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ルーターのメンテナンス

先般、仏間用の机を作るため板材を購入しました。

この板をはいで机の天板(甲板)にするつもりですが、板幅が広くなると「反り」の影響が大きくなります。
反りを抑える方法として「吸い付き桟」と呼ばれるものがあり、昨年、仏間を改修した際に再利用した一枚板(下写真)にもそれが施されていました。

私のような素人にできるようなものかわかりませんが、この機会に吸い付き桟にも挑戦してみたいと思っています。
吸い付き桟は上写真のとおり板側に(蟻)溝を切りますが、これにはルーターと呼ばれる電動工具を使うことが多いようです。
ルーターは持っておらず、買うとすればいくら位するものか調べると、国内メーカーのプロ仕様のもので3万円程度(ネット店舗の実売価格)。
電動工具としては比較的安価な部類ですが、それでも私の使用頻度からすると悩ましい価格です・・・。
かと言って安価なホームセンターモデルを買えば安物買いの銭失いになりそう。
と言うことで、プロ仕様のUSED品を求めてオークションサイトやフリマアプリを探索。
USED品の相場は本体のみで5千円程度、付属品等が一式揃っていると1万円程度です。
この程度であれば懐事情が寂しい私でも大丈夫だと品定めしていると、不動のジャンク品が激安で売られているのを見つけポチッとしてしまいました。

なぜ不動のジャンク品なんかを買ったかと言えば、付属品が一式揃っており、それだけでもメーカーから取り寄せるより安価だったからです。
本体は別途、動作品を買うつもりでいるのですが、ひょっとして修理できるのではないかと言う取らぬ狸の皮算用も(^_^;

商品の説明書きには「突然動作しなくなった」とあります。
こうした場合、まずチェックすべきは消耗品のカーボンブラシです。
ところが購入したジャンク品を見ると、カーボンブラシが無いどころか、カーボンブラシを格納するホルダが破壊されています(下写真は既にホルダを取り外した状態)。

前所有者もカーボンブラシをチェックしたのでしょうが、それでも動作しないため強引にホルダを取り外そうとしたようです。
これでは導通すら確認できません・・・。
ホルダもメーカーから取り寄せ可能で安価(300円程度)ですので、とりあえずホルダを復旧してみることにします。
ただ、この機種は厄介なことにブラシホルダを取り外すには一旦、モーター内部を分解する必要がありそうです。
ついでにモーターの状態も確認しながら分解することにします(メーカーは「自身での分解・修理は禁止」としています。感電事故等のおそれがあり、完全に自己責任です)。
まずはアマチュア(モーター≒アマチュア+ステータ)を取り外します。

不動の原因としてモーターの焼き付きも考えられますが、アマチュアは綺麗でパッと見では問題なさそうです(導通もOK)。
よく使った機械はカーボンブラシが接触するコンミ(テータ)と呼ばれる部分が摩耗しているそうですが、これも問題ありません。
アマチュアもメーカーから取り寄せられるため最悪、交換することもできますが、高価(1.5万円)で修理する意味がなくなります。
とりあえずアマチュアの状態が良好でひと安心です。

次にステータ(下写真でコイル状のもの)を取り外しますが、これがモーターケースに固く嵌っていて微動だにしません・・・。

ケースをパワートーチであぶってやろうかとも思ったのですが、ケースに接触している絶縁電線まで溶けてしまうのではないかと断念。
試行錯誤し、最終的にはステータのボルト穴(2箇所)に鉄の丸棒を挿し込み、それを万力で固定しつつ左右に少し回転させながら抜き取ることに成功(回転させすぎると配線に損傷を与えるので注意)。

上写真でリング状のバネ(ブラシターミナル)がブラシホルダとの接続部分です。

これでケースだけの状態になったため、ケースからブラシホルダ(2箇所あるうち破損している1箇所のみ)を取り外します(これまた、かなり固いです)。

上写真で左側が取り外したもので、右側が新品になります。

メーカーから取り寄せた新しいものをはめ込みます。

ケース内から見ると下写真のとおりです。

ステータを取り付けたうえ、配線(ブラシターミナル)をブラシホルダに接続します。

ブラシホルダがケースの一番奥にありますが、手を入れることもできず、配線の接続にも難儀しました・・・。
ケースの上部が開くような設計なら、配線が容易だし、そもそもステータなどを取り外さなくてもブラシホルダを交換できるのにとメーカーに文句を言いたくなります(メーカーは分解・修理を禁止しているのですが・・・)。

