里山再生」カテゴリーアーカイブ

里山再生:スギの伐採①スローライン

7年前から冬季に里山(自宅裏)の整備を行っています。
例年、年末に門松用の竹を伐採するのにあわせて、そのシーズンをスタートさせています。
既に松の内が明けたのに何ですが、下写真が今年(昨年末に作製)の門松です。

先週末に門松を片付ける際に撮影しましたので、片方の藁コモがぐちゃぐちゃになっていたりします(野良猫の仕業^_^;)。

門松の作製については毎年同じなので省略しますが、今回、竹を斜め切りするための治具(2代目)を一部改良しましたので、そのことだけ記載しておきたいと思います。
竹の斜め切りはバンドソーで行っていますが、その際、竹を治具に預けて送材することで一定の角度(20°)を保つようにしています。

ただ、斜め切りした断面が笑顔に見えるように節を挟んでいるため、節の凸部が邪魔して安定してホールドできませんでした。
そこで、上写真のとおり治具に溝を切ることで節の凸部を吸収できるようにしました。

ちょっとしたことですが効果は大きく安全かつ綺麗に斜め切りできるようになりました。

近所の方の分も加工してあげていますのでたくさんあります(材料の竹はいくらでもあっても片手間ではこれが限界の感じです)。

こうして門松の作製にあわせて里山整備をスタートさせているのですが、実は今シーズンはそれに先駆けてスギの木の伐採を行いました。
そのスギは下写真で離れの裏(西)にある3本です。

昭和30年代に亡き祖母が植えたもの(樹齢60年程度)で、既に大きいものは樹高20m、幹周り40cm程度になっています。
建物に隣接していることもあって、これ以上大きくなると私の手には負えなくなります。
そこで、里山整備を始めた7年前から伐採に向けて準備を行ってきました。
例えば、伐倒方向にある障害物(粗大ゴミ、立木、丸太:下写真)の片付け。

朽ちかけていた丸太
丸太を自家製材して薪棚を作製

また、伐採予定のスギのこぼれ種から発芽した幼木を育てて苗木にしました(既に山などに移植したものを含めて30本以上)。

そして、いよいよ機が熟したと言うことで今シーズンに伐採することに。

ところで伐採したスギの木はどうするか?
優良な建築材になる杉と言えども、運搬・加工にかかる手間暇から今の時代にあっては薪として利用すれば良いほうです。
しかし、亡き祖母が植えたものですし、木と言えども直近で共に生きてきたわけで、薪にして燃やしてしまうのは惜しく思ってきました。
そうした中、一昨年から仏壇仕舞いを始め、仏間を整備するとともに御本尊や先祖の位牌を安置する机を設置することにしました(下写真:現状は座卓に仮置き)。

そこで思いついたのが、この机の材料に伐採するスギを使うことです。
机を作るにしても損得勘定では材料を買ったほうが良いのですが、仏様やご先祖用となれば手間やお金をかける甲斐があるでしょう。

材として使うのであれば、木を伐るのも適期(伐り旬)に行いたいものです。
樹木は秋から冬にかけて成長が止まり、含水率が低くなるため、この時期に伐採すれば腐りにくく狂いの少ない材が得られると聞きます。
さらに、その伐り旬の期間でも新月期であれば、なお良いようです。
そこで、近く満月及び新月になる日を調べると次のとおりです(ブログ記事は遡って書いています)。

  • 2020年11月30日(月) 満月
  • 2020年12月15日(火) 新月

カレンダーを確認すると、この間に2回週末を挟みますので12月5・6日及び12月12・13日に実行することに決定。
ただ、素人の私が当日いきなりチェンソーで伐り始めるのは無謀ですので、その前の週末(11月下旬)に現状を確認しながらに作戦を練ることに。

下写真が伐採予定の3本ですが、伐倒方向の条件から最も高くて太いもの(下写真で①)から伐っていく必要があります(今シーズン初めてのチェンソーワークになり、小さいものから伐りたいのですが・・・)。

この大物の樹高を三角法の原理(スティックメソッド)を用いて測定すると19mです。
隣接して二階建ての離れがあるほか、19mの範囲には主屋や土蔵もあります。
いずれも我が家の所有物のため、まだ気楽とは言え、伐倒時にはロープで牽引して伐倒方向をコントロールしたほうが良さそうです。

ちなみに、以前この3本のスギに隣接してもう1本スギがあったのですが、枯れたため3年前に伐採しています。
今回伐採する3本に比べて小さかったこともあり、ロープで牽引せずに伐ったところチェンソーのガイドバーが挟まれて四苦八苦するし、倒れるときに枝が離れの戸袋をかすめて凹ませると言うミスを犯してしまいました。

