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薪棚設置(2)全体計画と設計

前回、自宅敷地内に30年以上保管?してあった丸太をチェンソーを使って製材しました。

この製材により角材(95mm角、85mm角の2種類)が計7本得られました。
当初は丸太がこれ以上腐朽しないように、とりあえずは製材だけして倉庫内に保管する考えでしたが、保管するにも場所を取るため、この流れで何らかの用途で使ってしまうことにしたいと思い始めました。
もともとの原木(杉)は自宅から目と鼻の先で生育していたもので、せっかくなので主屋(古民家)の造作材として使いたいところですが、腐れ箇所が多かったりして難しい感じです。
他の使い途として思い浮かぶのが薪棚です。
薪ストーブを導入して3シーズンが経ったものの、未だに薪棚がなく、雨ざらしの状態で薪を保管している有り様なのです・・・。
薪棚であれば十分使えるレベルだと思いますので、これらを使って薪棚を作るべく、まずは薪棚の全体計画から検討することにします。

薪棚は、薪の(年間)使用量に応じた大きさ(容量)のものが必要になります。
我が家の薪の使用量は、以前算出したとおり年間約7.2m3(広葉樹メイン)です。
薪は伐採・薪割り後2年乾燥・保管させることから、薪棚の容量は年間使用量の2倍の15m3弱あれば良さそうです。

ところで、昔(昭和30年代以前)、薪を煮炊き(カマド)や(五右衛門)風呂に使っていたとき、我が家では主屋西の軒下(下写真)に積んで保管していたそうです。

上写真は改修工事前(4年前)のものですが、ガスや灯油に変わって使われなくった薪(古材)が積まれたままになっています。
実は、ここでシロアリが発生し、隣接する主屋(下屋部分)の土台もボロボロになっていました。
結局、4年前の改修工事において蟻害箇所を含む下屋を減築して現在、下写真の状態になっています。

蟻害に懲りたため、その原因となり得る薪などを置くことはせず、金属製ハシゴの収納場所として使っています。
しかし、今になって思うと、薪を何十年も置きっ放しにしてあったため(しかも古材)シロアリが発生したのであって、伐採したばかりのものを2年程度棚積みしたところで、とてもシロアリが発生するものではないと感じています。
このため昔のように、この軒下を有効利用して薪棚を設置することにします(下写真で1号薪棚)。

この薪棚の容量を算出すると次のとおり3.2m3となります。

1号薪棚:0.35m(幅、1列)×2.0m(高)×4.0m(延長)=3.2m3

必要量の15m3に全然足りません。
そこで、上写真に書き込んであるとおり離れ(鉄骨造)横にも薪棚を設置することにします(2号薪棚)。

2号薪棚:0.7m(幅、2列)×2.5m(高)×4.0m(延長)=7.0m3

計10.2m3で、これでも必要量(15m3)に不足します。
薪ストーブの消費量がいかに多いかと言うことを改めて感じます。
その点、昔は煮炊きから風呂・暖房まで全てに薪を使っていたにも関わらず、薪棚は主屋の西側だけで足りていたと言うのは意外です(年間使用量5m3程度?)。
全て薪に依存した生活を送りながら、なぜ少なくても済んだのか?と思わざるをえません。
おそらく昔は、枝などの部分も最大限活用していたためだと思います。
そのように思うのは、主屋の屋根裏(下写真、改修工事前)に膨大な量の柴(松の枝など)が残されていたからです。

ボリューム的には薪よりも柴のほうが圧倒的に多いです。
カマドだと薪(割り木)よりも早く火力を得られる柴のほうが使い勝手が良かったのかもしれず、結果、木全体を余すことなく使えていたのでしょう。
そう考えると、薪ストーブのような使い方はぜいたくで、昔では考えられないものなのかもしれませんね。