配線をいじったついでに念のためスイッチも点検しておきます。

スイッチを入れてテスターで導通を確認するも針が振れません・・・。
まさか単なるスイッチの故障が不動の原因!?
一気に修理できる可能性が高まりました(^_^)

新しいスイッチを手配するためラベルを確認すると結線図も示されています。

上写真の結線図で3、5が電源側で、1、2、4が負荷側になります。
負荷側が3極なのは、この機種が電気ブレーキ付き(スイッチを切ると直ぐに停止)で、それを働かせるためです。
電気ブレーキについて詳しいことは知りませんが、結線図を見る限り、スイッチOFF時に負荷側(1と2)を短絡させるようなことをしています。
中学の理科でモーターと発電機は同じ仕組みであることを習ったことを思い出すと、スイッチOFF後に発生する電気エネルギーを奪う形でブレーキを働かせているのでしょう。

短絡させるようなことをしていればスイッチの接点にカーボンが付着しそうなものです。
スイッチも分解して接点の状態を確認します。

真っ黒です!
カーボンを落としてテスターで確認すると問題無し。
新しいスイッチを買わずに済みました(^_^)

誤接続しないように慎重に配線を戻します。

スイッチが不動の原因であれば、これで動作するはずです。
早速、コンセントにつないでスイッチを入れたくなりますが、焦りは禁物。
まずは、プラグで導通を確認→問題なし。
配線の接続ミスはなさそうですが、あと心配なのは漏電です(特に今回のような古い機種の場合)。
USED品を安く買えたとしても感電事故(最悪死亡)を起こしていては元も子もありません。
「メガー」と呼ばれる絶縁抵抗計を使って漏電していないか確認しておきます(テスターでは不十分です)。

抵抗値が∞のため問題なし。
これで安心してコンセントにつなげます。
そして、スイッチを入れると軽快に動作します(^_^)
結局、不動の原因はスイッチの故障(接点へのカーボン付着)だったわけです。
スイッチだけなら千円程度ですし、メーカーや販売店に修理を依頼しても5千円もかからないのではないかと思います。
それを素人が無理にいじって今回のようにブラシホルダを壊したりすると厄介なことになってしまいます(素人が素人のことを言っていますが・・・)。
メーカーが「自身での分解・修理は禁止」とするのもやむを得ないのかもしれませんね。
それでも、最低限の知識と、時間と手間を惜しまなければ修理が可能な構造になっているのは素晴らしいものだと、今回の修理を通じて改めて感じました(この点、ホームセンターモデルは部品の供給すらないため実質修理不可能で使い捨てが前提になります)。

さて、これで問題なく動作することがわかったため、ほかの細いところをチェック。
前所有者も分解を試みようとしたのか、ネジ頭がなめていたり、無くなっているものがあります。
それらも新しいものを調達して交換しておきます(なめたネジが使われているのはなんとも気持ちが悪いものです)。

そして、修理完了です。

仏間用の机を作るのはまだ先のことですが、材料(木材)と機械だけは早くも揃いました。

集塵機のメンテナンス(2)電源コード取り替え

集塵機の電源コード等を交換するため、前回、本体を分解して内部を確認したうえ必要材料(電源コード、圧着端子等)を入手しました。

購入した電源コードは切り売りのものですので、その両端に接続端子やプラグを取り付ける必要があります。
その加工を行う前に、電源コードを集塵機本体のコードガード(下写真で右上の筒状のもの)に通しておこうと思ったらキツくてはいりません・・・。
どうしてだろう?と思って既存(純正品)の電源コード(下写真で左側)と断面を比べると、全然太いのです。

中の絶縁電線は同じなので、シース(外装)の厚さが違うのです。
シースは厚いほうが安全で良いのですが、コードガードに通せないため、とりあえずはコードガードなしで作業を進めることにします(電源コードの太さに応じたコードガードを後日取り寄せる予定)。
シースの厚さと言えば、マキタの電動工具のなかにはシースが薄い電源コードが使われているものがありますが、そうした電源コードほど冬になると固くなって取り回しに苦労しますので、今回電源コードを交換することで使い勝手が良くなりそうです。

