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古民家の自然換気(35)古民家風棚の作製①

前回、夏季の暑さ対策として冷風扇を導入しましたが、そのサイズが想像以上に大きいことが判明。
そこで、冷風扇の置き場所を確保するため、下図の棚を設けることにしました。

<立面図>

<側面図>

まずは棚受け部分を作ります。
棚受けのサイズは上図のとおり100mm×29mm×268mmとしているため、手元にある杉の間柱材(105mm×30mm)から木取りします。
テーブルソーを使って幅100mmで縦挽き。

棚受けの手前側の角は、ぶつかったときに怪我をしないように鈍角にしています。
このため、まずは下端側を60°の角度で横挽き。

このとき、テーブルソーの傾斜定規(マイターゲージ)は30°(=90°−60°)にセットしています。

次に上端側を15°の角度で横挽きしますが、傾斜定規は75°(=90°−15°)にセットできません(45°まで)。
そこで、75°の角度でカットした板を間に挟むことで所定の角度になるようにします(傾斜定規は0°にセット)。

墨線通り切断されます。

精度が求められる箇所ではありませんが、安全にテーブルソーを使うには(途中で材を捻らない)、こうした治具の利用が欠かせないように感じています。

左右ひと組分のカット完了。

次に棚板をカットします。
棚板用の材は、棚受けと同じ杉でサイズが210mm×20mmの板材(プレーナー加工済)をホームセンターで購入してきました(2mもので1,000円弱)。
下写真のとおり表面が相当焼けているところを見ると相当期間売れなかったのでしょうか・・・。

木端の一方に水糸を張ってみると長さ方向に乾燥による曲がりが生じていることが判明。
このため定規を使って真っ直ぐに切り直し、基準を作ります。

真っ直ぐに切ったほうを基準にしてテーブルソーを使って所定の幅(160mm)で縦挽きします。

板の幅が210mmあるところを160mm幅で挽くのは勿体無いような・・・。

先に加工した棚受けを載せ、両者の大きさのバランスを確認します。

棚板の表面が日に焼けて黒ずんでいますので、表面側を自動カンナ盤にかけて1mm程度削っておきます(20mm→19mm)。

1mm削った程度では黒ずみを取りきれませんでしたが、最終的にはオイルステインで塗装する予定ですので、これで良しとします。

ちなみに上写真に写っている自動カンナ盤の集塵フード(サイクロン集塵機接続)ですが、2年程前に自作したものは不十分(角材程度しか集塵できず)でしたので作り直しています(形状を変更するとともにサイクロン集塵機との接続パイプにΦ100mmのアルミダクトを使用)。
これにより板材でも(なんとか)集塵できるようになりました。

棚板の厚さ(19mm)が決まりましたので、棚受け側に19mm幅の溝を切ります(深さ9mm)。

溝の深さを9mmとしたことから、棚板(下段)の長さは下図から816mmとなります。

早速、棚板を816mmの長さでカットしたいところですが、棚受けを上図のとおり設置できるとは限りませんので、棚受けを設置したうえで両者の離隔を実測し、その値をもとにカットすることにします(当たり前のことなのでしょうが、先走ってしまうこと多々あり・・・)。

<続きます>

古民家の自然換気(34)冷風扇:ナカトミBCF-30L

LDKの天井には、採光と(自然)換気を図る目的で開口部を設けてあります。

<開口部1:居間側>

<開口部2:台所側>

夏季は、これらの開口部をオープンにするとともに、窓(特に風上側)を開けて外気をふんだんに取り込むことで暑さ対策とする考えです。

このように夏季の換気を重視しているのは、我が家のような古民家は土壁が多用されていることから、閉め切ると一転して条件が悪くなってしまうからです(土壁からの放熱等)。
このため、留守等で窓を閉め切ると帰宅時にはムンムンとした空気が淀んでいるのが分かります。
そして、こうしたときには昨年導入したシーリングファンを回してムンムンとした空気を強制排出させるようにしています。

