倉庫の中で埃まみれになっている祖母のミシンをアンティークテーブル(テレビ台として使用予定)として再生することにし、前回、分解しました。
再利用するのは台部分になりますが、鋼製のため表面に黒サビ処理(一例として裁ちハサミの持ち手部分)が施されています。
しかし、長年湿気のある倉庫内に保管してあったため、赤サビが酷く生じています。
赤サビを落とすために全てのパーツを分解することにしますが、元々の状態を忘れてしまいそうですので分解前にネジの組み合わせなどを写真に撮っておきます。
当時のネジ頭はマイナス形状(現在はプラスが主流)になっているため、マイナス・ドライバーを使用しています。
分解後はひたすらサビを落としていく根気作業です。
細かい部分が多いことから電気ドリル用の小型ワイヤーブラシを使っています。
また、経年の風合いを残すため、ピカピカに磨けあげるのではなくて表面の赤サビを落とす程度にしています。
サビを落とすと、ホイールのスポーク部分に「SIMANCO」と言う耳慣れない文字が現れました。
ネットで調べてみると、Singer Manufacturing Company(SINGER社の正式名称)の略称だそうです。
手間が掛かりますが少しずつ作業を進め、SINGERのロゴの入った部材のサビ落としも完了。
一通りサビを落とし、落ちたサビを集めると、こんなにもありました。
このような中を横着してマスクをせずに作業していたので鼻の中が真っ黒に・・・(もちろん作業には防塵メガネも必須です)。
こうしてサビを落としても、そのままでは再び赤サビが発生してしまいます。
先にも書いたとおり、元々は防錆として表面に黒サビ処理が施されていました。
今どきは黒サビを容易につけられる化学薬品(スーパーブルー等)もありますが、高価ですし、新品のような黒色になっては面白くありません。
黒色のペンキを塗っても同様ですし、かと言ってオイルやワックスの塗布では長持ちしそうにありません。
そこで少し手間はかかりますが、ロウソクのロウ(原料:パラフィン)を塗り込むことにします。
サビサビで触るのが憚られるぐらいだったのが大変身!
適度にシットリ感があって良い感じです。
いかにも、長年に渡って大切に扱われてきたと言う風合いです(実際には違いますが・・・)。
側板は鋼材を溶接により網目状に組んで作られています。
現代の工業製品には見られない美しさがあるように感じます。
足踏み板やホイールの防護板も網目のデザインに統一されています。
当時、日本のメーカー(トヨタやブラザー、蛇の目)がSINGERミシンに憧れてコピー商品を製造・販売していたのも頷けます。
当時は今や世界一流企業のトヨタなども、今で言うところの中国メーカー並の扱いだったのかもしれませんね。
ネジなどの小さいパーツは酸洗い(クエン酸を使用)によりサビを落とします。
流水で十分にすすいでオイルを塗布しておきます。
こうして全パーツのサビ落としが完了。
これらのパーツを元どおりに組み立てます。
足踏み板やホイールなどの駆動部分はサビで固着して動かなかったのですが、分解・サビ落としが功を奏し、スムーズに回転するようになりました(テーブルとして使用するため回転する必要はありませんが)。