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古民家の自然換気(34)冷風扇:ナカトミBCF-30L

LDKの天井には、採光と(自然)換気を図る目的で開口部を設けてあります。

<開口部1:居間側>

<開口部2:台所側>

夏季は、これらの開口部をオープンにするとともに、窓(特に風上側)を開けて外気をふんだんに取り込むことで暑さ対策とする考えです。

このように夏季の換気を重視しているのは、我が家のような古民家は土壁が多用されていることから、閉め切ると一転して条件が悪くなってしまうからです(土壁からの放熱等)。
このため、留守等で窓を閉め切ると帰宅時にはムンムンとした空気が淀んでいるのが分かります。
そして、こうしたときには昨年導入したシーリングファンを回してムンムンとした空気を強制排出させるようにしています。

シーリングファンを導入した第一の目的は薪ストーブ用(暖気の循環)だったのですが、意外にも夏季に威力を発揮しています。

ちなみに、夏季のシーリングファンは冬季とは逆の風向(下向き)で運転させることで、天井の開口部から暑い空気を排出させます。

我が家の周りは自然(庭、畑、里山)に囲まれており、外気が街中に比べて冷たいため、こうした自然換気による暑さ対策をとるのが良いのではないかと考えています。
とは言え、地球温暖化の影響か、それとも人間(特に私自身)が弱体化しているためか、真夏になると、こうした自然換気による暑さ対策は通用せずエアコンに頼らざるを得ない状況になってきています。

昨年導入した竹ボイラーの配管を拡張することで井戸水クーラーを導入したいと考えてはいるのですが、(私の能力的に)難しいところもあって直ぐには実現できそうにありません。

もっと容易に、しかも自然換気を活かすものがないか??
そこで思いつくのが冷風扇です。
冷風扇は昔人の知恵である打ち水を応用したもので、水が蒸発するときの気化熱により周囲の温度を下げる仕組みです。
冷風扇はエアコンのようにコンプレッサーを使わないため扇風機と同等の電気使用量で済むというメリットがあります。
一方、水を蒸発させる仕組みから密閉した空間で使用すると湿度が高くなってしまいます。
このため、気密性の優れた現代住宅で用いる場合にはエアコン(除湿)との併用が前提になるのでしょうが、我が家のような古民家ではその心配はありませんし、自然換気とともに用いることで冷風扇の本領を発揮するかもしれません。

そんなことで、大型の冷風扇(ナカトミ クールブロアー BCF-30L)を購入(1万5千円程度)。


(ナカトミHPより)

この冷風扇の最大の特徴は大型(タンク容量30L)で、水道の直結も可能なことです。
一般的な家庭用の冷風扇は5L程度のタンク容量のものが多いようですので、その6倍もあります。
もちろん、むやみにタンク容量がデカイだけではなく、それに応じた送風・気化能力を備えているのでしょう。
水道の直結については、昨年に竹ボイラーを導入した際、井戸水の配管を主屋内にまで引き込んでありますので、それに接続して冷たい井戸水を使うようにすれば、より冷房効果が得られるかもしれません(基本は気化熱)。

しかし、届いたものを見て(ネットで購入)、その大きさにビックリ!
30Lものタンク容量があるため大きいとは思っていたものの想像以上です。

<冷風扇寸法図>

(ナカトミHPより)

例えるとカラーボックス程度の大きさで、そんなものを適当に置いておけば邪魔になること必至。
設置場所を検討せざるを得ません・・・。

使用場所(ダイニングテーブル)に近いところで、しかも井戸水の配管に接続しやすいところとして候補に上がったのが下写真の壁の前です。

この壁にはインターフォンの親機が取り付けてあり、その下には電話(子機)などを置くための台として収納箱が置いてあります。
収納箱の中にはほとんど何も入っていませんので、電話などを置くための棚があれば十分です。
このため、棚を設置し、その下に冷風扇(キャスター付き)を置くようにすれば良さそうです。

棚の設置には、棚板とそれを支えるもの(棚受け金具等)が必要となります。
棚受け金具は様々な種類のものが市販されていますが、洋風の感じのものが多く、そのようなお洒落なものを我が家のようなボロ屋に取り付けると違和感が生じそうです。
そこで、以前設置した神棚のように木材で棚受けを作ると良さそうです。

