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テーブルソー:拡張テーブルの自作

プラダン(冷暖房時に竹天井を断熱する目的で設置)の枠を作製する際に、長尺(約3尺)の材にホゾ加工する必要が生じました。
ホゾの胴付きについては精度を上げるため、テーブルソーを使って加工する考えです。

しかし、私のテーブルソー(マキタ2708)は小型のもので、テーブルの大きさが660mm(幅)×460mm(奥行)しかありません。

このテーブルに3尺の材を載せると、その2/3がテーブルからはみ出すことになり、そのような不安定な状態でテーブルソーを使うのはさすがに危険です。

そこで今回、拡張テーブルを自作するのですが、テーブルソーの取説には同様の目的のものと思われる純正オプション品(ホルダー)が記載されています。

超概略的な図が添えられていますが、鉄の丸棒を曲げただけの代物のような??

いずれにせよ、これを取り付ける仕掛けがテーブルソー側にあるはずです。
テーブルの下を覗いてみると、確かにネジ穴(下写真で朱色矢印)があります。

ネジ穴は一辺につき4個ずつあり、それがテーブルソーに向かって左、右、そして後方にあります。
いずれもネジの大きさ(M6×20)や配置間隔は同じですので、拡張テーブルを一つ作れば、必要に応じて左、右、後方に付け替えることができることになります。

このネジ穴に対して、自作する拡張テーブルをどのように取り付けるか?
ちょうどアルミのアングル(L-25×25×2.0t)が余っていますので、これを下写真のとおり取り付けることにします。

アングルの両翼ともテーブルソーに密接させたいところですが、後方に取り付ける場合、平行定規が移動できるようにその分のクリアランス(下写真で朱色矢印)をとっておきます。

拡張テーブルの骨組みは、胴縁材(40mm×15mm、廃材の再利用)を使います。

木材同士の接ぎ手は3枚の組み接ぎにしようかと思ったのですが、木材の幅が40mm程度しかないため2枚(相欠き)にしています。

この骨組みに対して、天板(ベニア5.5mm厚)を釘止めします。

裏側。

接ぎ手の強度がないため、テーブルソーとの取り付け側(応力作用)は金物(隅金、31mm×31mm)を使って補強しています。

この状態で一旦、テーブルソーに取り付けます。
テーブルソーの後方(下写真で手前側)に取り付ける場合は、傾斜定規(マイターゲージ)の脚が拡張テーブル側に出てくることになります。
この脚を逃がせるように、実は天板の高さを低くしてあるのです。

しかし、この状態ではテーブル間に段差が生じますので、溝以外のところにベニア板(5.5mm厚)を重ね貼りすることで高さを同じにします。

この溝は、あくまでも傾斜定規の脚を逃すためだけのもので精度はありません。

拡張テーブルはテーブルソー本体へボルトで取り付ければ自立しますが、重いものを載せれば下がってしまいます。
そこで、野縁材(38mm×38mm)を使った簡易な脚(取り外し可能)を設けます。

簡単な構造ですが、それでも一手間かけて欠込みを設けておくと直角が決まって気持ち良いものです。

テーブルソーの左側に取り付けてみます。

次に後方に取り付けます。

傾斜定規の脚もスムーズに逃すことができます。

拡張テーブルを後方に取り付けると、下写真のような薄板を挽き割る場合、材が安定することで安全に作業を行えそうです。

このような送材時に拡張テーブルに引っ掛かることがないように、拡張テーブル側が僅かに(0.1mm程度)低くなるようにしてあります。

今回の作製においては、手持ちの材料が使えたため、購入したものはボルトなどの金物だけで済みました(数百円)。
しかし、全ての材料を購入するのであれば、純正オプション品を購入したほうが安くつくかもしれず、さらに作製にかかった手間や時間を考えると市販品は本当に安価だと感じます(発展途上国の人々が低賃金で働いてくれているお陰なのでしょうが)。

いずれにせよ、これでプラダンの枠を作る準備ができました。

テーブルソー:溝切り用治具の作製(2)

