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テーブルソー:溝切り用治具の作製(2)

テーブルソーで溝切り加工(溝切りカッター使用)をするため、前回、フェザーボード(木製バネ)を作りました。

一般的な溝切りカッターは刃が2個或いは4個程度付いたもの(下写真右)で、テーブルソーの取説で取り付け可能とされているものもこのタイプです。

一方、「自在溝切りカッター」と呼ばれる溝の幅が変えられるものがあります。


<山真製鋸(株)メリッター>

丸ノコのノコ刃(チップソー)を小さくしたような感じですが、刃を偏心できるようになっており、それで可変の溝を掘ると言うアイデア商品(特許?)なのです。

これなら丸ノコのチップソーと同じようなものですので、一般的な溝切りカッターに比べキックバックが起きにくく安全に使えそうです。
ただ、問題はテーブルソーに装着できるか?です。

溝切りカッターの内径は15mmで、テーブルソーのスピンドルの軸径と同じですので、取り付けが可能です。
ただ、マキタの丸ノコ盤2708の場合、そのままでは本体と刃が接触してしまうため、その間に内径が15mmのワッシャーをかませてやることで装着することができました。

・本体側から:スピンドル(軸径15mm)−ワッシャー(内径15mm)−自在溝切りカッター−アウターフランジ(本体付属)−ボルト(本体付属)

なお、自在溝切りカッターを装着することはメーカーの想定外の使い方になり、重大な事故や機械の損傷につながる可能性がありますので念のため。

自在溝切りカッターを装着できたものの、ノコ刃に比べて幅が大きいため、元々の刃口板(インサートプレート)を使うことができません。
そこで、自在溝切りカッター用の刃口板を作ることにします(ついでに通常のノコ刃用のものも)。

材は硬木のほうが良さそうですので、ケヤキの古材(厚5分程度)を使うことにします。

この古材は主屋の縁側(北側)の床板として100年以上使われていたものですが、まさかテーブルソーの刃口板として使うことになるとは。

表面に傷や汚れがあるため、プレーナーにかけます。

100年以上の古材ですが、一皮剥けば綺麗なものです。

刃口板の大きさで、2枚分(溝切りカッター用、ノコ刃用)を木取りします。

テーブルソーは鉄板を板金加工した刃口板を取り付けるようになっているため、木製のものを取り付けるには相応の加工が必要になります。

まずはボルトの取り付け部の形と深さに合わせて溝を掘ります。
この溝の深さが合っていないと、テーブルと刃口板との表面に段差が生じてしまいます。
そこで、正確な深さになるようにトリマーを使います。

各2箇所、計4箇所に溝を掘りました。

さらに周囲の張り出し部分を設けていきます。

テーブルソーを使って加工したのですが、(私的には)かなりの精度で加工が可能です。
先のトリマーによる加工もそうですが、熟練の技がなくとも機械を使えば、このような加工ができてしまうことから趣味で木工を楽しむ方が多いのでしょうね。

ピッタリ収まりました。

ボルト穴を設け、取り付けます。

溝切りカッターを下げた状態でモーターを動作させ、カッターを徐々に上げながら刃口をあけていきます。

通常のノコ刃用のものも同様に加工します。

テーブルソーに付属の刃口板はノコ刃を傾斜させる場合にも対応できるように刃口の幅が大きくなっています。
このため、ノコ刃との間に生じる隙間に切断した木片が落ちて怖い思いをすることがあります。
これならノコ刃との隙間がありませんので、そうした恐れがありません。
もちろん、これは私が独創したものではなく、「ゼロ・クリアランス(clearance:隙間) インサートプレート」として多くの方が自作・公開されているものを真似しました。

これで自在溝切りカッターを使う準備が整いましたので、角材に溝切り加工を施してみます。

材の送りもスムーズにいきますし、高速回転する刃の近くに手を持っていく必要がないので、安心して作業できます。
このような治具があれば、トリマーを使うよりも早く安全に加工できるように感じます。

アッという間に全ての溝を付けることができました(まあ、治具の作製や機械の設定に相当な手間と時間がかかっているのですが・・・)。

テーブルソー:溝切り用治具の作製(1)

このブログを始めて早くも1年以上が経ちました。
記事数は250を超えているものの、その内容は個人的な備忘録的なものに止まり、参考にしていだけるような情報は皆無に近いかもしれません・・・。
記事ごとの閲覧数を確認すると、その過半数が薪ストーブの導入過程のもので、次いでサイクロン集塵機の自作など道具に関するものになっています。
ブログのタイトルにしている「里山」や「古民家」に関する記事は残念ながら閲覧数が少ないような状況です。

確かに、私自身も薪ストーブを導入する際にはネットでいろいろと調べまくりましたし、道具の使い方はネットで多くのアイデアを仕入れています。
特に私のような素人にとっては、具体的なノウハウを惜しげもなく公開されているサイトには何度助けられたかわからず本当に有り難いものです。

そんなことで今回は道具関連の記事として、テーブルソーを使って溝切り加工するときの治具を紹介したいと思います。

そもそも溝切り用の治具を作ろうと思ったのは、土蔵の網戸を作り直すのに溝切り加工(下写真矢印箇所)が必要になったためです(土蔵の修繕関連もブログにアップしているのですが、更新が追いついていません・・・)。

上写真で矢印で示すような溝を設ける場合になります。
もちろん、トリマーや溝切り機を使って加工できますが、テーブルソー(マキタ 丸ノコ盤2708)の取説に溝切りカッターの取り付けが可能で、そうすれば簡単に溝切り加工ができると記載されているのを見つけたのです。
確かに、網戸などの小物を作る場合にはテーブルソーを使えば、より正確に加工ができそうです。

しかし、ただでさえ危険なテーブルソーで安全に溝切り加工ができるものか疑問に感じるところですが、それに対してちゃんと溝切り加工時の操作例が掲載されています。


(マキタHPより)

上図では、テーブルソーの使用において最も注意すべきキックバック(材が前方に弾き返される)を防止するために「木製スプリング」というものを使っています。
これで材が弾き返されるのを防ぐとともに、材の進路を固定できるため刃の近くに手を近づける必要がなくなるわけですね(溝切りでは刃が見えなくなるため特に注意が必要)。

図中にある道具のうち「プッシュスティック」と「Cクランプ」は市販品を所有していますので、自作する必要があるのは「木製スプリング」と「補助定規」になります。

木製スプリングは「フェザー(feather:羽根)ボード」とも呼ばれています(フェザーボードのほうが一般的?)。
「フェザーボード」で検索すると様々な作成例(一例として下記リンク先)が見つかりますので、これらを参考にして作ることにします。

自分で作るフェザーボード(YouTube動画)

材料としては20mm厚の杉板(端材)を用います。
適当な大きさに切って、羽根をつける側を60°の角度でカットします。
そして、糸鋸や帯鋸を使って羽根の切り込みを入れたら完成。

羽根の切り込みは最初、目見当で行ったところ、その間隔が広いところや狭いところができて無残なものになってしまいました・・・。
ブレードの厚さにもよりますが3mm間隔と決めてカットしたところ、見栄えの良いものになりました。

補助定規は適当な大きさで切った合板を平行定規(テーブルソー付属)にネジ止めします。
とりあえず、今回作ったものを仮置きしてみます。

上写真でテーブルソーにセットされているブレードは通常の鋸刃ですので、これを溝切りカッターに付け替えることになります。
ただそうすると、この刃口板(上写真でシルバーの鉄板)では溝幅が狭く、溝切りカッターと接触してしまうため、溝切りカッター用の刃口板が必要となります。
その刃口板を次回、作製することにします。

<続きます>