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土蔵の修繕(8)単管足場設置

先般、仏間の改修がとりあえず完了しました。

仏間の改修に着手したきっかけは、その背後の軒下を利用して薪棚(2箇所目)を設けるためでした(薪棚を設けると床下換気口を設置しにくくなるため、薪棚を設ける前に床下換気口を設置するとともに仏間を改修しました。床下換気口は最終的には薪棚から離れた場所に設置することになりました)。

仏間の改修が完了し、これでようやく当初の目的である薪棚設置に取り掛かれます。
薪棚については、今春に1箇所目のものを土蔵の庇下に設置しました。

土蔵の庇は深くて1間(180cm)以上の奥行きがあるのですが、今回薪棚を設置する軒下は2尺(60cm)程度しかないため雨にあたりやすくなります。
薪は多少濡れたところで問題ない一方、心配になるのが薪棚自体です。
1箇所目の薪棚は上写真のとおり杉の丸太を自家製材したものを用いたのですが、雨にあたりやすい環境だと長期の間に根元が腐朽してシロアリの発生源になってしまうのではないかと懸念するのです。
何しろ、今回薪棚を設置する軒下は長年放置してあった廃材からシロアリが主屋(古民家)の土台や柱に移ってしまったと言う苦い経験がある場所です・・・。
やはり、ここだけは木材ではなく、蟻害被害のおそれがない金属材料で薪棚を作るほうが良さそうです。

金属材料のうち、安価で取り扱いが容易なものと言えば単管パイプです(ホームセンターで入手可)。
単管パイプ(φ48.6mm)は工事現場の仮設材として用いられることが多いこともあって、単管を組んだ工作物はどうしても工事現場のイメージが浮かんでしまうのですが、ここは見た目よりも蟻害防止を優先して単管を用いることにします。

薪棚設置箇所の広さ(延長2.5間、幅2尺)から、薪棚のサイズを4m(延長)×2m(高さ)×0.65m(奥行き)として(4mものの単管を使うことを考慮)図を描きます。

上図から単管の数量を拾うと次のとおりです。

  • 4m×3本
  • 2m×6本(→4m×3本)
  • 0.65m×6本(→4m×1本)

つまり、4mものの単管を7本購入すれば良いことになりますので、早速、軽トラでホームセンターに行って調達。
費用については、単管7本で約1万円(1,500円弱/本)。これにクランプ等の部材を加えて計1.5万円程かかりました。
1.5万円で薪棚ができるのば安いとは思いますが、何しろ1箇所目の薪棚の製作費用が0円だったため面白くありません。
大枚をはたいて単管を購入したからには、薪棚以外にも使わないと勿体ないように感じてきました。

そこで、購入した単管を薪棚として恒久的に使う前に、一時的に足場材として使うことを考えました。
その足場を組むのは、下写真の土蔵の南東角です。

南東角は台風を含めて風雨に曝されやすく、軒の水切り部(上写真で朱色丸印)の漆喰はとうの昔に剥がれ、さらに中塗り、荒壁が落ちて下地が現れ始めています。
これ以上進行すると修復が難しくなってしまうため、一日も早く補修したいと思っていたのですが・・・(上写真は2年前の秋に撮影)。
この作業においてはコテとコテ板を両手に持つことから比較的安定する植木作業用の三脚(上写真、高さ10尺:3m)で試してみるも手が届きません。
安全に作業するには、やはり足場(4m程度)を組むしかないわけですが、無用の長物の土蔵にそこまでできずにいました。

ところが今回薪棚のためとは言え単管7本を入手できました。
材料が手に入れば、あとはやるだけです。

足場は直接安全に関わることですので図を描いて検討します。
<注意>労働安全衛生法等に基づくのものではなく、DIY施工用に素人が考えたものです。最悪、死亡事故に繋がる可能性があり、何かあっても全て自己責任です。

高さについて、手摺り(安全帯をつなぐ)を含めて4mものの単管でOKです。

正面から見ると下図のとおりになります。

足場の左右と後方には控えをいれて転倒しないようにしています(前方は土蔵。特に重要な後方の控えは4mの長さをとっています)。
この足場に必要な単管の数量を拾うと次のとおりです。

  • 4m×4本
  • 2m×6本(→4m×3本)

