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雨水対策(11)土留め設置(シュロの木を利用)

前回、斜面(昭和30年代に崩れたこと有り)の安定化策のひとつとして、斜面の肩部分に土留め(下図で朱色丸印)を施すことにしました。

自然を生かして斜面を安定化させたいと考えていますので、土留め材自体もコンクリートなどではなく自然に還るものを使いたいものです。
そうした土留めには丸太が使われることが多く、それで思い出したのが昨年伐採したシュロの木です。

シュロは上写真のとおり網状の皮を有していますが、それが伐倒の手間を取らせることもあって、近年では嫌われるようです(「シュロ」を「城」に掛け、もて囃されていた時期もあったことを思うと、本当に人間は身勝手なものです)。
しかし、土留めに使うのであれば、この網状の皮が土との一体化を促し、耐久性(耐水性)も上がるように感じます。

ちょうど昨年の今頃に伐採しましたので、下写真の状態で1年間置いてあったことになります。

これを土留め設置箇所まで運びます。
3m程度の長さで切ってあり、乾燥が進んで軽くなっていると思ったのですが、重さはほとんど変わっていないようです。
そこで思い出したのが、このシュロの木とは別のものになりますが、伐採後に同様に置いてあったところ、頂上部の葉が2年以上青い状態を保っていたことです。
シュロの生命力は相当強く、地面に接していれば、ある程度は生き続けることができるのかもしれません。

土留め設置箇所に仮置きします。

上写真を見ると、もっと山側(上写真で右側)に設置できそうに思いますが、山側にあるものは以前、投棄していた剪定屑が埋まっているもので、それで地面が続いているように見えるだけなのです。

剪定屑を(焼却)処分できず、この谷に投棄していたわけで、以前は山になって積み上がっていました・・・。

上写真で剪定屑の山で根元が埋もれているのが先般伐採したスギの木です。

スギの樹皮が湿気っていたため、1、2年ほど前に剪定屑の山を撤去したのですが、「時すでに遅し」だったのかもしれません(撤去した剪定屑は畑の堆肥や薪ストーブの焚き付けとして利用しました)。

少し離れた場所から土留めの位置と線形を確認します。

シュロの木を固定するため木杭を打ちます(下写真で朱色矢印)。

(上写真でいきなりツバキの花がたくさん散っているのは、実際には何日かに分けて作業しているためです。)

木杭で固定したシュロの木を足場にし、山側に堆積している腐葉土状の土を引き上げます。
引き上げた土をシュロの木の周囲に盛って一体化させます。

山の中のほうまで見通せるようになり、懸案が解消したかのようにスッキリします。
とは言え、上写真で奥の方に写っている白いものが不法投棄ゴミで、この片付けに数年(十年以上?)はかかりそうですが・・・。

土とともに山側から引き上げた剪定屑です。

投棄してから新しいものでも5年以上が経過していますが、太さや樹種によっては朽ちずに残っています。

これらの剪定屑は畑に運んで堆肥とします。

以前のブログ記事に書いたとおり、生ゴミを畑に還元する際に畝を作っています。
その際、畝の両側に溝ができるのですが、そこにこうした剪定屑や竹などを投入しています。
分解後に肥料分になることに加え、排水性の改良を期待しています。

<続きます>

雨水対策(10)自然植生による斜面安定化策

自宅敷地と里山との境界にあるスギが枯れたことから、先般伐採しました。

里山との境界は斜面になっており、この斜面は雨樋の故障や昭和30年代に起きた竹の一斉枯死を引き金として崩れたことがあります(下図で茶色矢印の円弧滑り)。

斜面崩壊の進行を食い止めるべく、亡き祖母が斜面の肩部分にスギの苗木(上図で緑色イラスト)を植えたのですが、その内の1本が先に伐採した木になります。
斜面がその後、再び崩れることはなく、スギが果たしてきた役割は大きかったわけですが、枯れたことで気になるのは今後の斜面のことです。

ところで、私自身は斜面が崩れたことや杉を植えたことは聞いて知っているだけですが、それでもこのエリア(下図で左下。偶然にも裏鬼門に一致します)は注意を払う必要があるように感じてきました。

現在の土木技術からすれば、この程度の斜面(h=8m弱)であればコンクリート製ブロック(間知ブロック)を積んで安定化させるのはそう難しいことではないと思います(ただし、費用は100m2×12千円/m2=120万円:仮設工事や経費を含みませんので、最低でも200万円はかかりますが)。

しかし、コンクリート構造物の強度は短期的には完璧であるものの、長期的に見れば自然には敵わないと思っています。
そこで、祖母がスギを植えたように自然の植生を生かした斜面安定化を図りたいと考えています。
具体的には、斜面の植生を次のようにし、それぞれの根の力を借りると言うものです。

  • 極表層:雑草
  • 表層:竹
  • 深層:雑木

要するに自然の山の状態で、本来はこのようになっても良いはずです。
しかし、剪定屑などの投棄による樹木・竹の倒壊や地盤の軟弱化、除草剤の散布や雨樋の故障による土砂の流出が進んでいることから、少し手助けしないことには上記の状態になってくれそうにありません。


(整備中の写真)


(整備前の写真)

これまでから取り組んでいる、里山整備(竹の間伐)や投棄ゴミの回収雨樋や排水路の整備は、この手助けのひとつだと思っています。

さて、枯死したスギですが、幸いなことに近くにはツバキなどの雑木が大きくなってきていますので、これらの力を期待できそうです。

これらの雑木の力に期待するものの、雨水が山側(斜面)に流れ落ちる際に土砂を流出させてしまう恐れがあります(離れの雨水排水は山側に流れないように昨年に雨樋や排水路を整備済)。

そこで、土砂を流出させないように、肩の部分に土留め(上図で朱色丸印)を施すことにします。

土留めを設置する区間は枯死したスギの木を挟んで南北それぞれ約10m(下図で黄・朱色線)とします。

スギの木の南側(上図で黄色線)については、昨年に既に土留めを設置していますので(下写真)、これを延長する形になります。

<続きます>