月別アーカイブ: 2018年7月

古民家の自然換気(36)古民家風棚の作製②完成

前回、棚受けと棚板の部材を木取りするところまでできました。

棚受けは柱にビス留めしますが、このときビスの打ち込み角度が斜めになることから誘導用の下穴をあけておきます。

ついでにドリル(ビット)の径を替え、ビス頭を隠すための穴(φ10mm)も加工しておきます(この穴にφ10mmの埋め木を施すとビス頭が隠れます。ただし、今回は取り外すことを考慮して埋め木までは行いません)。

面取りとヤリス掛けにより仕上げます。

柱にビス留めして取り付けます。

このとき、棚受けの位置(高さ方向)は棚下に冷風扇を収納することを考慮して決めています。

棚受けの位置が決まったことから両者の間の距離を測定し、それに応じた長さで棚板をカットします。

棚の背後は壁(真壁)でチリ部分がありますので、その柱側を切り欠いています(上写真で朱色矢印)。

棚板の面取りはトリマー(ヒョウタン面ビット)を使って少し凝ってみます。

引き続きトリマー(ストレートビット)を使い、裏面の棚受けとの接合箇所(追入れ接ぎ)に溝を切ります。

サンダーを掛けて仕上げます。

一旦、棚板を仮置きしてみます。

背面の壁は15年程前のリフォームにおいて新設したものです。
下地は石膏ボードで、工場製品ゆえに完璧な平面が出ており棚板との間に隙間が生じません(当たり前とは言え、土壁に慣れていると驚きです)。

棚はオイルステインで塗装して仕上げます。
塗料は3年前の改修工事で用いたものと同じバトン(大谷塗料、色:オーク)を使います。

今回、一斗缶(16L)で購入しましたが、一斗缶でも2万円弱と同じオイルステイン(自然系塗料)のリボスやオスモと言った舶来ものに比べて安価です。

ウエスを使って擦り込むようにして塗装(改修工事で大工さんに教えていただいた方法)。

古民家に白木だとアンバランスな感じがしたりしますが、こうして塗装すると馴染みます。

棚板(上段)と棚受けとの接合は追入れ接ぎにしているものの念のため造作用のビスで留めておきます。

棚には電話の子機を置くため、その電源コードを通す穴を設けてあります(上写真で朱色囲み)。

完成!

古民家に馴染む棚に仕上がりました。

そして、棚の下のスペースを利用して冷風扇を収納できるようになりました。

<続きます>

古民家の自然換気(35)古民家風棚の作製①

前回、夏季の暑さ対策として冷風扇を導入しましたが、そのサイズが想像以上に大きいことが判明。
そこで、冷風扇の置き場所を確保するため、下図の棚を設けることにしました。

<立面図>

<側面図>

まずは棚受け部分を作ります。
棚受けのサイズは上図のとおり100mm×29mm×268mmとしているため、手元にある杉の間柱材(105mm×30mm)から木取りします。
テーブルソーを使って幅100mmで縦挽き。

棚受けの手前側の角は、ぶつかったときに怪我をしないように鈍角にしています。
このため、まずは下端側を60°の角度で横挽き。

このとき、テーブルソーの傾斜定規(マイターゲージ)は30°(=90°−60°)にセットしています。

次に上端側を15°の角度で横挽きしますが、傾斜定規は75°(=90°−15°)にセットできません(45°まで)。
そこで、75°の角度でカットした板を間に挟むことで所定の角度になるようにします(傾斜定規は0°にセット)。

墨線通り切断されます。

精度が求められる箇所ではありませんが、安全にテーブルソーを使うには(途中で材を捻らない)、こうした治具の利用が欠かせないように感じています。

左右ひと組分のカット完了。

次に棚板をカットします。
棚板用の材は、棚受けと同じ杉でサイズが210mm×20mmの板材(プレーナー加工済)をホームセンターで購入してきました(2mもので1,000円弱)。
下写真のとおり表面が相当焼けているところを見ると相当期間売れなかったのでしょうか・・・。

木端の一方に水糸を張ってみると長さ方向に乾燥による曲がりが生じていることが判明。
このため定規を使って真っ直ぐに切り直し、基準を作ります。

真っ直ぐに切ったほうを基準にしてテーブルソーを使って所定の幅(160mm)で縦挽きします。

板の幅が210mmあるところを160mm幅で挽くのは勿体無いような・・・。

先に加工した棚受けを載せ、両者の大きさのバランスを確認します。

棚板の表面が日に焼けて黒ずんでいますので、表面側を自動カンナ盤にかけて1mm程度削っておきます(20mm→19mm)。

1mm削った程度では黒ずみを取りきれませんでしたが、最終的にはオイルステインで塗装する予定ですので、これで良しとします。

ちなみに上写真に写っている自動カンナ盤の集塵フード(サイクロン集塵機接続)ですが、2年程前に自作したものは不十分(角材程度しか集塵できず)でしたので作り直しています(形状を変更するとともにサイクロン集塵機との接続パイプにΦ100mmのアルミダクトを使用)。
これにより板材でも(なんとか)集塵できるようになりました。

棚板の厚さ(19mm)が決まりましたので、棚受け側に19mm幅の溝を切ります(深さ9mm)。

溝の深さを9mmとしたことから、棚板(下段)の長さは下図から816mmとなります。

早速、棚板を816mmの長さでカットしたいところですが、棚受けを上図のとおり設置できるとは限りませんので、棚受けを設置したうえで両者の離隔を実測し、その値をもとにカットすることにします(当たり前のことなのでしょうが、先走ってしまうこと多々あり・・・)。

<続きます>