電源コード(VCT2×3C)の集塵機本体側には下写真の圧着端子(TC形×1、FA形×2)を取り付けます。

今回使用する圧着端子は裸端子と絶縁被覆付き端子の2種類があり、電線との圧着加工には、それぞれ専用の圧着工具(ペンチ)を用いる必要があります。
裸端子用の圧着工具(下写真で赤いハンドルのもの。JISマーク付き)は使用頻度が多いこともあって所有しています。
一方の絶縁被覆付き端子については、使用頻度が少ないため、これまでは簡易的に多機能電工ペンチ(下写真でオレンジ色のハンドル)を使って済ませていたのですが、今回、絶縁被覆付き端子用の圧着工具(下写真で青色のハンドル)を購入しました。

こうした圧着工具は国内メーカー製だと安くても1本5,000円以上するのですが、今回購入したものは中国製のパチモノで、なんと送料込み1,000円です(AmazonやAliExpressで購入できます)。
こうした精度が求められる工具に中国製のパチモノは有り得ないと思っているのですが、某大手事業者向け通販サイトで、これと同じと思われるものに自社ブランドを冠して販売されている(4,000円程度)のを見て、ひょっとして使いものになるのではないかと期待して購入してみたのです。

実物を確認すると、作りも使い勝手も良く、とても送料込み1,000円の代物には思えません(おそるべしMade in CHINA!)。

ただ、肝心のダイスについて、1口に2枚ある歯口が同一形状になっています・・・(本来は、心線側と被覆側で形状が異なるのだと思います)。

とりあえず圧着してみると・・・

素人判断ですが、しっかり圧着できました。
ただ、刻印は被覆が半透明であるためかもしれませんが、はっきり読み取れません。

裸端子のほうは、信頼の日本製(圧着端子メーカーのニチフ製)、かつJISマーク付きの圧着工具を使って圧着。

文句なしの仕上がりです。

両者を比較すれば、今回購入した中国製のものはまだまだだと感じます。
しかし、万能電工ペンチで簡易的に圧着するのに比べれば良い仕事をしてくれますので、使用箇所や頻度、そして懐具合に応じて中国製の圧着工具を選択するのもアリ!?かもしれません(もしくは「安物買いの銭失い」・・・)。

とりあえず、集塵機本体側については既存のものと同様に加工できました。

次にプラグ側を加工します。

プラグは接地付きのゴムキャップ(2PE)を使っています。
ゴムキャップとの結線は、従来は巻線によりネジ止めしていましたが、今回使ったもの(パナソニック WF7005K)は圧着端子(R形)によりネジ止めできるようになっています(従来のものは圧着端子の使用不可)。
露出型コンセントの結線で輪作りしなくて済むようになったり、こうした電材もいろいろと変わっているようです。

そして、集塵機本体側、プラグ側ともに加工完了。

こうして加工した電源コードを集塵機本体に元通り接続します(連動用コンセントも新しいものに交換しています)。

誤接続していないことを確認したうえ集塵機のスイッチをON。
そして、連動コンセントにつないだ丸ノコの操作とともに集塵機が動作します。

連動用コンセント(抜け止め型)も新しいものに交換したため、以前のようにグラつくこともなく、しっかりホールドされるようになりました。

こうして手入れして不具合が解消されると嬉しいものですし、今後、集塵機を使って行う作業自体も楽しくなるように感じます(古民家の改修と同じ!?)。

さらに、コスト面においても新品に買い換えるよりも安く済むはずですが、実際、今回のメンテナンスに要した費用を集計してみると・・・

合計で7,100円。
痛んでいた集塵ホースなども、この機会に新しいものを購入したこともありますが、ホームセンターで売っている安物の集塵機であれば新品が買えそうな金額です。
もし、モーターなどの基幹部分も交換する必要があったとすれば、コスト面で割に合わないことになります。
なんだか古民家再生と似ていますね。
手間もお金もかかりますが、こうしたことが好きで、そして多少は環境負荷の低減に貢献できるはずですので(あくまでも新品を購入することに比較してですが)、これからも自分のできる範囲内でやっていきたいと思っています。