前回で床暖房パネルの木工部分(床板の張りつけを除く)が出来上がりました。
この中に床暖房のシステムを仕込むことになりますが、その構造は下図のとおりとします。
熱交換器となる銅管は床板と断熱材との間に配管しますが、さらに床板との間に放熱板(アルミ平板 t=0.3mm)を挟むことで床板への伝熱量を増やしたいと考えています。
伝熱面を広くすることで熱抵抗を小さくしようというわけです(下式)。
熱抵抗 R=1/k(熱伝導率)・L/A(表面積)
上式からは伝熱量を増やす(熱抵抗を小さくする)ためには熱伝導率を大きくすることも有効であることがわかります。
このため、放熱板には熱伝導率の大きい銅板(k=398)を用いれば良いのですが、コスト面からアルミ板(k=236)を採用しています・・・(結露する環境下では銅管とアルミ板との異種金属腐食に留意が必要)。
同じ考えから銅管自体も表面積を大きくすれば(口径を大きく、延長を長く)、伝熱量を増やせることになります。
伝熱量Q=U・A(表面積)・△t(温度差)
(銅管の中に流すお湯の温度を高くし(上式で△t)、流量を上げれば更なる伝熱量の増加が期待できそうです。)
しかし、銅管の口径や延長をヤミクモに大きくするわけにはいきませんし、口径や延長、流量には密接な関連があるため、システム全体でバランスをとって決定する必要がありそうです(例えば、口径・延長とは無関係に流量を増やせば、管路抵抗が大きくなって流れなくなったり、流速が速くなりすぎてシステムに損傷を与えかねません)。
それでは、いくつの口径の銅管をどれだけの長さ配管するのが適当なのか?
本来はシステムの全体を設計するとともに暖房器具の詳細を詰める必要があるのでしょうが、私のような素人にとっては敷居が高すぎます。
そこで、いくつかのメーカーの床暖房システムの構成を断片的に調べてみると、熱交換器のパイプ(架橋ポリエチレン管または銅管)は口径2分(2/8inch、8mm)か3分(3/8inch、10mm)のものを使っていることが多いようです。
また、温水を循環させるポンプは揚程6m程度の性能のもの(グルンドフォスUPS25-60等)を採用し、それを使って10L/min程度の流量で温水を循環させているのではないかと思います。
そこで、これらを参考(真似!?)にして銅管は外径φ9.52mm(内径約8mm)のものを使うことにします。
この銅管に仮に流量3L/min(3系統あるとして10L/minの1/3)の温水を循環させるとき、管内の流速は1m/s程度(速くも遅くもない)になり、なるほどメーカーのシステムは良い感じになっていることが分かります。
流速 V=流量/断面積=(3/1,000×60)/(π×8/1000^2/4)≒1m/s
我が家のシステムでうまくいく保証はありませんが、φ9.52mmの銅管を用いることで見切り発車!(システム全体の検討はポンプの選定の際に行うつもりです)
一方の延長については床暖房パネル内(950mm×650mm)になるべく長く収まるように図を描きながら検討します。
今回用いるナマシ銅管は焼きなましにより曲げやすくしてあるため、役物(エルボ)を用いることなく曲げ配管が可能です。
ただ、一定の曲げ半径を超えると座屈してしまいます(パイプベンダーと呼ばれる道具を使えば相当小さく曲げることができるようです)。
手で曲げられる許容曲げ半径が分かると良いのですが分からず、口径(φ9.52)の約5倍となるR47mmとしています。
また、ナマシ銅管の販売単位は3m、5m、10mのため、5mを購入するものとし、無駄が生じないように配置しています。
銅管のサイズや配置が決定しましたので、作り始めることにします。
まずは放熱板となるアルミ板(t=0.3mm)の加工から。
サイズが455mm×910mmのものを2枚購入し、切り貼りします(アルミ板の余りで銅管のサドルを作る予定)。
2枚をアルミテーブで接合。
このアルミ板の上(完成形では下)に銅管を配管することになりますので、アルミ板に配管ルートを罫書きます。