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古民家の自然換気(18)付け鴨居の取り付け

前回、付け鴨居(的なもの)を設置する準備として、束柱に欠き込みを施しました。

付け鴨居のサイズは下図のとおり4寸×1寸5分としています。

杉の荒材(5寸×1寸5分)から木取りします。

DIYでは「節有り」の木材ばかり使っているのですが、今回は「上小無節」と少し奮発!しました。

加工したものを、束柱の欠き込み(深さ15mm)にはめ、壁との間に生じる隙間を確認すると、最小で8mm、最大で14mmです(設計時の下図と多少異なります)。

そこで、今度は付け鴨居側を8mm切り欠くことで、壁との隙間を6mm(=14mm−8mm、1回の中塗りで埋まる厚さ)に収まるようにします。
丸鋸の刃の出を8mmにして櫛状に刻みます。

欠き込みに加え束柱にビス留めしますので、ビス頭を隠せるように下穴をあけます(埋め木まではしないつもりです)。

柿渋で顔料を溶き、古色塗りします。

付け鴨居の設置場所は元々カマドがあったところに近く、周囲の丸太梁は黒に近い色になっていますので、顔料の割合は黒95%:朱5%程度としています。

取り付けます。

周囲の丸太梁などに近い色合いで、それほど違和感はないような。

ところで、付け鴨居は、束柱(壁)の線形に合わせるため、2分割して途中で突き合わせています。

僅かですが切り口に傾斜をつけて表面に隙間が生じないようにしています(と言っても、よく見ると継ぎ目が全然分かりますが)。

また、壁との隙間は、調整の甲斐あって6mm未満になっています。

この壁は荒壁(大直し)ですが、昔は荒壁までは地域の共同作業(結い)で施工したそうです(中塗り、上塗りは本職)。
確かに壁をよく見ると(特に上写真で左上)、膨らみや窪みがあり、本職ではなく素人による施工であることがわかります。
こうした凸凹やコテ痕は、現在の施工管理においては欠陥となってしまうのでしょうが、こうしたところに人間味を感じ、家というものが自然と人間の合作であることを思い起こさせてくれるようにも思います。

<続きます>

古民家の自然換気(17)丸太梁と付け鴨居

前回、天井開口部(換気及び採光用)の造作案として下図を考えました。

まずは、上写真で朱色点線箇所に付け鴨居(的なもの)を設置することになります。
そして、この付け鴨居の位置(天端高さ)は、向かい側の梁(大和天井)の天端と合わせる必要があります。
このため、レベルを出して水糸で起終点を結ぶのですが、どういうわけか水糸が途中の束柱に接触してしまいます。

原因を探るため、束柱の位置を計測・図示すると下図(平面図)のとおりです。

束柱の中心(壁芯)は真っ直ぐに通っているものと思っていたのですが、上図で青色丸印の箇所で線形がシフトされているのです(シフト量は1.2mで約10mm)。
このため、水糸で起終点を結ぶと途中の束柱に接触するわけです。

これらの束柱の上下には下写真のとおり丸太梁があるのですが、その上側の丸太梁に曲がりがあるため、どうもそれに合わせて線形をシフトしているようです。

いやはや、木の形状や性質に応じて自由自在に扱うことができる大工さんの技に感心せざるをえません。

一方、素人の私には難しいことはできませんので、付け鴨居(下図で朱色着色)は単純にこの曲がりで2分割して突き合わせることにします。

また、付け鴨居は既存の束柱を5分(15mm)の深さで切り欠いて取り付ける考えです。
こうしても壁チリが大きいため、壁との間に2分(6mm)から6分(18mm)の隙間が生じます。
一方、この壁は荒壁(大直し)ですので、今後、中塗り・上塗りを行う予定です。
中塗りにより隙間が2分(6mm)程度埋まるとして、残りの隙間は付け鴨居側を切り欠いて調整することで隙間を無くす考えです。

その付け鴨居の設置箇所に電気ケーブル(15年前のリフォームで施工)が通っていますので、取り外して迂回させます。

束柱を、ノミを使って幅4寸、深さ5分で切り欠いていきます。

電気ケーブルが通っていた穴を中塗り土で塞いで、取り付け側の準備は完了です。

<続きます>