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里山再生:スギの伐採②伐倒

自宅の裏(西)にあるスギの木(樹高19m)を伐採すべく、前回、その準備としてスローラインを設置するところまで行いました。

そして、翌週末(新月期に入っています)。
天気良好、風もなく、伐採日和です。
まずは、前回設置したスローラインを利用して牽引用のロープを木に掛けます。
手順としては、スローラインの一端に取り付けられているウェイトを外し、牽引用ロープをつなぎます。

そして、スローラインのもう一端を引き寄せていけば、スローラインと牽引用ロープが入れ替わることになります。

次に手元に降りてきた牽引用ロープからスローラインを外し、下写真のように引き手側のロープを通した形で輪っかを作ります(もやい結び)。

これでロープを引けば、結び目が上昇してロープを掛けた枝のところに結び目を設けられます(→ロープの延長が短くて済む)。

文章や図で説明するとややこしく感じますが、要は下写真のようにしたかったわけです。

こうして掛けたロープを下図のとおりアンカーとする木(今回はカキの木)まで張り、ローププーラーで牽引できるようにしておきます。

今回伐倒するスギの木の樹高19mに対して、アンカーにするカキの木(下写真で朱色矢印)までの距離が40m以上ありますので、少なくとも牽引時に下敷きになることはありません。

この時点でロープに張力を与えておきますが、過度に張るようなことはしていません。

張ったロープを目印にして伐倒方向及びその周囲の状況を再確認します。

上写真で左下にあるアジサイが巻き込まれますが止むを得ません(右の茂みは雑木のアカメガシワ)。

それでは伐倒開始!
まずは受け口を作ります。

これで倒れる方向が決まりますので、慎重かつ正確にカットします。
受け口の深さは直径の1/3、角度は45°にしています。

問題ないことを確認したら、反対側から追い口を切ります。

直径が40cm以上あるのに対し、私が所有しているチェンソー(ゼノアGZ360EZ)は13インチ(35cm)モデルのため両側から切っています。

ツル(直径の1/10)を残すところまで切り込んだら退避。
そして、ローププーラーを使って牽引すると地響きとともに倒れました。

無事伐倒できてひと安心です。

今回ほぼ狙い通りに伐倒できたものの、偶然かもしれません。
切り株をチェックし、ちゃんと受け口や追い口を切れていたかチェックしておきます。

直径は42cm。

これに対して受け口の深さは13cmで、ほぼ正確です。

ツルも問題なく効いています。
ただ、厚さが6〜7cmあります。
今回はロープで牽引するため大きくできましたが、通常は4cm(直径42cmの1/10)まで切り込む必要があります。
そこまで切り込むのは大きい木ほど怖く感じるもので、今回ロープで牽引しながら伐倒して良かった感じます。

2本目(下写真で朱色矢印)も同様にロープで牽引しながら伐倒します。

伐倒完了。

切り株を確認すると、こちらは直径32cmと最初のものに比べるとひと回り小さいです。

そして、3本目も同様して伐倒。

これで3本のスギの木の伐採が無事完了しました。
とりあえず、この状態で3ヶ月以上放置して葉枯らし乾燥(自然乾燥)させる予定です。
その後、枝払い、そして樹皮を剥ぐつもりです。
樹皮の杉皮については、昨年に作った薪棚(第3号)の屋根材として使いたいと思っています。

現在、屋根は下写真のとおり防水材(アスファルトルーフィング)を張っただけ状態です。

果たして杉皮をうまく剥いで、屋根材としてうまく張れるものでしょうか??

里山再生:スギの伐採①スローライン

7年前から冬季に里山(自宅裏)の整備を行っています。
例年、年末に門松用の竹を伐採するのにあわせて、そのシーズンをスタートさせています。
既に松の内が明けたのに何ですが、下写真が今年(昨年末に作製)の門松です。

先週末に門松を片付ける際に撮影しましたので、片方の藁コモがぐちゃぐちゃになっていたりします(野良猫の仕業^_^;)。

門松の作製については毎年同じなので省略しますが、今回、竹を斜め切りするための治具(2代目)を一部改良しましたので、そのことだけ記載しておきたいと思います。
竹の斜め切りはバンドソーで行っていますが、その際、竹を治具に預けて送材することで一定の角度(20°)を保つようにしています。

ただ、斜め切りした断面が笑顔に見えるように節を挟んでいるため、節の凸部が邪魔して安定してホールドできませんでした。
そこで、上写真のとおり治具に溝を切ることで節の凸部を吸収できるようにしました。