同じミスを繰り返さないよう、今回はロープで牽引して伐ることにします。
牽引する際のアンカーについては、ちょうど伐倒方向にカキの木がありますので、それを利用することにします。
一方、伐倒するスギの木のほうは高い位置にロープを掛けるほど大きな力がかかります(ロープを引っ張る力が小さくてすむ)。
一番下(樹高の1/2程度の高さ)の比較的太い枝に、梯子と棒を使って掛けようとするも足場が悪く断念・・・。

作戦を変更してスローラインにて行うことにします。
スローライン(throw line)は訳すと「ロープを投げる」となるように、ロープの一端を結んだウェイトを投げてロープを木に掛けようと言うものです。
ウェイトは専用のもの(スローバッグ)が市販されていますが、持っていないため古布に砂利を詰めて代用します。

狙いを定めてスローライン(アンダースローでウェイトの遠心力を利用して飛ばします)。

うまくいかないときは何回やってもダメなのですが、今回は2、3回で成功!

今回スローラインで木に掛けたロープは細いPPロープで(これも専用のものが市販されています)、実際に木を牽引する太いロープではありません。
そこで、次にスローライン(今回はPPロープ)と牽引用のロープを入れ替えることになりますが、これは特に難しいこともないため翌週末の伐採時に行うことにします。

<続きます>

里山再生:マツ(赤松&黒松)の播種

これまで自宅裏の里山の整備を進めるとともに、薪ストーブや木質資源を燃料とするボイラー(エーテーオー社のウッドボイラー)を導入して里山の恵みを活用できる仕組みを構築しました。

ところで、これまで本ブログのサブタイトルを「田舎の土地と家を守り(もり)する日々のあれこれ」としていました。
敢えてこうしたマイナスイメージを抱くサブタイトルとしたのは、我が家のような田舎の現状を表したかったと言うことがあります。
田舎が置かれている状況は年々酷くなる一方ですが、我が家に関しては里山や古民家の整備は一定の目処がついたように感じています。
そこで、サブタイトルを変更することにし、サブタイトルに目標を掲げて「サステイナブル(持続可能)な生活を目指して」にしました。
実際にはサステイナブルには程遠い生活を送っているのですが、ブログを書くことでもサステイナブルを意識し、日々の生活を点検する機会にしたいと思っています。

閑話休題。

ウッドボイラーは古材の焼却炉のような感じでも使っていますが、咋冬からは里山の柴や竹も焚いています。
こうしたものを集めるには空気が乾燥し、虫たちが冬眠している冬季が適期のため、この時期、裏山で少しずつ集めています。

ウッドボイラーの燃料としては、こうした枯れ枝の使い勝手が良いです(燃えにくいものがあれば竹で火力を補うようにしています)。
また、私にとっては大木をチェンソーで伐採する作業より、林内に落ちている枯れ枝を拾って歩く方が性分に合っているようで意外と楽しく感じる作業です。

集めたものはウッドボイラーが設置してある倉庫内に保管します(いずれは薪棚のように保管用の棚が必要になってきそうです)。

こうした枯れ枝を回収するだけでも林内が片付いてスッキリしますし、この調子で10年、20年と続ければ昔の里山のように(ある意味痩せた状態に)なるかもしれません。
昔(50年程前まで)の里山と言えば、今では想像すらできませんが松山だったと聞きますし、再びマツ(&松茸!)も生える里山にしたいと思っています。
しかし、いくら手入れしたとしても一度全滅したマツが自生してくることは期待できないため植樹する必要があります。
そこで、植樹用の苗木を作りたいと思い、実は昨年の梅雨時に庭のマツ(自生えの黒松)を使って挿し木をしてみました(ブログ記事にはしていません)。

夏は越えたものの、残念ながら冬前に活着することなく枯れてしまいました・・・。
マツの挿し木と言えば、東日本大震災で残った「奇跡の一本松」も挿し木による繁殖は失敗したようです(一本松の苗木は接ぎ木または実生によるもの)。
また、叔父が九州を旅行したとき、挿し木のマツが売られていたため、その生産者に尋ねたところ挿し木の適期は1年のうち1日しかないと聞いたとのことで、やはりマツの挿し木は難しいようです。
叔父からは「実生のほうが容易。近くの駅前にマツの木があり、そこで種を拾える」との情報も得ましたが、今時、駅前でそんなことをしていれば怪しい奴がいると通報されかねないご時世です・・・。
と言うことで、ネットでポチりました!(マツの種子がネットで入手できるご時世です)。
赤松(約70個)と黒松(約100個)の種子を入手(種では見分けられません)。

一晩、水に浸して発芽しやすいようにして、とりあえず育苗ポットに播きます(赤松70個/2ポット。黒松:100個/2ポット)。

うまく発芽してくれれば、来春、畑に植え替えたいと思っています。
そして畑で2年程度大きくしたのち里山に移植する感じになるのかな(3、4年後)?