月別アーカイブ: 2017年8月

古民家の自然換気(11)古色塗り

前回、厨子二階の床板を張りました。

一方、中断状態になっている土壁の補修箇所については、先般施工の荒壁部分が完全に乾きました。

<施工直後>

<現在:上写真から約1.5ヶ月経過>

荒壁部分が乾いたことから、続いて中塗り部分の補修を行うことにします。
中塗りの材料は、中塗り土、左官用砂、藁スサです。
そのうち中塗り土と左官用砂は地元の建材屋さんで購入したものを使います。

下写真で右の袋入りのものが中塗り土で、1袋(20kg)400円。
この一袋で相当な面積を塗れることを考えると、他の塗り材に比べ本当に安価です。

土と砂の配合割合は1:3としています。
この配合は当地で標準的なもの(左官屋さんに教えてもらいました)ですが、全国の標準的な配合に比べると砂の割合が相当大きい(貧配合)です。
「郷に入っては郷に従え」とは言え、砂が多い分塗りづらく、私のような素人にとってはハードルが上がります・・・。

あと必要になるのが藁スサです。
一昨年の改築工事において中塗りをDIY施工したときは左官屋さんに頒けていただいたものを使ったため、手元にありません。
もちろん、建材屋さんで買えるのですが、稲作地帯に住んでいて、しかも先祖代々百姓の家系の自分にとって藁まで買うようになるのはやるせないものがあります。
そんなことで、お正月に門松を作った際に余った藁コモ(HCで購入したものですが・・・)を使って藁スサを作ることにします。

剪定鋏で5分(15mm)程度の長さに切って、揉みほぐしたところ、左官屋さんのものと同じような感じに。

今回は塗る面積が僅かですので、使うのは上写真の一部です。

水を加えて練れば材料の準備完了。

鏝を使って、周囲(漆喰を落とし中塗りの状態)と面(つら)を合わせるように塗りつけます(下写真は約1週間後に撮影したもの)。

これで仕上げの漆喰を塗れる状態になりましたが、仕上げ塗りは他の作業が全て終わってからにします(他の作業により白壁を汚す可能性があるため)。

ところで、これまでは上貼りにより隠れていた差し鴨居ですが、下写真のとおり部分的に傷があります。

また、土壁を撤去したところや碍子(昔の電気配線)の跡などが黒く煤けておらず、周囲との差異が生じています。

更には長年の間に積もり積もった汚れもあります(吊り天井がある段階でワイヤーブラシである程度、汚れを落としてあります)。

そこで、次のとおりクリーニングすることにします。

  1. 全体を水拭きして掃除
  2. 黒く煤けていないところを古色塗り
  3. 全体を亜麻仁油で磨く

古色塗りは、柿渋に顔料(黒・朱色)を加えたものを塗布することになりますが、この黒色の顔料として、薪ストーブの煙突掃除の際に取っておいた自家製松煙!?を使ってみることにします。

柿渋で溶くと墨汁のような黒さになり、なかなか良い感じです。

しかし、試し塗りすると色が薄く、何回も重ね塗りしないと十分な色になりません。
結局は市販のものも混ぜて色を作ることに。
また、塗布する箇所は元々、カマドに近いところで黒色の度合いが強いため、顔料の配合は黒をほとんどとし、朱(弁柄)は気持ち程度にしています。

最後に亜麻仁油で磨いて完了。

差し鴨居の傷も目立たなくなりました。

<続きます>

井戸の再生(21)土砂流入防止

井筒の落下などが懸念される井戸について、前回、当面の対応策を検討するとともに、それに必要となる塩ビ管を用意しました。

この塩ビ管は簡易屋根(井戸への土砂流入を防止)の柱として使いますが、最終的に井戸を再生させる際(未定)には側(がわ)として流用する予定です。

井筒の外側にぽっかり口をあけている穴に注意しながら周囲を草刈り。

井戸のそばに近づくのが怖く、これまで草刈りもろくにできていなかったため、井戸全体の様子を窺うことができませんでしたが、良くわかるようになりました。
思っていた以上に穴が大きく広がっており、上写真中央の石で辛うじて井筒が支えられている状態です。

この石に向かって井筒は傾いています。
もう少し穴が広がると石が落ち、そして支えを失った井筒も落下することになるのでしょう。

隣接する流し(無筋コンクリート)が安定していますので、そこを足場にして井筒を撤去。

地面にぽっかり穴だけがあいている状態は危険を感じます。
とりあえず、先に準備した塩ビ管を立て込みます。
最悪、井戸内に落ちた場合には梯子のように使えるかもしれませんし、こうした構造物があるだけでも安心感は違うものです。

水は溜まっていますが、相変わらず濁っています。

降雨時、井戸内に土砂が流入しないように周囲に土堤を設けます。
ここは普段、人が立ち入るところではありませんが、進入防止の目印としてトラロープを張っておきます。

先ほど立てた塩ビ管を柱としてブルーシートで簡易屋根を作ります。

以上で、差し当たっての対策(井筒の落下及び土砂の流入防止)を講じることができました。

ところで、井戸水が濁っているため井戸底の状態を確認できませんが、塩ビ管を立て込んだ際の感覚では土砂が30cmほど堆積しているような感じです。
この土砂は地表から流入したものだと思いますが、今回、土堤や簡易屋根により土砂の流入を防止したことで今後、濁りがどう変化するかしばらく注視したいと思います。

<続きます>