ちょっとしたことですが効果は大きく安全かつ綺麗に斜め切りできるようになりました。

近所の方の分も加工してあげていますのでたくさんあります(材料の竹はいくらでもあっても片手間ではこれが限界の感じです)。

こうして門松の作製にあわせて里山整備をスタートさせているのですが、実は今シーズンはそれに先駆けてスギの木の伐採を行いました。
そのスギは下写真で離れの裏(西)にある3本です。

昭和30年代に亡き祖母が植えたもの(樹齢60年程度)で、既に大きいものは樹高20m、幹周り40cm程度になっています。
建物に隣接していることもあって、これ以上大きくなると私の手には負えなくなります。
そこで、里山整備を始めた7年前から伐採に向けて準備を行ってきました。
例えば、伐倒方向にある障害物(粗大ゴミ、立木、丸太:下写真)の片付け。

朽ちかけていた丸太
丸太を自家製材して薪棚を作製

また、伐採予定のスギのこぼれ種から発芽した幼木を育てて苗木にしました(既に山などに移植したものを含めて30本以上)。

そして、いよいよ機が熟したと言うことで今シーズンに伐採することに。

ところで伐採したスギの木はどうするか?
優良な建築材になる杉と言えども、運搬・加工にかかる手間暇から今の時代にあっては薪として利用すれば良いほうです。
しかし、亡き祖母が植えたものですし、木と言えども直近で共に生きてきたわけで、薪にして燃やしてしまうのは惜しく思ってきました。
そうした中、一昨年から仏壇仕舞いを始め、仏間を整備するとともに御本尊や先祖の位牌を安置する机を設置することにしました(下写真:現状は座卓に仮置き)。

そこで思いついたのが、この机の材料に伐採するスギを使うことです。
机を作るにしても損得勘定では材料を買ったほうが良いのですが、仏様やご先祖用となれば手間やお金をかける甲斐があるでしょう。

材として使うのであれば、木を伐るのも適期(伐り旬)に行いたいものです。
樹木は秋から冬にかけて成長が止まり、含水率が低くなるため、この時期に伐採すれば腐りにくく狂いの少ない材が得られると聞きます。
さらに、その伐り旬の期間でも新月期であれば、なお良いようです。
そこで、近く満月及び新月になる日を調べると次のとおりです(ブログ記事は遡って書いています)。

  • 2020年11月30日(月) 満月
  • 2020年12月15日(火) 新月

カレンダーを確認すると、この間に2回週末を挟みますので12月5・6日及び12月12・13日に実行することに決定。
ただ、素人の私が当日いきなりチェンソーで伐り始めるのは無謀ですので、その前の週末(11月下旬)に現状を確認しながらに作戦を練ることに。

下写真が伐採予定の3本ですが、伐倒方向の条件から最も高くて太いもの(下写真で①)から伐っていく必要があります(今シーズン初めてのチェンソーワークになり、小さいものから伐りたいのですが・・・)。

この大物の樹高を三角法の原理(スティックメソッド)を用いて測定すると19mです。
隣接して二階建ての離れがあるほか、19mの範囲には主屋や土蔵もあります。
いずれも我が家の所有物のため、まだ気楽とは言え、伐倒時にはロープで牽引して伐倒方向をコントロールしたほうが良さそうです。

ちなみに、以前この3本のスギに隣接してもう1本スギがあったのですが、枯れたため3年前に伐採しています。
今回伐採する3本に比べて小さかったこともあり、ロープで牽引せずに伐ったところチェンソーのガイドバーが挟まれて四苦八苦するし、倒れるときに枝が離れの戸袋をかすめて凹ませると言うミスを犯してしまいました。

同じミスを繰り返さないよう、今回はロープで牽引して伐ることにします。
牽引する際のアンカーについては、ちょうど伐倒方向にカキの木がありますので、それを利用することにします。
一方、伐倒するスギの木のほうは高い位置にロープを掛けるほど大きな力がかかります(ロープを引っ張る力が小さくてすむ)。
一番下(樹高の1/2程度の高さ)の比較的太い枝に、梯子と棒を使って掛けようとするも足場が悪く断念・・・。

作戦を変更してスローラインにて行うことにします。
スローライン(throw line)は訳すと「ロープを投げる」となるように、ロープの一端を結んだウェイトを投げてロープを木に掛けようと言うものです。
ウェイトは専用のもの(スローバッグ)が市販されていますが、持っていないため古布に砂利を詰めて代用します。

狙いを定めてスローライン(アンダースローでウェイトの遠心力を利用して飛ばします)。

うまくいかないときは何回やってもダメなのですが、今回は2、3回で成功!

今回スローラインで木に掛けたロープは細いPPロープで(これも専用のものが市販されています)、実際に木を牽引する太いロープではありません。
そこで、次にスローライン(今回はPPロープ)と牽引用のロープを入れ替えることになりますが、これは特に難しいこともないため翌週末の伐採時に行うことにします。

<続きます>