自前で仕込んだ柿渋ですが、昨年11月末に試し塗りをおこないました。
<平成28年11月30日塗布>
<塗布後4日経過>
そして、試し塗りから約2ヶ月が経過した現在の状況です。
<平成29年1月24日>
もっとも濃く発色しているのが「市販品」です。
この柿渋は、同じ市内で製造・販売されている、伊勢型紙の「おおすぎ」さまで購入したものです。
「これほど発色するか!」と驚くほど濃く素晴らしい発色具合です。
伊勢型紙(の用紙)を作るのに柿渋が使われるそうですが、確かに伊勢型紙の色と同じです。
次に濃く発色しているのが、意外なことに昨年(H28)仕込んだものです。
上写真で「H28(1)」とあるのが、「リョウノタマ」という呼ばれる柿を使って仕込んだものです。
「H28(2)」のほうは、干し柿用の渋柿を使ったものです。
干し柿用の渋柿のほうが渋が強いのか、「H28(2)」のほうが若干濃く発色しているようにみえます。
次い濃いものが「H26(WS)」です。
これは、平成26年に大台町(旧宮川村)で開催された柿渋仕込みワークショップに参加した際に、仕込んだものをサンプルとして頂いてきたものです。
一方、「H26(自家製)」は全く発色していません。
これは上記のワークショップ後に、復習がてら自宅にあった甘柿を使って仕込んだものです。
甘柿でも渋がある時期に採取すれば良いという情報もありましたが、時期が遅く既に渋がなくなっていたのかもしれません。
「H27」は最初のうちこそ発色したものの、その後発色が進むことはありませんでした。
これは渋柿を使って仕込んだものです。
しかし、仕込み後に定期的に撹拌しなければいけないものをサボってしまい、コンニャク状のもの(下写真)ができてしまいました。
『柿渋』(今井敬潤著)には「この凝固は柿渋製造において最も恐れられているもので、コンニャク状になると樽全体がダメになる。」(正確な引用ではありません。)とあります。
やはり、肝心のタンニン(渋)はコンニャク状のものに凝結され、残りの液体はカスだったということですね。
淡い期待を抱いて液体を保管してありましたが、残念(T.T)
3箇年の仕込みと試し塗りの結果から得られたことをまとめると次のとおりです。
・柿の採取&仕込みの時期は8月末。
・渋柿を使う(上記時期に採取の甘柿では失敗する)。
・仕込み後、少なくとも1ヶ月間は毎日撹拌する。
あとは、昨年仕込んだものを2年ほど熟成させれば市販品のような発色が得られるのかどうかですね。
しかし、オオスギさまの柿渋の発色はスゴイです。
何か秘伝の仕込み法があるのかもしれません(^_^)