以前、井戸近くの植栽などを整備した際、井戸側(いどがわ、井筒)沿いに穴があいているのを見つけました。
穴は井戸内まで繋がっており、このまま放置すれば、雨水の流入とともに穴が拡大する恐れがあるため、応急措置として波板を被せてあります。
ちなみに下写真も我が家の敷地内にある井戸ですが、放っておくとこうなり、最終的には井戸側の落下や孔壁の崩壊に至るわけです。
上写真の井戸は元々は隣家のもので、隣家は昭和10年代に町に引っ越したと聞いていますので、使用しなくなって80年近くが経過しています。
その点、今回の井戸は昭和30年代に簡易水道が供用されるまでは使われていましたので、まだ?50年程度です。
家屋や器具類もそうですが、井戸も使わなくなると老朽化が進行するのかもしれません。
井戸(自体+周辺の水循環)の維持のためにも、今回の井戸も再利用することを考えていますが、それ以前にまずは不良箇所の手当てです。
今回の穴は比較的小さいため、粘土を充填して塞ぐことができそうです。
粘土は主屋の改修工事で発生した壁土を再利用します。
ただ、充填する際に1箇所に力が掛かると地面を崩してしまいそうにも感じるため、シュロ(棕櫚)の皮を敷いて力を分散させることにします。
シュロ皮の繊維は強度がある一方、天然素材ですので、いずれは朽ちて無くなってくれます。
シュロ皮は下写真のとおり荒壁の貫伏せを施工する際にも使われたように(現在は主に寒冷紗を使用)、粘土(壁土)との相性が抜群です。
さらに粘土を盛り、井戸側が高くなるに水勾配をつけます。
「井戸に直接、地表水を入れてはいけない」と聞いたことがあるような気がしますが、これは衛生面だけでなく、井戸側や孔壁を保護する意味合いもあるのかもしれません。
ついでに別の3辺も確認しておきます。
背面側です。
井戸側沿いに小石がたくさん置かれています。
表面の石を取り除いてみます。
植物の根が張って良い感じですが、よく見ると井戸側沿いに小さな隙間が生じています。
水勾配をつけるため粘土で盛り土するとともに隙間を塞いでおきます。
ちなみに粘土の表面がテカテカしているのは鏝を使っているためです。
壁でもあるまいし鏝を使う必要はないのですが、鏝を使うと手のほうに土が付いてくることがないため作業性が良いです。
続いて正面側。
井戸側に沿って生えているのはアイビーと言う蔓植物ですが、適度であれば地面を強固にしてくれますので、無闇に抜いたりはせず活かすことにします。
ただ、水勾配をつけるためアイビーを少し整理したうえで盛り土します。
残る1辺については自然石の流しが置かれているため、そのままにしておきます。
この状態で1年程度様子を見て、来年にはポンプを設置して再利用できるようにしたいと考えています。
上写真で手水鉢があるところまでは配管(別の井戸系統)が来ていますので、そこへ接続してやれば、水源の複数化を図ることができます。
また、配管する際に地面を掘りますので、ついでにもう1本入れて手押しポンプを設置すれば、自然石の流しも使えるようになりそうです。