いずれにしても先の2箇所の薪棚では容量が不足するため、さらにもう1箇所設置する計画にします。
その設置場所として考えるのが、土蔵前の庇の下です。

3号薪棚:0.7m(幅、2列)×1.8m(高)×2.5m(延長)=3.2m3

この土蔵は、主屋(古民家)よりも古くて状態も良くなく(土台の一部に蟻害有り)、現状ではガラクタ置き場として使っているぐらいです。
このため主屋のように大規模に手を入れて延命化することは行わず、将来的に解体・撤去する方向とし(瓦の葺き替えが必要となる20年後を目途)、それまで現状が維持されるよう修繕的な工事を施しているところです。
この土蔵には奥行き1間(1.8m)の庇が附帯しているため、当面の有効利用策として薪棚を設置しようと言う考えです。
庇がこのように深いのは台風の吹き返しが入り込まないようにするためだと思いますが(東向き)、実際、これだけ庇が深くても台風の襲来ごとに、せっかく塗り替えた壁や三和土が酷い状態になっていくのです(涙)。
ここに薪棚を設置すれば、防護壁にもなりすので、まずは、この3号薪棚から施工することにします。

薪棚の材料は先に製材した角材を用いるとしても、それをどのように組んで薪棚にすれば良いのか??
単純に考えると、何は無くとも薪を載せる桁が必要です。
スペース的には薪を2列置けるため、薪(下図で朱色着色)の長さを350mmとして、薪を載せる桁を@300mm間隔で4本配置すれば良さそうです。

この桁ですが、土蔵への風通しを確保するため桁下に空間を設けたいと思います。
そこで桁の位置を上げるべく、上図(側面図)のとおり桁受けを入れ、その桁受けを柱で支えると言う構造にします。
そして、これらをホゾ組みするように上図を描いたのですが、何か違和感があります・・・。
通常、木造構造物は土台を周囲に回し、その土台に柱を建てると言うのが基本だと思います。
それを土台無しに柱を建て、横架材(今回の場合、桁と桁受け)で固めようとするわけです。
こんなのあり!?素人考えの無茶苦茶な構造のように思いますが、他に良い案も思いつきませんので、これで行くことにします。

上図をもとに平面図を描きます。

薪棚の延長は、庇下のスペースから2.2mとしています。

そして、正面図が下図のとおりです。

必要最小限の構造にしたつもりですが、それでも材料の数量を拾うと製材した角材の全て(95mm角と85mm角、計7本)を使うことになります。
しかも、材料を節約するため桁材に85mm角の角材を二つに挽き割ったもの(85×41mm)を使うことにしています。
桁の長さ2.2mに対して、この断面(85×41mm)で大丈夫なのか一抹の不安が残りますが・・・。

薪棚設置(1)チェンソー製材

平成の初め(30年前)、我が地区で水田の土地改良事業(圃場整備)が行われました。
この事業において、道路に隣接する我が家の山林(藪?)が用地買収の対象になり、立木(主に杉)を施工業者が伐採しました。
当時、伐採木は売却することもできたのですが、主屋や納屋を建て替える際の用材にしようと考えた父は親戚等に手伝ってもらって自宅敷地まで運んで保管してありました(こうしたことを当地では「囲う」と呼びます)。

しかし、その後時代が変わり、こうした丸太を地元の製材所で賃挽きしてもらって建材として用いるようなことは無くなりました。
使われることなく積んだままの状態で30年が経過して朽ち始めています。

朽ちていても薪ストーブの燃料にはなるため、1年半前の冬、腐朽の程度が酷い半数ほどを薪にして使いました。

残り半分も薪にする考えもあったのですが、父や親戚が苦労して運んできたものを焚いてしまうだけと言うのもどうかと思い、とりあえずブルーシートを新しいものに取り替えて雨に濡れないようしておきました(下写真のとおり量が当初に比べ半分程度に減っています)。

この状態で、さらに1年が経過・・・。
ブルーシートで養生してあると言っても状態は悪くなる一方です。
差し当たって使うアテはないのですが、とりあえず製材して倉庫内に保管するようにすれば劣化が食い止められそうです。
しかし、町内から製材所がなくなって久しいですし、あったとしても、このような長年の土埃や泥のついた丸太は敬遠されることでしょう。

そもそも腐朽箇所があったりして製材したところで大したものには使えませんし、それならチェンソーを使って簡易製材してみてはどうか??
物は試しに、下写真の簡易製材機(Timber Tuff社 TMW-56)を米国Amazonで購入(米国からの送料込みで約4,000円)。

