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テレビスタンドの自作

先般(ブログ記事では前回ですが、実際には6月)、DIYにて下写真(左上角)のエアコンを設置しました。

今夏も猛暑日が続いたため、このエアコンが活躍してくれました。
古民家のつくりは夏を旨としているものの、酷暑には敵わず、7月下旬から8月一杯は正午頃にエアコンのスイッチを入れて夜まで常時運転するようにしていました。
それでも部屋が狭いため(6畳間、断熱材有)、すぐにエアコンが効きますし、以前のように室外機のコンプレッサーがフル稼働するようなことも無くなりました(電力消費量も比較的少ないはず)。

しかし、この避暑部屋を主に使う母にとって重大問題が発生!
実はこの部屋にはテレビがないのです。
テレビフリークの母にとってはエアコンよりもテレビのほうが大切なほどですでので、急ぎテレビを設置することに。
テレビを設置するなら上写真の壁の前が良かろうと、そこにアンテナ線(天井から下がる黒い線)を引き込み、小型(19インチ)のテレビ(東芝レグザ)を購入しました。

ところで、テレビと言えば昨年、祖母のミシン台を再生させてテレビ台(LDKに設置)として使っています。

現在、このテーブルには36インチの液晶テレビが置いてあるのですが、馬鹿デカイため、せっかくのミシンテーブルがその影に隠れてしまっているのです。
そこで、新しく購入した19インチのテレビを、このミシンテーブルに置き、36インチのものを先の避暑部屋に移すことにします。

避暑部屋は畳敷きで、テレビ画面を目線の高さに合わせるためにはテレビを座卓程度の高さの台に載せる必要があります。
そこでテレビ台を自作するつもりでいたところ、ちょうど良い高さの文机が土蔵内で目につき、これをテレビ台として利用することに。

埃まみれなっていた文机を掃除していたところ、裏面に祖父の名前が書かれているのを見つけました。
どうやら、この文机は祖父が学生のときに使っていた勉強机のようです。
祖父は当時としては珍しかった旧制中学(富田中学校)に進学し、さらに上の学校も目指していたようですが、遅刻常習の末、退学処分!になったと聞いています。

机の天板に多く残る傷を見ると、遅刻するほど夜遅くまで勉学に励んでいたことが偲ばれます^^;

天板の傷が残念ですが、全体的には凝った作りでオシャレな感じです。
この勉強机も、祖母のミシンテーブルと同様、いずれ再生して祖父の思い出の品として使っていくと良さそうです。

一方、今回購入した小型の液晶テレビは、祖母のミシンテーブル(LDKに設置)に置くことにしますが、実はテレビ本体に付属の専用スタンド(脚)が欠品なのです。

と言うのは、私自身はほとんどテレビを見ないこともあってテレビなんて映れば十分と思い、フリマアプリで訳アリ商品を格安で購入したからです。
スタンドが無いのにどうするかですが、現在市販の液晶テレビのほとんどはVESA規格(国際標準規格、今回購入のテレビはVESA100)に準拠しており、壁掛け設置などができるようにテレビの背面にネジ穴が設けられています。

サンワサプライ株式会社:VESA規格とは」より

壁掛けにするつもりはありませんが、このネジ穴を使えば、適当な台をスタンド代わりにできるわけです。
そこで、スタンドを自作することにしますが、ネジの接続箇所を自作するのは面倒なため下写真のブラケットを購入。

パッケージからして?な感じがしますが、AliExpress(中国Alibabaの海外向け通販サイト)で送料込み300円弱で購入しました。
同じようなものが日本だと10倍の値段で販売されていますので、送料込み300円弱と言うのは破格です(ただ、中国から発送されるため到着まで1ヶ月程度!要します。まあ、それ以上に私の仕事のほうが遅く、今回も届いてからしばらく手付かずだったのですが・・・)。

スタンド本体の材料には、主屋(古民家)の天井板として使われていた古材(松)を再利用することにします(プレーナーにかけて7分厚)。

この1枚の板から部材を木取りすることを考慮してスタンドの設計図を描きます。

正面図

柱と台座だけの単純な構造です。

とは言え、テレビを支えきれず転倒してはスタンドとして役に立ちませんので、柱の位置と台座の大きさの設定が肝心です。
スタンドには、支点を中心にして①転倒させる方向と②安定させる方向に力のモーメント(回転力)が作用するため、それぞれの大きさを算出するなどして①<②になるようにすれば良いことになります。
しかし、細かい計算をするのは面倒ですので、とりあえず台座の先(支点:下図で青色丸印)をテレビよりも前に出しておくことにします(これで転倒することはないはずです)。

