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果樹園の再生(26)ミカンの移植と接ぎ木

下写真のミカン(1年前に植え付け、常緑樹)の生育状況が思わしくないため、暖かくなったら違う場所に移植する前提で、今年2月、その横にスモモ(落葉樹)を植え付けました。

3月に入り暖かくなってきたことから移植することにし、ミカンの苗木を掘り上げます。

1年前に植え付けたときと大きさが変わらないばかりか、葉が少なく黄色くなっています(栄養不足)。
実は以前、ミカンの苗木を1本枯らしてしまったことがあるのですが、そのときと全く同じ状況です(このまま置いておけば、いずれ枯死してしまうはず)。
そのとき、辛うじて生き残っているミカンを土地が肥えている畑(自宅敷地内)に移植したところ元気を回復し、今も順調に成長しています。
そこで、今回掘り上げたミカンも同じ畑に移植することにします。

ちなみに、その畑に植えてあるミカンの1本(デコポン)が今冬から収穫できるようになりました。

自然栽培で無肥料・無農薬ですが、皮の色艶も最高です。

しかも、実際に食べてみると甘くて美味しい(^_^)
しかし、これ以上に驚いたのが、この後に食べた市販の温州みかんの水っぽさと味気なさです。
見た目は最高、中身は??。まさに化成肥料が化けたようなものだと感じました。

ちなみに私はみかんが好物で、昔は手のひらが黄色くなるほど食べたものですが、最近のみかんはどうにも不味く感じられるため、近所の方に地みかん(八朔)を頒けてもらって食べることが多いです。
今どき、見た目が悪くて皮も硬い地みかんは嫌われます。
しかし、いくら見た目が良くても肝心の中身が粗悪なものであっては、それを食べる人間も脆弱なものにならざるを得ないのではないかと心配になります。

閑話休題

衰弱したミカンを土地が肥えている畑に移植したところ元気を回復したと言うことは、ミカンは他の果樹とは違って多肥を要するようです。
であれば、衰弱したミカンでも株元に化成肥料をバラまいておけば元気を回復し、とりあえずは多収できるようになると思いますが(その点ではミカンは栽培容易)、それでは意味がありません。
先に掘り上げた苗木を果樹の性質に合ったところ(今回は肥えた畑)に移植します。

この畑にミカン類が集まり、ミカン畑になりそうな感じです(今回移植したミカンは下図で45番)。

この畑以外に、もう1本だけミカンが植えてあります(上図で朱色★印)。
このミカン(温州)は4年前に植えたもので、当時に比べて大きくはなっているもののイマイチで未だ結実するに至らず。

このため、このミカンも先の畑に移植することにして掘り上げます。

不耕起、無除草により土は黒変してきていますが、多肥を要するミカンにはまだ十分でないようです。
掘り上げたついでに、穴に朽ちた木を埋めておきました。

掘り上げたものをミカン畑に移植(下写真で朱色矢印)。

ミカン類が7本(上写真で黄色丸印)になりました。
場所的にはあと1、2本植えられそうです。

そのためと言うわけでもありませんが、ミカンも接ぎ木を行うため台木(ユズ)を育てています。

上写真は2年前に播種したものです。
継ぎ木を行うにはもう1年待ったほうが良さそうですが、試しに1本だけ接ぎ木(継ぎ穂:デコポン)を行うことにします。

ビワと同じように行いましたが、果たして着いてくれるでしょうか。

果樹園の再生(25)イチジクの挿し木

前回、ビワの接ぎ木を行いました。

果樹の増殖は接ぎ木により行うことが多いですが、接ぎ木は技術的な難しさに加え、台木の栽培など色々と大変です。
それを思うと1本800円程度で市販されている接ぎ木苗は本当に安いものです。
それにも関わらず私が接ぎ木を行うのは耕作放棄地などに植えるのに数を必要とするほか、できるだけ自然樹形(主幹形)で生育させたいと思っているからです。
市販の接ぎ木苗は主幹が大きく切り詰められた状態で販売されていますが、このため余程樹勢の強いもの(スモモ等)でない限り、自然樹形(主幹形)に復帰させるのは現実的に不可能だと感じています。
もちろん、苗木の栽培農家が無駄に切り詰めているわけではありませんが、山の木のように自然な形で生育させようとする場合には致命的な一手になりかねません。
そんなわけで「接ぎ木」にトライしているのですが、先に書いた通り色々と大変で、よく「挿し木」ができないものかと思います。
しかし、果樹で挿し木ができるものは少なく、思い付くのはイチジクとグミぐらいでしょうか。

イチジクと言えば、2年前に接ぎ木苗(蓬莱柿)を植え付けたものが、既に3mを超える高さにまで大きくなっています。

さすが挿し木が可能なだけあって成長力も旺盛です。

しかし、こうして急激に成長するものは根による支えが追いつかず、風で幹が折れたり、倒れたりしやすいもので、このイチジクの木も昨年8月の台風襲来により傾いてしまいました。
下写真が杭を追加して補強しているときの様子です。

このときには既に下写真のとおり結実しており、その後、熟して初収穫に至りました。

木も大きくなっていることから挿し木を行うことにします。
枝を切り、挿し穂として3芽程度がつくように切り分けます。

断面(形成層)が大きくなるように切り口が斜めになるように切っています。
また、反対側の表皮も削っています。

水に浸けて、しばらく水揚げさせます。
イチジクは活着しやすいため畑にでも挿しておけば十分のように思いつつも挿し床(鹿沼土)を用意。

そこに挿し穂を挿せば完了です。

接ぎ木に比べると本当に容易です。

切り口を見るとイチジクの形成層(下写真で緑色の部分)は随分と大きく、なるほど挿し木が可能なわけです。