テーブルソーで溝切り加工(溝切りカッター使用)をするため、前回、フェザーボード(木製バネ)を作りました。

一般的な溝切りカッターは刃が2個或いは4個程度付いたもの(下写真右)で、テーブルソーの取説で取り付け可能とされているものもこのタイプです。

一方、「自在溝切りカッター」と呼ばれる溝の幅が変えられるものがあります。


<山真製鋸(株)メリッター>

丸ノコのノコ刃(チップソー)を小さくしたような感じですが、刃を偏心できるようになっており、それで可変の溝を掘ると言うアイデア商品(特許?)なのです。

これなら丸ノコのチップソーと同じようなものですので、一般的な溝切りカッターに比べキックバックが起きにくく安全に使えそうです。
ただ、問題はテーブルソーに装着できるか?です。

溝切りカッターの内径は15mmで、テーブルソーのスピンドルの軸径と同じですので、取り付けが可能です。
ただ、マキタの丸ノコ盤2708の場合、そのままでは本体と刃が接触してしまうため、その間に内径が15mmのワッシャーをかませてやることで装着することができました。

・本体側から:スピンドル(軸径15mm)−ワッシャー(内径15mm)−自在溝切りカッター−アウターフランジ(本体付属)−ボルト(本体付属)

なお、自在溝切りカッターを装着することはメーカーの想定外の使い方になり、重大な事故や機械の損傷につながる可能性がありますので念のため。

自在溝切りカッターを装着できたものの、ノコ刃に比べて幅が大きいため、元々の刃口板(インサートプレート)を使うことができません。
そこで、自在溝切りカッター用の刃口板を作ることにします(ついでに通常のノコ刃用のものも)。

材は硬木のほうが良さそうですので、ケヤキの古材(厚5分程度)を使うことにします。

この古材は主屋の縁側(北側)の床板として100年以上使われていたものですが、まさかテーブルソーの刃口板として使うことになるとは。

表面に傷や汚れがあるため、プレーナーにかけます。

100年以上の古材ですが、一皮剥けば綺麗なものです。

刃口板の大きさで、2枚分(溝切りカッター用、ノコ刃用)を木取りします。

テーブルソーは鉄板を板金加工した刃口板を取り付けるようになっているため、木製のものを取り付けるには相応の加工が必要になります。

まずはボルトの取り付け部の形と深さに合わせて溝を掘ります。
この溝の深さが合っていないと、テーブルと刃口板との表面に段差が生じてしまいます。
そこで、正確な深さになるようにトリマーを使います。

各2箇所、計4箇所に溝を掘りました。

さらに周囲の張り出し部分を設けていきます。

テーブルソーを使って加工したのですが、(私的には)かなりの精度で加工が可能です。
先のトリマーによる加工もそうですが、熟練の技がなくとも機械を使えば、このような加工ができてしまうことから趣味で木工を楽しむ方が多いのでしょうね。

ピッタリ収まりました。

ボルト穴を設け、取り付けます。

溝切りカッターを下げた状態でモーターを動作させ、カッターを徐々に上げながら刃口をあけていきます。

通常のノコ刃用のものも同様に加工します。

テーブルソーに付属の刃口板はノコ刃を傾斜させる場合にも対応できるように刃口の幅が大きくなっています。
このため、ノコ刃との間に生じる隙間に切断した木片が落ちて怖い思いをすることがあります。
これならノコ刃との隙間がありませんので、そうした恐れがありません。
もちろん、これは私が独創したものではなく、「ゼロ・クリアランス(clearance:隙間) インサートプレート」として多くの方が自作・公開されているものを真似しました。

これで自在溝切りカッターを使う準備が整いましたので、角材に溝切り加工を施してみます。

材の送りもスムーズにいきますし、高速回転する刃の近くに手を持っていく必要がないので、安心して作業できます。
このような治具があれば、トリマーを使うよりも早く安全に加工できるように感じます。

アッという間に全ての溝を付けることができました(まあ、治具の作製や機械の設定に相当な手間と時間がかかっているのですが・・・)。