側面図

こうして描いた設計図に従って木取り。

白太部分の虫喰い跡を避けて木取りしています。

せっかくなので、面取り箇所をトリマーを使って装飾加工(柱:カク面、台座:ギンナン面)。

軽くヤスリをかけて部材の完成です。

柱の上部にブラケットを取り付けます。

柱と台座を金具(金折)を用いて接合。

金折の1辺が台座からはみ出していますが、背面で見えないところなので、このままにしておきます(金折は不等辺のものもありますが、安価な等辺のものを購入しました・・・)。

と言うことで、自家製スタンドの完成です。

木目が良い感じで、木肌も松の油分でシットリしていますので塗装はせずにこのままにしておきます。

ところで、台座の前方部(テレビ画面下に位置)が広くなっているため、この場所を飾り台として利用できるのではないかと思って、画面の取り付け位置を純正品のスタンドより高くしてあります。
ここに季節のものでも飾ると良いのですが、めぼしいものがないため、とりあえず折り鶴(姪が作ったもの)を飾ろうと思います
折り鶴の止まり木を端材と竹ひごを使って作ります。

さらに端材を使って、こんなものも作ってみました。

板の前方部に15°傾斜させた溝を切ってあります。

これを何に使うかと言うと色紙立てです。

菩提寺の本山(天台真盛宗)のトップが近頃替わられたとのことで、その記念として檀家1軒ごとに色紙を頂きました。
色紙にしたためられた「戒称和光」の意味は無学ゆえに分かりませんが、有り難いお言葉に違いありませんので、こうして飾っておくことにしましょう(そのうちアイドルのサイン色紙に替わっていたりして!?)。

ちなみに、この色紙を飾ってあるのは以前に再生させた茶箪笥の上です。

テレビ(スタンド)のほうは、これまた再生させたミシンテーブル上にセットします。

以前はミシンテーブルに対してテレビが大きすぎましたが、テレビが小さくなったことで(36インチ→19インチ)バランスが良くなりました。

上写真のとおりテレビ画面下にスペースがあるため、ここに折り鶴を飾っておきましょう。

折り鶴の数に対して空いている止まり木がありますが、そこには花や木の実でも挿しておくと良いかもしれませんね。

古民家の自然換気(46)エアコン設置③エアパージ&ポンプダウン

前回、新しく設置するエアコンの配管(冷媒管&ドレーン)と配線(電気)を行いました。

早速、エアコンのスイッチを入れたくなりますが、その前に「エアパージ」と呼ばれる作業を行なっておく必要があります。

ところで、エアコンは液体が蒸発(気化)するときに周囲の熱(気化熱)を奪う性質を利用して冷房します。

液体(冷媒)には悪名高いフロン(環境負荷低減のため代替フロンに移行、今回のエアコンにはR32代替フロン)が用いられています。
このフロンガスはエアコン出荷時には室外機に充填された状態になっています。

一方、室内機や配管の中にあるのは空気のため、室内機や配管に冷媒(フロンガス)を充填させる際に空気(Air)を除去(Purge)する必要があります。
空気を除去(エアパージ)するには、私のような素人考えでは下図のとおり室外機側のバルブを開けて冷媒を流すとともに、室内機や配管内の空気を押し出してやれば良いのではないかと考えます。

しかし、こうするとオゾン層を破壊するフロンガスを大気中に放出する可能性がありますし、冷媒と空気が混ざると爆発の危険性もあるそうです。
このためエアパージは、前もって室内機と配管内を真空引き(真空ポンプ使用)する方法で行うものとされています。

と言うことで、エアパージを行うために真空ポンプと、真空状態を確認するための圧力計(マニホールドゲージ)が必要になります。
もちろん持っていませんので、新たに購入(中古品)し、これを室外機の配管接続口に接続します。

室外機の配管接続口(戻り配管側)には真空引き用の接続口(サービスポート)が用意されているため、そこに真空ポンプのチャージホース(上・下写真で青色のホース)を接続することになります。