つまり、4mものの単管が7本必要となり、薪棚用に購入した7本をそのまま流用できることになります。

7本の内3本について、ディスクグラインダーを使って半分(2m+2m)に切断します。

こうした金属を切断する場合、切断用の砥石をディスクグラインダーに装着しますが、砥石だけでなくホイールカバーも切断砥石専用のものを使います。

このホイールカバーの装着は、切断砥石の破損時の事故を予防するために労働安全衛生法等で義務付けられています。
しかし、これを着けると作業しにくくなるため実際の現場では使われていないのでしょうが、私のような素人DIY施工は施工性や精度より安全第一です。

単管同士は専用のクランプ(直交タイプや自在タイプが有り、150円/個程度)を使って組みますので、柱となる単管に前もってクランプを取り付けておきます。

これらの単管を立てる位置に敷板を設置します。

柱となる単管を土蔵の壁に一旦預けた状態にして桁や控えの単管を取り付ける形で組んでいきます。

丸太足場だと、この程度の規模ものでも、とても一人ではできませんが、それが単管パイプだと軽くて扱いやすいため一人でも十分に可能です。

そんなことでアッという間に単管部分が組み上がりました。

控えの単管を地面に固定するため木杭を打ち込んで番線(下写真で針金状のもの)で結束します。

ちなみに、この木杭は先に薪棚を作ったときに余った角材(3寸角)をバンドソーで4等分して作りました。

続いて単管を土蔵側と固定するため、土蔵の壁に桁(根太受け)を取り付けたうえ梁(根太)を渡します。

桁(根太受け)は鎧シブキの桟(簓子)にビス留めしていますが、それだけでは不安に感じたため、下写真の超ロング(180mm)なコーススレッドを買ってきて土蔵の柱に対しても固定するようにしました。

これで4方向から足場が支持されたことになります。

足場板には合板(9mm厚)を角材で補強して用いることにします。

この足場板を根太に対してビス留めして固定すれば足場の完成です。

しっかりした足場ができました。

高所作業時(地表から2m以上の高さ)の安全保護具を身につけて足場に登ってみます。

見晴らしも良く、作業の疲れも吹き飛びます(^_^)

安全帯を手すりにつないでも支障になることなく作業できそうです。

肝心の土壁の補修箇所も、ちょうど作業しやすい位置にあたります。

古民家の自然換気(47)錆壁!?

先般、仏間の改修がとりあえず完了しました。

この改修において壁を仕上げましたが、実はまだ主屋(古民家)で壁を仕上げなければならないところが残っているのです。
それは、LDKの垂れ壁(丸太梁の上部)です。

LDKのうちDK部分は、20年程前のリフォームにより今風の石膏ボード+クロス貼りの吊り天井になっていたのですが、採光と自然換気を図るため、昔の状態(奈良天井)に戻すとともに一部に竹天井を配置しました(一昨年の夏に施工)。

昔の奈良(大和)天井に戻すことによって問題になったのが、20年程前のリフォームにより一部が取り壊された土壁です。

土壁も元の状態に戻すべく、昨年の夏に下地(竹小舞)を組んだうえ、荒壁をつけて大直しまで行い、現在、下写真の状態になっています。

荒壁でも壁としての機能は果たすため、中塗り以降の仕上げについては追い追いやれば良いと考えていました(全部が荒壁で統一されていれば、見た目的にも無骨でカッコ良いです)。
今回、仏間の改修において中塗り・上塗りを行なったことから、そのついでに、この垂れ壁についても中塗り・上塗りを行なって仕上げることにします。

下写真で上側の土壁は残存していた部分で、上塗りの漆喰を剥がして中塗りの状態になっています。

しかし、その断面をよく見ると下図のようになっており、下層にさらに(薄汚れた)漆喰の層があります。

昔、煤汚れなどで壁が汚れて塗り直した際、既存の漆喰を剥がさず、その上に塗り重ねたようです。
漆喰を剥がすのは容易ですが、剥がす際、周囲に埃が舞うので、それを嫌って塗り重ねることにしたのでしょう。
それは理解できるとしても、おや?と思うのが重ね塗りする際、既存の漆喰の上に直接漆喰を塗るのではなく、中塗りの層を挟んでいる点です。
これは(乾燥した)漆喰の上は水引きが早く塗るのが難しいため、中塗りを挟むことで解決したのかもしれません。
今なら化学製品のシーラーや添加剤を使うところですが、このようなものが無かった昔はこうして漆喰の重ね塗りを行なったわけです。

