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古民家の自然換気(43)土壁の修復⑥大直し

前回、下屋に天井(当面、断熱材のみ)を設けました。

土壁については、下屋側から作業がすべて終了し、下図で「2-1裏返し」「2-2貫伏せ」「2-3荒壁つけ」まで終わった状態になっています。

このうち「2-3荒壁つけ」の反対側(母屋側)について、今回、裏返しを行うことにします(上図で「3-1裏返し」)。
「2-3荒壁つけ」では屋根の受け材(垂木掛け)が支障になって既存の土壁に繋げていないのですが、今回の「3-1裏返し」により既存の壁と一体化できることになります。

この下方(天井下)は前々回に「1荒壁つけ」が終わっていますが、居室内に位置するため最終的には中塗り・上塗りまで行って仕上げる予定です。
その準備として、今回、さらに壁土をつけて平面の精度を高めることにします(上図で「3-2大直し」)。

まずは「3-1裏返し」から。
先週末に反対側(下屋側)から荒壁つけを行いましたが、1週間が経過して下写真の状態にまで乾燥が進んでいます。

先にも書いたとおり現状では既存の壁と繋がっておらず、2cm弱の隙間があります。
この隙間を利用してPF管(可とう電線管)を通しておきます。

3年前の改修工事において、電気ケーブル類は点検が可能なように厨子二階(小屋裏)に配線し直しましたので、ここで壁を貫通させて下屋内の照明器具などに配線するようにしたいと考えています。

裏返しは、前回と同様に行なって完了(下写真は1週間後に撮影したもの)。

この場所は厨子二階(小屋裏)のため荒壁で仕上げて問題ないのですが、既存の壁との接続箇所に不安があったため、大直しを行えるように荒壁の仕上げ面を既存壁のツラから2分程度控えてあります(今のところ、その必要はないようです)。

これでようやく、既存の壁から丸太梁までが土壁で一体化されました。

<Before>

<After>

割れや剥離していたところが修復され、見た目的にも安定感が増しました。

次に「3-2大直し」を行います。

現状は、下写真のとおり「1荒壁つけ」までできています。

さらに壁土をつけて平面の精度を高めることで、今後の中塗り・上塗りに備えるわけです。

このように土壁は荒壁つけ・大直し・中塗り・上塗りのように何回かに分けて施工されますが、これはそれぞれに求められる強度や仕上がりを考慮してのことだと思います。
そして、仕上げに近づくにつれ貧配合(砂の割合大)になっていきますので、今回の大直しにおいても砂を混入することにします。

とは言え、素人ゆえに適当な配合量など分かりませんので直感で1/4(体積比)程度としました。
コテに取ってみると、いわゆる「サクい」状態になっているのが分かります。

サクくなるほど私のような素人には扱いづらくなるのですが、なんとか無事完了(下写真は1週間後に撮影)。

上写真の面については、既存の壁と取り合いがありますので、今後、中塗りをすることを考慮し、既存壁のツラから2分程度控えています。

見た目は別にして、土壁の強度面ではこれで当初の目的を達成しました。
今後の中塗り・上塗りについては、荒壁が完全に乾燥した後になりますが、早くても秋以降の予定です(未定)。

古民家の自然換気(42)下屋の天井(断熱)

前回、下図の「①裏返し」「②貫伏せ」「③荒壁つけ」について、下屋側から壁土をつけました。

土壁の作業はまだ残っていますが(翌週末に予定する大直し等)、下屋側からの作業については前回で完了です。

この下屋については、以前のブログ記事にも記載したとおり、屋根裏の熱い空気が居室内に入ってきてしまう状態になっています。

このため、盛夏を迎える前に対応すべく今回の一連の作業を行っているのですが(ブログ記事は遡って書いていて実際には6月から作業開始)、土壁部分についてはとりあえず塞がった状態になりました。

そして、この土壁に係る作業も下屋側から行う分については全て完了しましたので、上図で朱色着色箇所に天井を設けて断熱を図ることにします(天井の設置を先行すると土壁の作業に支障となる)。

天井板を張るためには、その受け材(廻り縁)を全周に廻す必要があります。
こうした受け材には、他の場所のものを見ると7分(21mm)×1寸8分(54mm)程度の角材が使われています。
手持ちの木材を確認すると、1寸5分(45mm)×1寸8分(55mm)の端材がありますので、これを半分に挽き割ることで木取りできそうです。

ちなみに、この端材は昨年に取り付けた付け鴨居(的なもの)に用いたもので、貧乏な我が家にとっては高級な上小・無節です。
ちょうど良い使い道が見つかりました。

バンドソーを使って縦挽き。

自動カンナ盤で7分の厚さに調整。

ビス留め箇所について下穴を加工。

塗装。

この内の1本についてはクロス仕上げの壁に取り付けることになります。
いつもは古色塗りをすることが多いのですが、クロス壁のところに古色塗りはどうにも違和感が生じるため、今回の塗装にはオイルステイン(バトン:オーク)を使っています。

先の木材からは短辺側のものまでは木取りできなかったため、同サイズの垂木材から木取りして塗装(垂木材のため節があります・・・)。

長辺側を取り付け。

石膏ボード下地の壁側(上写真で右側)は間柱の位置でビス留め。
反対の丸太梁側は適当な間隔で釘留めしています。

ちなみに、昔は上写真で右側にさらに下屋が続いていて、そこに風呂がありました。
20年ほど前のリフォームにおいて、この部分を減築して新たに壁を設けたため土壁ではなくて石膏ボード下地の壁になっているのです。

また、上写真で右側には電気ケーブルが写っていますが、これも20年前のリフォーム時に配線したものです。
3年前の改修工事で電気関係は厨子二階に配線して点検できるようにしましたので、いずれはこの電気ケーブルも移設したいと考えています。

短辺側も取り付け。

これで天井板を張れる状態になりました。
天井板は既に手元にあるのですが、天井板を張ってしまうと先に書いた電気ケーブルの移設ができなくなってしまいます。
そこで、当面は断熱材だけを仮置きした状態にしておくことにします。

<続きます>