このとき、往き・戻り配管にそれぞれあるバルブは閉(出荷時の状態)になっています。

サービスポートと真空ポンプとの間には下写真のマニホールドゲージを入れ、配管内の圧力を確認できるようにしてあります(今回使用するのは青色側:低圧側)。

現在、針は0(大気圧=1気圧ですが、大気圧比のため0表示)を指しています。

真空ポンプを運転させ、しばらくするとマニホールドゲージの針は下写真のとおり-30inHgを指すように。

「inHg」とは見慣れない単位ですが、WikiPediaで調べると「水銀柱インチ」とのこと。

1気圧=760mmHg=760/25.4inHg≒30inHg

つまり、-30inHgで真空状態(-1気圧)と言うことです。
エアコンの工事説明書に「マニホールドゲージが-1気圧に達したのち15分程度、真空ポンプの運転を続ける」とありますので従いします。

15分経過後、真空ポンプを停止。
室内機や配管内は真空状態になっているはずです。
しばらくマニホールゲージの針が安定していることを確認したうえ、戻り配管側のバルブを開けて冷媒(代替フロン)を室内機及び配管内に充填します。

真空ポンプのチャージホースを外し、往き配管側のバルブも全開。

配管の継ぎ手部でガス漏れがないことを確認して(今回は石鹸水を使用)エアパージ完了です。

これでようやくエアコンを運転できます。
早速リモコンのスイッチをON!

無事、冷えた空気が出てきて一安心です。

試運転と称し、このまま冷房の効いた部屋にいたいところですが、まだ工事が残っています。
配管の継ぎ手部はガス漏れがないことを確認する必要があったため、まだ断熱材を施してありません。

上写真はエアコン運転中のものですが、銅管表面がビッシリと結露しており、断熱材の必要性がよくわかります。

断熱材を巻き、ドレーンとともに架台に固定しておきます。

屋外部の配管は、保護テープ(断熱材の紫外線劣化防止)を巻いうえサドルバンドを用いて外壁に固定します。

配管と室外機の設置状況。

上写真で左手は既設のもので、施工は家電量販店の下請け業者によるものです。
こうして比べてみると、見た目に関しては今回施工したほうが美しいと自己満足^_^

既設のエアコンは今のところ問題なく動作するのですが、専用工具(売却予定)が揃っている今のうちに撤去することにします。
撤去は適当に配管をはずせば良いだけのように思いますが、それだとフロンガスを大気中に放出してしまいます。
このため、設置したときとは逆に、室内機や配管内に残っている冷媒を室外機に回収する作業(ポンプダウン)が必要になります。

ポンプダウンを行うため、往き配管側のバルブを閉じ、戻り配管側にあるサービスポートにマニホールドゲージ を接続します。

このとき、マニホールドーゲージの針は下写真のとおり示し、冷媒による圧力が作用していることがわかります。

エアコンを強制運転させ、室内機及び配管内の冷媒を室外機に回収していきます。
冷媒の回収に伴い配管内の圧力は下がっていき、マニホールゲージの針は真空状態(-30inHg)を示すように。

これで冷媒が室外機に回収されたことになりますので、バルブを閉じたうえエアコンの運転を停止します。

配管及び電気ケーブルを取り外します。

20年近く頑張って働いてくれたことに感謝し、ひととおり掃除しておきましょう。

ところで、今回エアコンを設置した部屋ですが、室内機を取り付ける前に隣接する2面の壁は仕上げ塗りを行いましたが、他の壁は壁材が足りなかったため、そのままの状態(中塗りに下地材を塗った状態)になっています。
その後、壁材(珪藻土)が届いたことから、残りの壁も仕上げ塗りを行います。

コテ使いが多少上達し、素人でもそれなりに仕上げられるようになってきました。

ただ、コンセントとの狭い隙間は手持ちのコテが入らず、指で塗ると言ういい加減さです・・・。

ともあれ、主屋(古民家)の改修工事から4年が経ってようやく仕上げ塗りとエアコン設置ができました。

ところで、ブログの最初で「エアコン設置をDIY施工しても金銭面でのメリットはない」と書きましたが、今回のエアコン設置に要した費用をまとめると下表のとおりです。

真空ポンプやトルクレンチと言った特殊な工具は中古品を購入し、施工後に同じくらいの金額で売却できたことから送料や売却に係る手数料として約5,000円を計上しています。
エアコン本体は別として、取り付けに要した費用が約15,000円(=材料費9,500+工具5,000円)になります。
家電量販店などでは取り付け工事費を15,000円〜としているところが多いように思いますが、DIY施工でもそれと同程度の費用を要することから金銭面でのメリットはなさそうです(家電量販店から取り付け工事を下請けしている電気工事屋さんの利益も少ないものと思われます)。