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土蔵の修繕(7)収蔵物の洗いと虫干し

梅雨明け以来、酷暑が続いています。
この酷暑のなかでは、とても屋外で草刈りなどの作業はできません。
一方、暑くなるほど冷たい水が気持ち良く感じますので、井戸水(2年前に再生)で涼をとりつつ洗いものをすることにします。
洗いものの対象として思いつくのが、土蔵の中で何十年と日の目を見ることなく眠っているガラクタ類です。
埃にまみれて酷い状態ですので、洗えるものは水洗いし、洗えないものは虫干し(土用干し)してやるとサッパリしそうです。

ところで、土蔵については、その修繕の記録をブログ記事にするつもりが、ブログでは大工さんに柱・土台等(庇部分のみ)を取り替えていただいたところで中断しています・・・。
実際には、その後も修繕の範囲内でいろいろと行なっており、現在、下写真の状態まで進んでいます。

<Before>

(上写真で朱色矢印は、今回のブログ記事には関係ありません。)

<After>

また、外部だけでなく内部についても片付け・整理を断続的に行なっています。
当初は足を踏み入れる余地もないような状態だったのですが、今では普通に立ち入れるようになっています。

<Before>

<After>

ちなみに以前、ブログに書いた亡き父の五月人形も、この土蔵に長年仕舞い込んであったものです。

五月人形は今年の端午の節句にも飾り付けたのですが、我が家には分不相応のように感じ、市役所に活用策について相談しました。
その結果、最終的に市の資料館に引き取っていただきました(寄贈)。
引き取っていただく際、ほかに何かめぼしいものがあれば一緒に持っていってもらおうと学芸員の方に土蔵内も見てもらいました。
結局はガラクタばかりだったのですが、学芸員の方は土蔵内が片付いている様に大変驚いてみえました。
聞くと、我が家だけではなく、多くの土蔵が先の<Before>の写真のような状態になっているとのこと。
昨今、街中のゴミ屋敷が社会問題化していますが、広大な敷地と多くの建物がある田舎こそ、潜在的なゴミ屋敷が多くあるように思えてなりません。

閑話休題

土蔵に収蔵されているものは主に下写真のような器類です。


(「筑前」とあるのは伊万里焼のこと)

昔、慶事や法事などで人寄りがあった際に使われたものです。
骨董的な価値もなく、捨てても惜しくない代物ですが、今でも使おうと思えば使える状態です。
使えそうなものはとりあえず保管することにし、長年の埃や汚れを水洗いして取り除き、木箱は強烈な日差しに晒して虫干しです。

乾燥後、新聞紙で包んで木箱に保管。
木箱には蓋がありますが、長年の間に入れ替わってしまったのか、サイズが合っていません。

この際、補修しておくことにします。
サイズが合うように切断し、蓋を固定するための角材を古材から切り出します。

元々は木釘を使って留められていますが、木工用ボンドで代用。

たかが蓋ですが、こうして蓋がピッタリあっていると気持ち良いものです。

ほかにも虫に喰われて痛んでいる木箱や、そもそも木箱がないものもありますので、それらも追い追い補修していきたいものです。

古民家の自然換気(43)土壁の修復⑥大直し

前回、下屋に天井(当面、断熱材のみ)を設けました。

土壁については、下屋側から作業がすべて終了し、下図で「2-1裏返し」「2-2貫伏せ」「2-3荒壁つけ」まで終わった状態になっています。

このうち「2-3荒壁つけ」の反対側(母屋側)について、今回、裏返しを行うことにします(上図で「3-1裏返し」)。
「2-3荒壁つけ」では屋根の受け材(垂木掛け)が支障になって既存の土壁に繋げていないのですが、今回の「3-1裏返し」により既存の壁と一体化できることになります。

この下方(天井下)は前々回に「1荒壁つけ」が終わっていますが、居室内に位置するため最終的には中塗り・上塗りまで行って仕上げる予定です。
その準備として、今回、さらに壁土をつけて平面の精度を高めることにします(上図で「3-2大直し」)。

まずは「3-1裏返し」から。
先週末に反対側(下屋側)から荒壁つけを行いましたが、1週間が経過して下写真の状態にまで乾燥が進んでいます。

先にも書いたとおり現状では既存の壁と繋がっておらず、2cm弱の隙間があります。
この隙間を利用してPF管(可とう電線管)を通しておきます。

3年前の改修工事において、電気ケーブル類は点検が可能なように厨子二階(小屋裏)に配線し直しましたので、ここで壁を貫通させて下屋内の照明器具などに配線するようにしたいと考えています。

裏返しは、前回と同様に行なって完了(下写真は1週間後に撮影したもの)。

この場所は厨子二階(小屋裏)のため荒壁で仕上げて問題ないのですが、既存の壁との接続箇所に不安があったため、大直しを行えるように荒壁の仕上げ面を既存壁のツラから2分程度控えてあります(今のところ、その必要はないようです)。

これでようやく、既存の壁から丸太梁までが土壁で一体化されました。

<Before>

<After>

割れや剥離していたところが修復され、見た目的にも安定感が増しました。

次に「3-2大直し」を行います。

現状は、下写真のとおり「1荒壁つけ」までできています。

さらに壁土をつけて平面の精度を高めることで、今後の中塗り・上塗りに備えるわけです。

このように土壁は荒壁つけ・大直し・中塗り・上塗りのように何回かに分けて施工されますが、これはそれぞれに求められる強度や仕上がりを考慮してのことだと思います。
そして、仕上げに近づくにつれ貧配合(砂の割合大)になっていきますので、今回の大直しにおいても砂を混入することにします。

とは言え、素人ゆえに適当な配合量など分かりませんので直感で1/4(体積比)程度としました。
コテに取ってみると、いわゆる「サクい」状態になっているのが分かります。

サクくなるほど私のような素人には扱いづらくなるのですが、なんとか無事完了(下写真は1週間後に撮影)。

上写真の面については、既存の壁と取り合いがありますので、今後、中塗りをすることを考慮し、既存壁のツラから2分程度控えています。

見た目は別にして、土壁の強度面ではこれで当初の目的を達成しました。
今後の中塗り・上塗りについては、荒壁が完全に乾燥した後になりますが、早くても秋以降の予定です(未定)。