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庭の整備(39)米搗き臼

庭の散水栓(井戸水を水源)を整備し、ホースリールも繋いで、いよいよガーデニングにも井戸水を活用できるようになりました。

とは言え、ガーデニングと言う洒落たものには縁遠い人間ですし、芝庭も余程の日照りが続かない限りは水やりの必要はありません。
特別に水を要するような植物は何だろうかと考えると、やはり水生(抽水)植物の睡蓮や蓮が思い浮かびます。
睡蓮や蓮を育ててみるのも面白そうですが、それには鉢や池が必要です。
鉢と言えば、裏庭の片隅に転がっている臼を活用できそうです。

上写真は立ち枯れした杉の木を1年前に伐倒したときのものですが、危うく割ってしまうところでした・・・。
刈払機を使って草刈りする際も、こうしたものがあると邪魔になるため処分するか有効活用するようにしたいと思っていたのです。

この臼は分厚い陶製で相当な重さがあります。
3年程前のことですが、ちょうど遊びにきていた甥っ子にも手伝って貰ってひっくり返したのが下写真です。

ひっくり返したことで、臼の上縁に刻印があるのを発見。

判読しづらいですが、どうやら次のとおり書かれているようです。

知多郡常滑村とありますので、お隣の愛知県は常滑焼の産地で作られたものなのでしょう。
また、屋川(屋号「やまや」)の堀本吉次郎なる人の手によるものであることも分かります。

昔であればここまで調べて終わりだったのでしょうが、ネット時代の今の世、カチカチとキーを叩いて「堀本吉次郎」で検索すると、なんとヒットするものがあります!

常滑市民族資料館「友の会だより 第14号」に「陶製米搗臼」について書かれた論文が掲載されており、そこに堀本吉次郎の名があるのです。
そして、この論文に掲載されている写真を見ると、まさに我が家と同じものが写っています。


常滑市民族資料館「友の会だより 第14号」、手水鉢に転用されている陶製米搗臼)

論文を読むと、この臼は明治後年に常滑で製造されたもので、精米用の米搗(こめつき)臼として使われたとのこと。
分厚い(肉厚6cm前後)のは米を搗いても割れないようするためで、そのため乾燥に6ヶ月以上も要するなど大変な労作だったそうです。
出荷先は三重・愛知・岐阜・大阪で、最盛期には年間1000個ほど売れたのだとか。
論文の末尾に、現在では思わぬところに転用されているとして、例として寺の用水甕、庭の造園用、植木鉢、手水鉢などが上げられています。
愛知県にある寺では立派な線香立(香炉)として活用されるそうで、我が家も睡蓮鉢よりも香炉にするほうが良いのかもしれませんね!?

ところで、明治後年に作られた米搗臼であることは分かりましたが、このような形状の臼を使って、どのように精米するのでしょうか?
餅つきのような感じで杵を使うのでしょうか??
私自身、生まれた時には既に電動の精米機が普及していた世代で、改めて考えると昔の人はどのようにして精米していたのか不思議に感じます。

そこで、またもやネットで「米搗臼」を調べてみると、株式会社クボタの「田んぼの総合情報サイト:くぼたのたんぼ」に写真付きで解説があるのを発見。

上写真のとおり足踏みにより杵を上下させて米を搗いていたのです。
「米搗きバッタ」の言葉だけは知っていますが、これを使って米を搗く様を呼んでいるわけです。
年長者にとっては当たり前のことでしょうが、恥ずかしながら今回の件で初めて知りました・・・。

ところで、上写真には柄の支柱に石製のものが使われていますが、これまた見覚えがあります。
下写真は先般、主屋の裏にを植栽したときのものですが、そこに同じようなものが写っています。

御影石を切り出したものですが、単純な直方体ではなくて一端が凹の形状に加工されているため、一体何に使ったものだろうかと長年思っていたのです。

この凹部に木の柄を通し、米搗き用の支柱として使われていたわけです。
まさか、これが先の陶製臼と一体のものだったとは、何十年とここに住んでいるにも関わらず初めて知りました・・・。

いずれにせよ、こんなところに放置されていては蹴つまずく原因になりますし、芝生を拡張する際にも邪魔になります。
処分するのもひとつの選択肢ですが、遠い将来には電気が使えなくなり、こうした精米方法が見直されるときが来ないとは限りません(我が家は100%玄米食なので、そもそも精米する必要すら無いのですが・・・)。
このため、陶製臼とともに石製支柱も残すべく、当面の活用策を検討したいと思っています。

庭の整備(38)播き芝(切除したランナーを利用)

