塗りし直したところです。
私のような素人が中塗りしたところでもそれなりに仕上がります。

一方、中塗りし直さなかったところは風雨により表面が荒れているため、その凹部がうまく押さえられず変な跡となって残ってしまいます。
いかに下地が重要かと言うことを痛感します・・・。

それでも全体を見れば美しい白壁に生まれ変わりました!

見た目的に綺麗になったのも良いですが、放っておけば崩れたであろう壁が補修され、漆喰でしっかりとカバーされている状態に安心します。

<ビフォー>

<アフター>

足場は、この後、本来の目的である薪棚を作るために撤去しますが、鎧シブキ(外壁)の塗装(コールタール)が薄くなってきています。
今の塗装は亡き父が若いときに行ったもので、それから相当の年数が経っていますので、足場のある範囲だけでも塗り直しておくことにします。
コールタール(石炭由来)は匂いがきつく、発がん性も指摘されていることから近年使われることは少ないですが、木材に合成樹脂塗料を塗るよりはマシのように感じます。
ちょうど2年程前に購入したコールタールが2kg弱残っていますので、それを使い切ってしまうことにします。

木が痩せているため、すごく塗料を吸います。

結局、コールタールを2kg弱使っても下写真の朱色破線で囲う範囲しか塗り直しできませんでした。