月別アーカイブ: 2016年10月

薪ストーブの導入(4)天井張り替え

前回、煙突の概略設計により煙突瓦の位置が決まりました。

これで、大工さんに煙突瓦の設置(瓦屋さん担当)と屋根貫通部の造作をお願いすることができます。

しかし、ちょうどDIYにて天井(大和天井)の張り替えを行っており、天井板(=床板)がない状態です。
このため、厨子(ツシ)二階(=屋根裏)に上がっての作業ができません。
大工さんは足場板をかけて作業していただけるとのことでしたが、作業しやすいように先に天井を張ってしまうことにします。
天井の張り替えでは、薪ストーブの煙突が天井を貫通することを考慮したいと思います。

天井を張り替える前の厨子二階の様子です。

stove1-3

天井の形式は大和天井(当地では「奈良天井」と呼んでいます)です。

img_0540

厨子二階の床板がそのまま一階の天井板となっています(シンプルです!)。
一方の客間などがある南側はこの下にさらに吊り天井(竿縁天井)が施されています。

この床板兼天井板には、8分(24mm)の厚さのマツが使われています。
芯材での虫食いは少ないですが、辺材では雨漏りしていなかったところでも下の写真のようにボロボロになっているところがあります。

img_2267

隣にある柱(大黒柱)に虫が移っているのではないかと心配しましたが、ケヤキのため無傷でした。

同じように吊り天井のヒノキにも虫食いはみられません。
適材適所なのでしょうが、マツは梁には最適ですが板材には不向きなのかもしれません。

img_1645

上の写真は改修工事において壁の塗り替え前に酢を使って天井板を洗っているところです。
比較的状態が良いため、こちらの天井板は張り替えず、洗いのみです。

マツ板は虫食いのないものもありますので、それを1部屋にまとめて再利用しようかと思いましたが、結局1部屋分にも足りず、すべて張り替えることにします。

虫食いのマツ板は、畑の通路に雑草対策としておいて並べておきます。
いずれ土に還り、畑の肥料分になってくれることでしょう。

img_2277

天井板(床板)を外したところです。

stove2

新しく張る天井板(床板)は、元のように一枚の板を張るだけのシンプルなものにし、厨子二階を使えるようにしたいという考えもあります。
しかし、薪ストーブの効果を高めるためには断熱材を入れたほうが良いようにも思います。
そこで、下図のとおり断熱材を上下の板でサンドイッチする構造にすることにします。

ceil

・部屋から直接見える天井板(下の板)は、外壁に使った羽目板が一部余っていますので、それを流用します。
・羽目板のうえに1尺ピッチで1.5寸角の根太を打ち、その間に断熱材(フクフォーム)を施します。(一般的な床を作るのと同様です。大和天井の梁が大引に相当することになります。)
・根太のうえに野地板(上の板)を張り、厨子二階を使えるようにます。

平面でみると下図のとおりです。

ceil2

薪ストーブの煙突が貫通する箇所に開口を設けます。
貫通箇所は二重煙突を使用しますが、天井板(可燃材)との離隔を150mm以上確保するものとします。
その結果、開口のサイズは837mm×523mmとなります。

図にはもう一箇所、中央に開口がありますが、これはトップライト用(ガラス瓦からの採光)です。
この開口には開閉式の障子を組み込みます。

<続きます>

薪ストーブの導入(3)煙突の概略設計

前回、薪ストーブの設置場所を決めました。

一方、煙突瓦の位置を決めるには、煙突に近接する梁や瓦の割付けの制約などの条件があるため、煙突の概略を設計したうえで決める必要があることが分かりました。

stove2-2

今回は煙突の概略を設計し、煙突瓦の位置を決めたいと思います。

煙突瓦は4枚の平瓦から構成されます。
その中心が煙突の芯になるとして設計してもよさそうです。
(下の写真は土葺き仕様のもので、今回使うものではありません。)

img_1023

瓦の割付位置は、通常、屋内からはわかりません。
しかし、今回の改修工事で採光用としてガラス瓦(平瓦と同じ寸法)を使用したことから、それから追っていくことが可能です。

stove2-3

まずは南北断面(東立面)で煙突を配置してみます。

chimney1

煙突は、薪ストーブ用として一般的な口径φ150mmのものを使う予定です。
屋外部分や煙道内は、燃焼効率や安全のため二重構造の煙突(二重煙突)とし、その二重部の外径はφ200mmです。
二重煙突であっても、梁などの可燃物とは150mm(安全側にみて200mm)以上の離隔(クリアランス)を確保する必要があります。

上の図面では、もっとも近接する丸太の桁からも301mmの離隔が確保されています。
あと瓦1枚分、桁方向に近づけると200mmの離隔を確保できなくなりますので、南北断面はこれで決まりとします。

続いて東西断面(南立面)です。

chimney2

こちらは、屋根の梁や大和天井の梁などの障害物が多いです。
また、薪ストーブの背後は壁であり、炉壁を設けるとしても炉壁から300mm以上の離隔が必要となります。
ストーブを壁から離すと、煙突が梁(可燃物)と近接してしまいます(200mm以上の離隔を確保できない)。

そこで、上図のとおり45°曲管2個を使って梁をかわすことにします。
燃焼効率や維持管理を考えると曲がり配管にしたくないのですが止むを得ません。

以上で煙突の概略が設計できました。
煙突瓦の位置は、上の図面から次のとおりとなります。

○南北方向:軒桁から南(棟)に向かって3、4枚目(軒からは6、7枚目)
○東西方向:ガラス瓦から西に向かって2、3枚目

stove2-4

<続きます>