先人の工夫が偲ばれる箇所ですが、今回さらに塗り重ねると剥離等の悪影響が生じるかもしれませんので、この機会に全て剥がして当初の中塗りの層まで戻しておきます。

早速、中塗りしたいところですが、ここは元々、天井が無かったところ(厨子二階に柴を出し入れする開口部)で見切りになるものがないため、その手当を行う必要があります。
両側の隣接箇所と同じような外観になるように廻り縁を入れることにします。
その材として使うのは、先の仏間の改修において巾木として再利用できなかった古材(20年程前に解体した離れの床脇の床材)です。

必要なサイズでカットし、プレナーにかけて表面を整えます(下写真で上側:加工前、下側:加工後)。

柿渋に顔料(弁柄等)を加えて古色塗りします。

この廻り縁を天井板から吊り下げる形で取り付けることにし、天井裏側からビス留めします。

ただ、これだけでは安定しなかたため、居室側からも柱に対してビス留めして固定しました(ビス頭が見えてしまいます・・・)。

この廻り縁を見切りにして中塗りしていくことになります。

いつもの通り中塗土を練って中塗りします。

上写真は中塗り後、ひと月程度経過してから撮影したものです。

左側の壁のアップが下写真です。

今回も藁スサの混入を省略しましたが、ヒビ割れが生じることもなく良い感じに仕上がっています。

ところが、右側の壁が下写真の状態です・・・。

茶色く変色し、ひと月前に塗ったにも関わらず、早くも古壁の様相です。
実は、こちらの壁土には前週に行った仏間の中塗りで余ったものを使ったのですが、練り直すのに少量だったため農作業で使っているサビた移植ゴテを使ってしまったのです。
つまり、その鉄分が移った壁土が壁塗り後、空気に触れることで酸化して変色に至ったわけです(壁チリの周囲が変色していないのは空気の対流が少ないためだと思います)。
千利休の茶室の壁は「錆壁」と言って、敢えて鉄分の多い土を使ったそうですし(「侘び寂び」ならぬ「侘び錆」!?)、これはこれで風情があって良いかもしれません。
しかし、今回は他の壁と統一して漆喰で上塗りする予定で、真っ白の漆喰にサビが悪さをするのではないのかと、今更ながら移植ゴテを使ったことを後悔・・・。

サビの影響を抑えるには、上塗りする前にシーラーを全面に塗布してブロックするしかなさそうです(もう1層塗り重ねる手もありますが)。
市販されている漆喰用シーラーの成分は酢酸ビニル樹脂で、木工用ボンドと同じです。
こうした合成樹脂を土壁に塗布するのは可能であれば避けたいのですが(土壁の調湿機能も半減!?)、やむをえません。

今回は使用量が少ないため、木工用ボンドを水で希釈して使うことにします(漆喰用シーラーは購入しても安価です)。

壁にペンキを塗るようにローラーで塗布します。

漆喰(特に土壁に塗る場合)は水引きが早いため、私のような素人にとっては扱いにくいのですが、シーラーを塗ると水引きが抑えられて塗りやすくなると言うメリットもあります。
漆喰自体も素人向けに塗りやすくしたものが市販されていますが(とても高額)、そうしたものは酢酸ビニル樹脂や合成セルロースなどを添加して水引きを抑えているのではないかと思います。

漆喰は安価な「大和漆喰」(プレミックスタイプ)を練って使います(3年程前に購入・使用して余ったものですが、固結や劣化等は特段ありませんでした)。

練った漆喰を、これまたいつものとおりサッと軽く塗って仕上げます(漆喰でも押さえません)。

押さえないため、中塗りに凸凹があっても誤魔化しがききますし、表面のテクスチャーも珪藻土のような自然な感じになるため、私のような素人にとって良い塗り方だと思います。

と言うことで完成です。

竹天井のところも良い感じに仕上がりました。

クロス貼りの天井を解体したのが2年前の春ですので、2年以上もかかって完成しました。
しかし、本来の目的である「自然換気」のテーマはまだまだ続く予定です。