この簡易製材機の仕組みは、2×4材をガイド(定規)にし、それに沿ってチェンソーを真っ直ぐに移動させることで製材すると言うものです。
単純な仕組みですが、こうしたものが製造・販売されているとはさすがDIY大国のアメリカです。

早速、これにチェンソーを装着して製材してみることにします。
丸太にガイド用の2×4材を固定し、その上にチェンソーを装着した簡易製材機をセット。

チェンソーを始動し、ガイド上を滑らせて挽いていきます。

うまい具合に1箇所目を挽き落とせました。
ただ、ソーチェーンは目立てしてあっても切れ味が悪くて時間もかかります。
当たり前とは言え、ソーチェーンは横挽き用のもので、このような縦挽きには適していないことを改めて思い知りました(縦挽き用のソーチェーンもあるにはあるようです)。
チェンソー本体に相当負担を掛けますので、1箇所を挽き落としたらエンジンが冷えるを待つため小休止が不可欠です。

次に2箇所目が1箇所目と平行になるようにガイドをセットし(1箇所目に対して直角)、再びチェンソーを始動して2箇所目を挽き落とします。

2箇所を挽き落として太鼓の状態になりました。

続いて、3箇所目に取り掛かります。
このとき、2×4材のガイドは先に挽いた平面に載せてセットすることになりますが、これで矩を出して挽けることになります。

同様にして4箇所目を挽き落とします。

こうして、1本の丸太から角材を取ることができました。

製材された角材は馴染みがあるものの、丸太から角材に製材する過程をこれまで目にしたことがなく、さらに自分自身で製材できたことで感慨深いものがあります。
製材の精度について、寸法は比較的正確ですが、矩が甘く(断面形状が平行四辺形)、3寸(90mm)角で5mm程度の誤差が出ているところがあります。
これで家を建てるわけでもなく、精度は問題ないとして、やはり最大のネックはチェンソーへの負担や騒音の発生です。
チェンソーへの負担を考慮すると、1回(日)に製材するのは1本が良いところのようです。
ブログは遡って書いているため、実際には昨年12月頃から着手して山仕事でチェンソーを使用する冬の間、各週末に1本ずつ製材していきました。
その都度、準備や片付けをする必要があって手間も相当かかり、今思い返すとバンドソーになんらかの送材用の道具を用意して製材するほうが良かったのではないかと思っています。

さて、引き落とした部分(背板)は薪ストーブの燃料として使います。

背板が厚く、かなり贅沢な木取りをしたことがわかります。

引き落とす部分(背板)を小さくし、できるだけ大きく角材を取ろうとすると、角材のサイズは下図で左側の通り丸太の直径にルート2の逆数を乗じたものになります。
しかし、丸太は末と元では太さが異なり、また真っ直ぐでもないため、ある程度余裕をみて木取りしたのです。

引き落とす部分(背板)が大きくなっても捨てるわけではないので構わないとは言え、挽き高が大きくなる分、チェンソーに負担がかかります。
そこで、次からは上図で右側の通り木取りすることにします。

こうすると耳付きの角材になりますが、造作に用いるわけでもありませんし、これはこれで木の原形をイメージしやすくて良いように思います。

これなら下写真のように曲がったものでも挽き落とす部分を小さくできます(角材のサイズがバラバラになっては使い勝手が悪いのですので、100mm角と90mm角の2種類になるようにしています)。

下写真のような腐れの箇所も、市販品では見られないもので良いのではないでしょうか!?

こうして相当な手間をかけて角材に挽くことができました。
これで荒材の状態になったわけですが、ここまでしたからにはカンナも掛けておくことします(電気カンナ使用)。

30年以上放置されていた丸太が美しい角材として蘇りました!

1面につき2〜3mm削るため、オガ屑の量もハンパないです(オガ屑は生ゴミに混ぜるなどして有効利用しています)。

最終的に95mm角と85mm角の角材が計7本得られました。

ホームセンターで同じような角材(杉、2寸5分角)が1本1,000円程度で売っています。
重機や大型の製材機械を使っているとは言え、経費すら出ない価格なのではないかと、今回自分で製材してみて感じました。
これでは日本の山林が荒廃するのも当然なワケです。