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井戸の再生(22)エアーリフトポンプ

井筒の落下などが懸念される古井戸について、前回、当面の対応策として下図に示す措置を講じました。

この井戸は未だ涸れてはいないと思うのですが、井戸内に溜まっている水は茶色く濁っています。
おそらく降雨時に地表から雨水とともに土砂が流入しているのではないかと考え、簡易な土堤を設けて土砂の流入防止を図ったわけです。
そして土堤を設けて2週間が経過。
井戸水の状態は・・・

気持ち濁りが弱くなったようにも感じますが、濁っています。

濁っているため井戸底は見えませんが、塩ビ管を井戸内に入れた際に底の状態を探った感じでは場所によっては30cmほど土砂(ヘドロ?)が堆積しているようでした。
この土砂が濁りの原因になっている可能性がありますし、今後の井戸再生または埋め戻しに関わらず気分的に土砂を取り除いておきたいように思います。

井戸底に堆積した土砂の撤去、つまり「井戸さらい」です。
地元の長老から「昔は井戸底に降りて井戸さらいをした」と聞いたことがありますが、このような状態の悪い古井戸の中に入るのは超危険!です。
井戸の深さは浅い(3m弱)とは言え、孔壁が崩れたら一巻の終わりです(人間は臍上まで埋まれば死ぬと聞いたことがあります)。

井戸に入らずに井戸さらいできないものか?
エンジンポンプや水中ポンプを投入して水とともに土砂を排出すればよいだけだろうと安易に考えていましたが、調べてみると(一般的な仕様のポンプでは)砂を噛んで故障してしまうそうです。
それに、これらのポンプは排水用の強力なポンプですので、土砂を排出する前に井戸内の水が空っぽになってしまいそうです。

では、井戸屋さんはどうしているのだろうかと調べてみると、このような場合にはエアーリフト(Air Lift)ポンプを使うことがあるようです。
エアーリフトポンプとは聞き慣れないポンプの種類ですが、原理としては揚水管のなかに圧縮空気を送り込んで空気とともに水を揚水するというものです。
単純な構造であるため土砂混じりの水でも問題ないというわけです。
詳しくは下記リンク先HPを参照してください。

論文「エアーリフトポンプ(Air Lift Pump)の設計理論」

空気を送り込むにはコンプレッサーを用いますが、井戸屋さんは業務用の能力(空気吐出量)が大きいものを使っているようです。
揚水量は少なくなるとしても家庭用のコンプレッサーでもできそうな気がします。
他に必要となる資材は揚水管(塩ビ管を使用)ぐらいなものですので試してみることにします。

所有しているコンプレッサーの空気吐出量は100L/min程度(0MPa時の数値ですので水頭分だけ低くなると思います)です。
この空気量に応じて揚水管の口径を設定するのでしょう。
口径を大きくすれば摩擦損出が小さくなり有利になるように思いますが、その分、流速が遅くなるため、水や土砂を揚げる力が得られなくなるようにも思います。
残念ながら最適口径を算出するような能力がありませんので、直感(+扱いやすさ)でφ20mmとします(大学生のときに水理学を履修しているのですが・・・)。
そして空気量のほうを調整するものとし、コンプレッサー側にレギュレータ(流量調整)を設けることにします。

では、エアーリフトポンプ(揚水管部)を作製します。
コンプレッサーのエアホースに空気量を調整するためのレギュレータ(ボール弁)を取り付けます。

レギュレーターの継手はネジ(1/4″、R+Rc)で、これにエアプラグ(1/4″)を接続しています。
各部品を購入し、700円程度です。

エアホース(内径7mm)の先端にL型ニップル(φ6×φ6)を取り付け、これを塩ビ管にあけた穴(φ6.5)に差し込みます。

塩ビ管の先端には土砂を集めて吸い込みやすいようにインクリーザー(φ40×φ20)を取り付けています。

また、揚水管は途中に45°エルボを入れて曲げているため、持ち運びしやすいようにネジ(ソケット)で着脱できるようにします。

塩ビ管等の材料費は1,000円程度です。

コンプレッサー等を除けば二千円もかからずにポンプを作れたことになりますが、果たしてこのような簡易なもので揚水できるのでしょうか?

