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古民家の自然換気(3)外壁の換気口

前回、外壁に換気口(下写真及び図で「換気口A2」)を設けたことで、夏季、室内にこもる暖気を自然換気するとともに、厨子二階(屋根裏)に空気の流れが生じることを期待しています。

換気されるようになったのは上図(厨子二階の平面図)で24畳側になりますが、この24畳側と土壁で仕切られた16畳側についても同様に換気口を設けることにします。

ところで、この16畳側の北側半分(下写真で手前側)は他の所よりも床高(差し鴨居の天端位置)が低くなっており、その分、天井が(相対的に)高く、居室として使いやすいようになっています。


(改修工事前の写真)

厨子二階は本二階とは異なり二階は物置き的な用途になりますが(「厨子」には仏具のほかに収納という意味があります)、一部は簡易的な居室として使われることもあったようです。

実際、ここは居室として使われていたらしく、ここにのみ採光用の窓や吊り天井が設けられています。


(改修工事前の写真)

この窓ですが、昔は雨戸が入っていたのだろうと思いますが、既に見る影も無く、特に敷居は浸入した雨でボロボロでした。
幸い構造部分には達していませんでしたが、雨が入るような状態ではマズイと改修工事において大工さんがうまい具合に壁板を張れるようにしてくれました(最後の壁板張りのみDIY施工)。

<工事前の外観>

<工事後にDIYにて壁板張り&塗装>

この結果、建物の内側は現在、下写真の状態になっています。

ようやく本題の換気のことに話が戻りますが、この窓だったところには壁土がありませんので、ここなら容易に換気口を設けることができそうです。
(本来は、24畳側と同じように妻面の最上部に換気口を設けたいところですが、設置には足場が必要となり厄介なのです。)

換気口は丸型のガラリ(φ100×2箇所)を利用しますが、設置するのに窓の侵入防止柵(鉄の棒)が邪魔になります。

ちなみに、この鉄の棒の間隔(120mm)では小動物は入れるでしょうから、人間(盗人)の侵入防止用でしょうか。
昔でも用心深かったものですね。

鉄の棒はサビサビですし、構造には関係ありませんので(鴨居を外して)撤去します。

ボロボロの敷居にはいずれ柿渋を塗布するつもりです(下写真は未塗布の状態)。

換気口の設置箇所に建物の内側から穴を開けます。

この16畳側には採光窓(ガラス瓦)がありませんので、照明がないと真っ暗なのですが、穴を開けたことで幾分明るくなりました。
今回開けた穴にはガラリを取り付けますが、同様にして小さい窓(船の客室にあるようなもの)を取り付けてみるのも面白いかもしれませんね(^_^)
そして、エツリ(竹木舞)をして壁土をつけて完成させます(99%やらないと思います・・・)。

外側からガラリを取り付け、シーリング剤を充填します。

設置完了です。

この換気口の設置により下図のとおり自然換気されることを期待していますが、効果のほどは??

<続きます>

古民家の自然換気(2)外壁の換気口

夏季、天井に設けた換気口(採光窓兼用)を開けておけば、室内の暖かい空気が厨子二階(屋根裏)に排出されることになります。


(1F部屋側、夏季は障子窓を開)


(2F厨子側)

しかし、このままでは厨子二階に暖気がこもってしまいますので、さらに屋外へと排出するための換気口が必要になります(まあ、古民家は高気密住宅の真逆なので、数多ある隙間から排出されるのでしょうが)。

改修前の主屋の写真を確認すると、大屋根の妻面上部に換気用の開口(下写真で朱色線の囲み)があったことがわかります。

この開口には合板が張られ、塞がれた状態になっていますが、亡き父が鳥や小動物、あるいは台風時の雨が入るを防ぐために取り付けたのだと思います。

換気用に大きな開口を設けると同様の心配がありますので、改修工事において建築士さん大工さんと相談の結果、全面にシブキ板(外壁用の板)を張ってもらい、後にDIYにて換気口を設置することにしました。

ここに換気口を設けると、暖気は下図(厨子二階の平面図)及び写真のとおり排出されることになります。

外壁に取り付ける換気口は様々な種類のものが市販されていますが、一般的な丸型のガラリ(SUS)を用いることにします。
木材を使って少し凝ったものを自作するのも面白いのですが、設置箇所が東面(台風時の暴風雨が当たる)になるため実用性を重視することにします。あと価格が安価(1,000円×2個)なのも大きな決め手ですね(^_^)

設置作業は屋内側からでは高所作業となり危険ですので、屋外側(下屋の屋根上で作業可)から行うことにします。
ただ、換気口は梁や母屋(もや)を避けて設置する必要がありますが、屋外側からは梁などの位置を確認できません。
そこで屋根の断面図に梁や母屋の位置を落とし、換気口の設置位置(下図で朱色丸印、φ150×2箇所)を割り出します。

上図に従って外壁に穴(ガラリに取り付ける塩ビ管の外径φ165)を開けます。

穴が開くと、屋内側から暖い空気が出てくるのがわかります。

ガラリを取り付け、防水のため周囲をシーリング材で充填しておきます。

2箇所とも設置完了。

古民家に色がシルバーのガラリを設置すると違和感が出るのではないかとも思いましたが、遠目にはほとんど目につきません(手前の架空線=ケーブルTVのほうが目障りですね)。

屋内側の状況です。

ガラリの先に塩ビ管が取り付けてあるため、多少の雨が入ったとしても梁を濡らすことはありません(こう書くと、さも配慮が行き届いているようですが、実は大工さんに教えてもらいました)。