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薪ストーブの導入(3)煙突の概略設計

前回、薪ストーブの設置場所を決めました。

一方、煙突瓦の位置を決めるには、煙突に近接する梁や瓦の割付けの制約などの条件があるため、煙突の概略を設計したうえで決める必要があることが分かりました。

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今回は煙突の概略を設計し、煙突瓦の位置を決めたいと思います。

煙突瓦は4枚の平瓦から構成されます。
その中心が煙突の芯になるとして設計してもよさそうです。
(下の写真は土葺き仕様のもので、今回使うものではありません。)

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瓦の割付位置は、通常、屋内からはわかりません。
しかし、今回の改修工事で採光用としてガラス瓦(平瓦と同じ寸法)を使用したことから、それから追っていくことが可能です。

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まずは南北断面(東立面)で煙突を配置してみます。

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煙突は、薪ストーブ用として一般的な口径φ150mmのものを使う予定です。
屋外部分や煙道内は、燃焼効率や安全のため二重構造の煙突(二重煙突)とし、その二重部の外径はφ200mmです。
二重煙突であっても、梁などの可燃物とは150mm(安全側にみて200mm)以上の離隔(クリアランス)を確保する必要があります。

上の図面では、もっとも近接する丸太の桁からも301mmの離隔が確保されています。
あと瓦1枚分、桁方向に近づけると200mmの離隔を確保できなくなりますので、南北断面はこれで決まりとします。

続いて東西断面(南立面)です。

chimney2

こちらは、屋根の梁や大和天井の梁などの障害物が多いです。
また、薪ストーブの背後は壁であり、炉壁を設けるとしても炉壁から300mm以上の離隔が必要となります。
ストーブを壁から離すと、煙突が梁(可燃物)と近接してしまいます(200mm以上の離隔を確保できない)。

そこで、上図のとおり45°曲管2個を使って梁をかわすことにします。
燃焼効率や維持管理を考えると曲がり配管にしたくないのですが止むを得ません。

以上で煙突の概略が設計できました。
煙突瓦の位置は、上の図面から次のとおりとなります。

○南北方向:軒桁から南(棟)に向かって3、4枚目(軒からは6、7枚目)
○東西方向:ガラス瓦から西に向かって2、3枚目

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<続きます>

薪ストーブの導入(2)ストーブの設置場所

前回、屋根の煙突貫通部は煙突瓦を使うことにしました。

しかし、肝心の煙突瓦の位置(薪ストーブの設置位置)を私のほうで決めていなかったため、二度手間となりますが、とりあえずは通常の瓦(平瓦)で葺き、後で煙突瓦に差し替えていただくことになりました。

北側の屋根です(写真は施工中のもの)。

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ガラス瓦(2箇所)になっているところが台所や居間ですので、薪ストーブの煙突もその近くになる予定です。

煙突瓦の位置を決めるため、まずは薪ストーブの設置場所を検討します。

改修工事では床組みも全面改修していますが、そのなかで居間の床高さを隣接する台所と同じになるように下げていただきました。

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これにより従来、居間(7.5畳)と台所(10畳)に分かれていたのが、17.5畳の広さの部屋(LD)となりました。
この17.5畳の部屋は生活スペースの中心となりますので、薪ストーブを設置するならこの部屋がベストです。
また、床はフローリングですので、畳の部屋に薪ストーブを設置するよりも容易そうです。

それと、補強のため南北方向に1面ずつ壁を新設しましたので、この部屋にもその壁があります。
この壁の前に薪ストーブを設置すれば邪魔になりにくそうです。
(床高さの変更や壁の設置は、いずれも建築士さんによるアイデア&設計です。)

下の写真は改修工事の完了後のもので、DIYにて天井(大和天井)の張替えを行っているところです。

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ちょうど天井板がないので、煙突の検討を行うには最適です。
薪ストーブの設置予定箇所から屋根を見上げると、このようになっています。

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煙突は大和天井の梁の間を通すことになります。
屋根に大きな梁があります。
煙突は二重構造のもの(二重煙突)を使用する予定ですが、それでも一定の離隔(クリアランス)を確保する必要があります。

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右の離隔を確保すると左側の離隔が小さくなり、かと言って左の離隔を確保すると右側の離隔が小さくなります。

また、煙突瓦は4枚の瓦で構成されています。
瓦の割付は決まっていますので、煙突瓦の設置位置は瓦1枚単位での調整しかできません。

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先にも書きましたが屋根貫通部は鉛製のフラッシング(高価!)を使うことがほとんどです。(煙突瓦を使っている事例はネット上でも1件しか見たことがありません。)
位置の調整がしにくということも煙突瓦が使われない理由かもしれません。

いくつか条件があり煙突瓦の位置を決めるためには煙突の概略を設計する必要がありそうです。

<続きます>