月別アーカイブ: 2018年6月

雨水対策(14)コンクリート殼の再利用と減勢工

雨樋の排水が集まる箇所(排水不良)の排水性を改善するとともに、地中への雨水浸透も期待し、竹を利用した排水路(土水路)を設けることにしました。
そして前回、溝を掘って竹を投入するところまでできました。

竹の投入について、畑の畝作り(下図)であれば、まだ分かる話しかもしれません。

しかし、排水路に竹を入れるなんて言うことは、わざわざ水の流れを阻害しているようなもので、一般的な土木構造物ではあり得ないはずです。

さすがにこんな馬鹿なことをやっている人はいないだろうと、ネットで検索してみました。
そうしたところ、「大地の再生(講座)」に取り組んでみえる方のブログを見付け、そこに大地の通気性や透水性の改善を図るため、溝に竹や炭などを投入するとあります。

雑木の庭造り(高田造園設計事務所)

竹を投入することについて、私自身は単に溝を埋まりにくくすると言う物理的な側面からしか考えていませんでしたが、「大地の再生講座」ではこれで動植物の力も活かすことも考えられており、本当に目からウロコの内容です。
さらには、コンクリート殼でさえ溝に入れて利用すると言う事例も掲載されています。
このコンクリート殼の再利用は、「大地の再生講座」の矢野智徳さんが阪神淡路大震災で大量の瓦礫がゴミにされるのを見て始められたそうです。

DIY施工でもハツリなどでコンクリート殼が発生することがあります。
発生したコンクリート殼は、最後まで責任を持つという意味で敷地外に搬出処分するのではなく、可能な限り再利用(コンクリートの骨材など)していますが、それでも径が大きいもの(直径40mm以上)は使う当てがなく敷地内に仮置きしてある状況です。

奇遇にも今回の排水路に隣接した場所に仮置きしてあり、まさに出番を待っていたのかもしれません。

「大地の再生講座」の知恵を拝借し、排水路(竹の上)にコンクリート殼を投入します。

嵩上げのため、さらに竹を投入してコンクリート殼をサンドイッチします。

最後に剪定屑で被覆します。

これで排水路本体は完成ですが、前回地面を掘り起こしたところ、排水路流末の地中から昔の土管と減勢工が出てきました。

土管は2本あり、その内の1本は状態が良いため再設して流末部(段差部)を下写真のとおり処理します。

その後の降雨時に状況を確認すると・・・

これだけ水の勢いがあると草は生えづらく、地面がえぐられてしまいます。
やはり、元々あったのように減勢工を設ける必要があります。

以前行った敷石(石畳)作りと同様に石の形状を見極めて組み上げます。

その後の降雨時の状況。

良い感じで流れており、見ていても気持ち良くなります。
前回の降雨時は水が濁っていましたが、今回は濁りが取れています。
排水路に投入した竹やコンクリート殼が泥を濾してくれているのかもしれません。

排水路を設けたことで通路に排水が流れることはなくなりました。
今後は雑草の力とともに土の流出は抑えられることでしょう。

天然石を使った減勢工が良い感じのため、別の雨樋流出口(外便所の解体に伴う雨樋の移設箇所)にも同様に設けることにします。

石積みに使うには少し小さい石も、こうした用途に使うことができますね。

<続きます>

雨水対策(13)雨水浸透排水路

当地では先日梅雨入りしました。
今後本格的な梅雨を迎えるに当たり、雨水排水のことが気になってきます。
昨年の今時分には、その対策として雨樋排水路の延長を行いました。


(雨樋の延長)


(排水路の延長)

これらは、過去に裏山の斜面(下図で左下)が崩壊したことがあることから、その再発を防ぐために講じたものです(他にも土留め設置等)。

この箇所については、ひとまず片付きましたが、実はもう1箇所、気になっているところがあります。
それは上図で朱色丸印の箇所で、3棟(主屋、倉庫、土蔵)からの雨樋の排水が集まるところです。
ここは土が流出し凹地になっており、排水不良から年中ジメジメしているのです。

主屋と土蔵は、ここに接する角がシロアリ被害にやられていましたが、この排水不良の影響もあったのではないかと思っています(倉庫は鉄骨造り)。

そもそもこの箇所の土が流出した原因については、建物からの雨水排水量の多さに加え、除草剤の多用により裸地になっていたこともあると考えています。
除草剤については既に使用を止め、雑草(の根)の力を活かすようにしています。
一方の排水量の多さについては建物を除去しない限りは減らすことができませんので、排水路を設けて排水性を改良するしかありません。

こうした場合の排水路にはコンクリート製のU字溝を使うことが多いと思いますが、その場合、途中で雨水が地中に浸透することはほとんどありません。
これに対し、今回の場合は、流末となる山の斜面が雨水排水の勢いによりえぐられているため、可能な限り地中に浸透させて山への排水量を少なくしたいと思っています。

ちなみに、このえぐれた箇所は、数年前から古瓦を細かく砕いたものと土砂を互層にして盛って安定化を図っています。

雨水を地中へ浸透させるにはコンクリート製のU字溝ではなくて昔ながらの土水路が良いわけですが、土水路だと直ぐに埋まってしまって大変だろうと思い、なかなか手を付けられずにいました。
そんな中、これはと思ったが、以前のブログ記事でも紹介した畑の畝立てにおいて溝部分に竹を投入する方法です。

土水路にも同様に竹を投入すれば、溝が埋まりづらく、いずれは埋まるにしても竹が残っている限りは一定の排水機能は維持されるはずです。

愚案かもしれませんが、何事もやってみなければ分からないと言うことで、早速取り掛かることにします。
水糸を張って、排水路の位置を決めます。

幅、深さともに30cm程度、地面を掘って溝を設けます(掘り起こした土は凹地を盛るのに使用)。

地面を掘ったところ、排水路の末端箇所で土管が出てきました。

土管の位置・高さから、昔も同じ位置に排水路があったようです。

土管の先も掘り起こしてみます。

写真では分かりづらいですが、土管の先には石が敷き並べられています。

地面がえぐられないようにするための減勢工のようです。
ここまでしてあったとは驚きです。

掘った溝には竹を投入します。

<続きます>