シーリングファンを導入した第一の目的は薪ストーブ用(暖気の循環)だったのですが、意外にも夏季に威力を発揮しています。

ちなみに、夏季のシーリングファンは冬季とは逆の風向(下向き)で運転させることで、天井の開口部から暑い空気を排出させます。

我が家の周りは自然(庭、畑、里山)に囲まれており、外気が街中に比べて冷たいため、こうした自然換気による暑さ対策をとるのが良いのではないかと考えています。
とは言え、地球温暖化の影響か、それとも人間(特に私自身)が弱体化しているためか、真夏になると、こうした自然換気による暑さ対策は通用せずエアコンに頼らざるを得ない状況になってきています。

昨年導入した竹ボイラーの配管を拡張することで井戸水クーラーを導入したいと考えてはいるのですが、(私の能力的に)難しいところもあって直ぐには実現できそうにありません。

もっと容易に、しかも自然換気を活かすものがないか??
そこで思いつくのが冷風扇です。
冷風扇は昔人の知恵である打ち水を応用したもので、水が蒸発するときの気化熱により周囲の温度を下げる仕組みです。
冷風扇はエアコンのようにコンプレッサーを使わないため扇風機と同等の電気使用量で済むというメリットがあります。
一方、水を蒸発させる仕組みから密閉した空間で使用すると湿度が高くなってしまいます。
このため、気密性の優れた現代住宅で用いる場合にはエアコン(除湿)との併用が前提になるのでしょうが、我が家のような古民家ではその心配はありませんし、自然換気とともに用いることで冷風扇の本領を発揮するかもしれません。

そんなことで、大型の冷風扇(ナカトミ クールブロアー BCF-30L)を購入(1万5千円程度)。


(ナカトミHPより)

この冷風扇の最大の特徴は大型(タンク容量30L)で、水道の直結も可能なことです。
一般的な家庭用の冷風扇は5L程度のタンク容量のものが多いようですので、その6倍もあります。
もちろん、むやみにタンク容量がデカイだけではなく、それに応じた送風・気化能力を備えているのでしょう。
水道の直結については、昨年に竹ボイラーを導入した際、井戸水の配管を主屋内にまで引き込んでありますので、それに接続して冷たい井戸水を使うようにすれば、より冷房効果が得られるかもしれません(基本は気化熱)。

しかし、届いたものを見て(ネットで購入)、その大きさにビックリ!
30Lものタンク容量があるため大きいとは思っていたものの想像以上です。

<冷風扇寸法図>

(ナカトミHPより)

例えるとカラーボックス程度の大きさで、そんなものを適当に置いておけば邪魔になること必至。
設置場所を検討せざるを得ません・・・。

使用場所(ダイニングテーブル)に近いところで、しかも井戸水の配管に接続しやすいところとして候補に上がったのが下写真の壁の前です。

この壁にはインターフォンの親機が取り付けてあり、その下には電話(子機)などを置くための台として収納箱が置いてあります。
収納箱の中にはほとんど何も入っていませんので、電話などを置くための棚があれば十分です。
このため、棚を設置し、その下に冷風扇(キャスター付き)を置くようにすれば良さそうです。

棚の設置には、棚板とそれを支えるもの(棚受け金具等)が必要となります。
棚受け金具は様々な種類のものが市販されていますが、洋風の感じのものが多く、そのようなお洒落なものを我が家のようなボロ屋に取り付けると違和感が生じそうです。
そこで、以前設置した神棚のように木材で棚受けを作ると良さそうです。

そして、棚受けは下図のとおり柱(左側はアルミサッシの取り付け材)に取り付けることにします。

<平面図>

棚受けの形状は神棚と同様にします。

<側面図>

せっかくなので今回は二段にし、下段に種々のリモコン(テレビ、シーリングファン等)を収納できるようにしています。

これを立面図にしたものが下図になります。

<立面図>

上段の棚については棚受けに載せているだけですが、下段については棚受け側に溝を切り、そこに嵌める形にしています。

<続きます>