今春、播き芝により芝生を拡張したところに前回、目土入れを行いました。

この調子だと、来夏には張り芝したところと変わらないぐらいになりそうです。
このように芝の成長力は旺盛で、土間コンや敷石との境界ではそれらを越えようとランナーを伸ばしています。
こうしたものは惜しい気持ちもありますが、ハサミで切除しておきます。

ところで、今春に行った播き芝はホームセンターで購入した芝(1束)を小さく切り分け、それらを点状に植え付けるようにして行いました。
しかし、本来の播き芝は完全にほぐし、バラバラになったランナーを播いて行うそうです。
とは言え、バラバラにほぐすのは案外手間が掛かるもので、今春に行ったときは横着して小さく切り分けたわけです。

先に切除したランナーを見て思ったのが、これを使って本来の播き芝が行えるのではないかと言うことです。
芝生は草取りや草刈りの負担軽減のために更に広げたいと思っており、こうして増やせられれば新たに芝を購入しなくても済みます(芝はそう高いものではないのですが、自然の力で芝が成長する過程こそが面白いように感じます)。

そこで、実験的に先のランナーを使って播き芝を行ってみることにします。
ただ、播き芝用の場所を準備していませんので、とりあえず水稲用の苗箱に山砂を敷き、そこにランナーを播きます。

水稲の場合も同様にして種籾を播くのですが、種籾の代わりに芝のランナーを播くとは変な感じです。

これまた水稲苗と同じように山砂を薄く被せて転圧したうえ、たっぷり水やりします。

稲も芝も同じイネ科の植物ですので、同じ育苗方法が通用するのではないかと思うのですが、どうなることでしょう?

先に「芝生を更に広げたい」と書きましたが、その場所は主屋(古民家)周りで、以前は除草剤により草一本生えていない状態にしていたところです。
主屋の南側については既に芝庭になっていますが、その反対の北側(鉄骨倉庫との間の通路、下写真)は除草剤をやめたことで雑草が生い茂っています。

雑草が生えていることで雨後のぬかるみができにくくなりましたし、流水による表土の流出も少なくなったに違いありません。
また、雑草(定期的に草刈り実施)も遠目に見れば芝生のようにも見え、これはこれでアリかもしれません。
しかし、この光景を綺麗好きだった亡き祖母(手取りによる除草)や父(除草剤による除草)が見れば卒倒するに違いありません・・・。
そこで、雑草を芝に置き換えることで見た目的にも良くしたいと考えているのです。

ところで、この下流には今春に整備した雨水浸透排水路なるものがあります。

今のところ、降雨時に排水が滞ることはなく、通常時も水はけが改良されたのか付近の感じが良くなったように感じています(以前はジメジメした感じ)。

このため、この雨水浸透排水路をさらに上流へと延伸させ、主屋隣接箇所の排水や水はけも改良したいと考えています(下写真で水色の線)。

芝の生育には「水はけ」の良さが欠かせないため、雨水浸透排水路の整備は芝の生育にも寄与してくれることでしょう。
芝の生育にはもうひとつ重要点があり、それは「日当たり」です。
ここは主屋の北にあたり時刻によって影が生じるため、日当たりの面で条件は良くありません。
このため、主屋側に排水路を配置し、これを縁としてこの北側を芝生とすると良さそうです(上写真で朱色点線の範囲)。

切除したランナーはまだ余っていますし、播き芝ができる時期(春と秋)は限られていますので、今秋に少しでもやって様子を見ることにします(9月2日実施)。
大きな石だけを取り除いたうえ、ランナーを播きます。

山砂を薄く被せて転圧、散水して完了。

<<その後、20日経過>>

播き芝後、20日経過した状態が下写真です(9月22日)。

緑が目立つようになり、元気に生育しているようです。

一方、苗箱を使ったほうは緑が消えています・・・(土の一部が流出しているのは庇の雨だれが当たったためです)。

これは水が欠乏している状態だと思います。
水やりは定期的に行っていることから、芝の生育にはこのような薄い土の層と水分だけでは不十分なのでしょう。
芝の生産農家も出荷のことを考えれば苗箱で栽培したほうが省力になるのでしょうが、このような栽培はしていないことからも、そもそも無理があったようです。

ランナーは茶色くなって枯れたようにみえますが、水の欠乏によって休眠状態に入っているだけでしょうから、直播きし直しておきます。

<<さらに20日経過>>

播き芝後、40日経過した状態が下写真です(10月16日)。

一段と成長する一方、芝の間からは冬草も生えてきています。
この場所が芝の生育に適していれば、雑草は芝に駆逐されていくはずですが、果たしてどうなることでしょう?(芝の生育に適していない場合は草取りに四苦八苦することに・・・)。