投稿者「里山古民家」のアーカイブ

竹ボイラーの導入(19)煙突貫通部の雨仕舞い

前回、屋根(倉庫の庇)を不燃材のスレート板に取り替えたうえ、煙突を貫通させました。

ところで、煙突と屋根(スレート板)との間には上写真のとおり隙間がありますので、その雨仕舞いのため、薪ストーブの煙突のようにストームカラー(下写真)を取り付けようと思っていました。

しかし、スレート板は瓦に比べ波が高い一方で幅が狭いため、その谷を流れ落ちる雨水を煙突が堰き止めてしまいます(下写真で水色着色箇所)。

谷に雨水が溜まらないようにするには煙突の上流側の谷を埋めてやれば良く、その幅は下図から3谷(4山)分になります。


<横断図>

そして、この谷を何を使って埋めるかですが、まず思い浮かぶのがモルタル(骨材に硅砂、接着力強化のための混和材配合)です。
モルタルだと屋根材(セメントを主原料とするスレート板)との相性が良く、強固に接着されるように思います。
しかし、煙突(スレンレス製)との接着ができないため、煙突との間の雨仕舞い用として別途、ストームカラーを設置する必要があります。

そこで、煙突との間の雨仕舞いも一挙に解決できる方法(ストームカラーが不要)を考えたのが下図です。
モルタルの代わりにトタン板を使って谷を覆い、それを煙突の下流側まで伸ばすことで煙突周囲の雨仕舞いまで行おうという考えです。


<平面図>

トタン板なら煙突の口径φ115mmで穴をあけるのは容易ですし、僅かにできる隙間はシーリング材(耐熱)で充填することもできます。

トタン板(ガルバ生地)は雨樋防護カバーの作製に使ったものが残っていますので、その端材を利用して作っていきます。

波板の波と煙突の位置を合わすことばかりに気を取られてしまい、両側面の重ね代を逆に折り込んでしまいました(山折りのところを谷折り)・・・。
谷に雨が入り込んでしまいますが、折り返すのは難しそうですので取り付け後にシーリング材を充填することにします。

波板を覆うように取り付けます(更新時に取り外しやすいように小ネジを使用)。

煙突の間にはシーリング材を充填しています(トタンの谷部分も・・・)。

下写真で奥側に写っている雨樋もトタンを使いましたし、トタンが大活躍です!

これで煙突の完成です(実際には、あと1.5m分の煙突を継ぎ足しますが、まだボイラーを焚ける状態ではないため最小限の高さとしています)。
薪ストーブの煙突を設置したときに比べると、煙突が小さいこと(薪ストーブ:φ200mm、ボイラー:φ115mm)や周囲が基本的に不燃材で覆われいるため容易なのですが、それでもいろいろと手間が掛かりました。

<続きます>

竹ボイラーの導入(18)煙突の屋根出し

前回、塩ビ製(可燃材)の雨樋が煙突に近接することから、ガルバ製(不燃材)のものを自作し、これに取り替えました。

樋に続いて、屋根(倉庫の庇)についても防火対策を講じることにします。
既設の屋根材はポリカ製の波板で可燃のため、現在、これを取り外した状態になっています(上写真)。

これに代わる不燃材のものとして思いつくのがトタンの波板です。
トタンの波板であれば、安価で施工も容易です。
しかし、既設波板の波の種類(形状)は「スレート小波」と呼ばれるもので、一般的な「鉄板小波」とは異なります。

<波の幅・高さ>
「鉄板小波」<「スレート小波」<「鉄板大波」<「スレート大波」

「スレート小波」タイプのトタン波板は市販されていないようですし、かと言って「鉄板小波」タイプのものを使えば既設部分との接続がうまくいきません。
ところで、名称に「スレート」が冠されているように「スレート小波」は元来、スレート板(下写真の屋根材)のために作られた規格だと思われます。
と言うことで、当然のことながらスレート板には「スレート小波」タイプのものがあります。

スレート板はセメントを主原料としており、法定不燃材のため煙突周りの屋根材として使うことができます。
そこで、既設のポリカ製波板(「スレート小波」タイプ)のうち煙突周辺の2枚をスレート板(「スレート小波」タイプ)に置き換えることにします。

スレート板はホームセンターではあまり見かけないため、隣市にある製造工場(ミエスレートさま)に伺って直接購入(6尺もの1枚約2,500円)。
長さ6尺のものを3尺2枚として使うため、ディスクグラインダーにダイヤモンドカッターを取り付けて切断します。

スレートと言ってもセメントを固めたものですので容易に切断できます。

予めフックボルトの穴をあけておくため、取り外した波板を重ね合わせて穴の位置を写し取ったうえドリルであけます。

穴の位置がずれるとフックボルトの取り付けに難儀しそうですので、重ね目(1.5山)を重ねた状態で穴あけ。

次に煙突貫通口の穴あけです。
煙突貫通口の位置は既設の波板を取り外すときに調べてありますので、フックボルトのときと同様に写し取れば良いです。

問題はどうやって煙突口径(φ115mm)の穴をあけるかです。
本職であればホールソーを使って綺麗にあけるのでしょうが、もちろん私はφ115mmのような大きなものを持っていません。
円周上をドリルで多数の穴をあけていく手もありますが、先ほどのディスクグラインダーを使ってみることにします。
波の高さがあるため両面から切り込むことにし、中心に目印になる小穴をあけたうえ両面に罫書きます。

両面から少しづつ切り込み、それなりに丸い穴をあけることができました。

加工したものを屋根に載せ、フックボルトで固定します。

フックボルトは既設のものを流用しましたが、上写真のとおりナットや傘がサビサビです。
既設の波板(ポリカ製)は2年前に更新し(下写真が更新直後)、そのときにフックボルトも新しくしているのですが、材質が鉄(ユニクロメッキ)なので2年でこの状態です。

その更新前のもの(FRP製、約30年経過)が下写真になりますが、そのフックボルトの一部は朽ちて無くなっているものもありました。
ポリカ製の波板であれば耐用年数が短いため鉄製のフックボルトでも十分なのでしょうが、耐用年数が長い屋根材の場合にはスレンレス製を使ったり塗装を施す必要がありそうです。

<続きます>