そして、棚受けは下図のとおり柱(左側はアルミサッシの取り付け材)に取り付けることにします。

<平面図>

棚受けの形状は神棚と同様にします。

<側面図>

せっかくなので今回は二段にし、下段に種々のリモコン(テレビ、シーリングファン等)を収納できるようにしています。

これを立面図にしたものが下図になります。

<立面図>

上段の棚については棚受けに載せているだけですが、下段については棚受け側に溝を切り、そこに嵌める形にしています。

<続きます>

古民家の自然換気(33)竹による墜落防止策②

夏季は障子天井をオープンにして換気を図ることで、なるべくエアコンへの依存を減らしたいと考えています。

しかし、障子天井を開けると厨子二階(小屋裏)の床に穴が開いた格好になって危険なため、前回、下図のとおり竹を利用して墜落防止策を講じることにしました。

竹は容易に着脱できるように井戸の竹蓋(下写真)のように編んだものにします(2分割、1個のサイズW910mm×L725mm)。

(手順は以前作った井戸の竹蓋竹天井と同じですので、概要の記載に留めます。)

竹は直径が1寸(30mm)程度のものを使いますが、2年前の冬に伐採したものが少し残っており、これで何とか足りそうです(昨冬に伐採したものは、まだ青竹の状態)。
910mmで切り揃えたうえ、水拭きし、亜麻仁油で磨きます。

竹を並べ、長さが725mm程度になるように本数を調整します。

棕櫚縄(黒染め)を使って編みます。

竹は円筒形で表面が平滑ですが、棕櫚縄を使って頑丈に編めるものです。

同じものを、もう一つ作ります。

出来上がったものを厨子二階側から設置します。

これで、うっかり開口部に踏み込んだとしても墜落することがなくなり安心です。

ところで、天井に換気用の大きな開口を設けたりしているので換気量の計算による裏付けでもあるのかと思われるかもしれませんが、そのようなものは一切ありません・・・。
実は、昔も同規模の開口(換気用)があり、それを復活させているだけなのです。
学生のとき、換気量の計算(農業施設)を課題で行なったことがありますが、我が家のようなボロ屋の場合、そんな小難しいことをせずとも自然任せで良かったわけです。


(改修工事前)

昔の開口部には上写真の箱状のものが乗せてあり、これを見たときは「何のためのものなのか?」と疑問に思ったのですが、今になってみて、これも墜落防止のためのものだったことが良く分かります(昔の厨子二階は柴の保管場所として使われていたため、そのゴミが階下に落ちないようにするための目的もあり)。

さて、階下の居室側から見ると、竹の隙間から木漏れ日のように光が差し込んで良い感じです。

天窓のシェードと、この竹の設置により以前に比べて暗くなったものの、夏季はこの程度で十二分のように感じます。

見た目も涼しげな感じになりましたので、ついでに風鈴も取り付け、さらに夏バージョンらしくしてみます。
風鈴を竹(稈)に結んで取り付ければ良いのですが、高所のため容易に取り付けられるように竹にフックを取り付けておきます。
フックには、以前に作ったほうき掛けと同じく波板用セットフック(10本入りで100円程度)を用います。

ドリルで竹に穴をあけ、セットフックを取り付けます(傘金がうまい具合に使えます)。

一方の風鈴を出してくると、短冊部分が無くなってありません・・・。
短冊は厚紙や突板から作っても良いのですが、ここは竹天井に合わせて竹で作りたいものです。
以前、竹で育苗ポットの名札を作ったことがあり、それを使えると思ったのですが、そのままでは重すぎて風で揺らぎそうにありません。

そこで、鉈を使って半分の厚さに剥いで軽くします。

手元にあった乾燥竹を使っていますが、青竹ならもっと剥ぎやすいのかもしれません。

紐を通す穴をあけるついでに、ほかにも適当に穴をあけて装飾とします。

竹製の短冊を風鈴本体に取り付けます。

フックに掛けて完成です。

換気時の上昇気流で風鈴が鳴ると良いのですが、上昇気流だけでは厳しい感じです。

<続きます>