<続きます>

古民家の自然換気(15)シーリングファン設置

天井の張り替えに伴い、これまでに照明器具天井用板戸を設置しました。

天井に関わるものとして、以前から設置したいと思っているシーリングファンのことが頭に浮かびます。
と言うのも、昨冬に薪ストーブを導入し、室内は十分に暖かくなったのですが、天井付近に熱いほどの暖気が溜まってしまうので、これをシーリングファンで撹拌したいのです。

ところで、こうした場合にはシーリングファンで下向きの風を発生させ、天井付近の暖気を下ろすのだと思っていましたが、実はその逆で、上向きの風(上昇気流に対して追い風)により壁伝いに床付近まで下ろすのが正しいそうです。
我が家(薪ストーブがある部屋)で、そのように動作させた場合、下図のとおり空気が循環するのだと思います。

一方の夏は、冬とは逆に下向きの風を発生させるそうです。
こうするとエアコン(冷房)により床付近に溜まった冷気を上げることができるのだと思います。
また、扇風機のようにもなって涼風を得られるのかもしれません。

ところで、我が家は夏場、室内にこもる熱気の自然換気(+採光)を図るため、天井の一部に開口部(下図右側)を設けています。

現状でも、この開口部からかなりの勢いで自然換気されているのですが、シーリングファンを動作させれば、さらに換気能力がアップするのではないかと思います。
シーリングファンは薪ストーブを焚くようになる冬前に設置するつもりでしたが、この効果が得られるかどうか確認するため前倒して夏の今、設置することにします。

と言うことで、シーリングファンの機種選定。
ネットで調べてみると様々な機種があるのですが、やはり洋風のものが多いです。
古民家に合いそうなものがなかなか見つからず、黒色で目立たないものが良いだろうと選んだのが下画像の機種です。

DAIKO(大光電機)の製品で、上画像ではオープン価格になっていますが、実売価格は1万円強とお手頃です。
色の黒も薪ストーブ本体と同じマットブラックで統一がとれそうです。
また、高速回転時でも電力を20W程度しか消費しないのも良いですね。

ネットで注文しましたので、商品が届くまでに設置場所などを検討します。
部屋の中央付近に設置すると良いのですが、そこにはペンダントライト(下写真左側)がかかっているため、薪ストーブ側にずらした位置(下写真丸印)とします。

大和天井の梁なら頑丈に取り付けられますが、問題は電線(VVFケーブル)です。
梁に貫通孔をあけて天井裏側からVVFケーブルを通せば綺麗に収まりますが、孔をあけるのには抵抗が・・・。
そこで台座のようなものを自作して、そこにVVFケーブルを通すことにします。

この台座にはシーリングファンのフランジ部を取り付けることになりますが、その大きさは下図のとおりφ130mmです。
よって台座は一回り大きいφ150mmとします。


(大光電機(株)HPより)

材料には幅150mm、厚45mmの杉板(端材)を使います。

なんとなく45mmではゴツい感じになりそうに感じ、40mm程度に薄くしています。

円(φ150mm)の罫書き線より若干大きくジグソーでカット。

これをトリマー(円定規併用)で正円にします(上写真の釘が中心点)。

ジグソーで大まかに切ってあるから大丈夫だろうと一気に加工したところ、焼けが入ってしまいました・・・。

トリマーを使ったついでに、ビットをヒョウタンビットに取り替え、飾り面取りを施します。

裏面にはVVFケーブルを通すための溝を掘ります。

古色塗り(柿渋+顔料)して台座の完成。

この台座には下写真のとおりシーリングファンの取り付け金具を設置します。

配線しつつ、台座を梁に取り付けます(下写真で点線が台座内の配線ルートです)。

電気ケーブルは以前換気扇用に使っていた壁スイッチ式のものをそのまま流用しています。

シーリングファン本体を取り付けて完成!

スイッチオン。

スムーズに動作します。
直ぐに効果の程がわかるようなものではありませんが、なんとなく良い感じです。

薪ストーブとシーリングファンです。

天井がゴチャゴチャしてしまったような・・・。

<続きます>