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仏壇仕舞い(2)過去帳への記入

仏壇仕舞いに向けて今年は60柱を超える位牌を過去帳にまとめることにし、前回、位牌のデータを整理するところまでできました。

今回、これを過去帳にまとめていくことにします。
過去帳は下写真のようなものが市販されています。

とりあえず過去帳の実物を手にとってみたく、フリマサイトで上写真のもの(7寸サイズ:縦21cm)を購入しました(格安ですが、仏壇屋さんの長期在庫品でヤケ等あり)。

なかは下写真のようになっています。

フォーマット(罫線)だけが印刷されており、それが蛇腹式に綴じられています。

過去帳の記入方法はいくつかあるようですが、一般的なのは見開き2ページを単位とし、そこに同じ月命日の先祖の戒名等を記載する方法です。
つまり、系図のように時系列で並べるのではなく、位牌を月命日で分類し、日にち順(1日、2日、・・・、30日、31日)で記載します。

我が家の29日を例にして記入すると下図のようになります。

今回購入した過去帳は見開き2ページに4人(または8人)分を記載できるようになっています。
我が家の場合、月命日が29日の先祖は2人のため左のページは空白のままになります。

私は毎朝仏前に手を合わせるようにしているのですが、そのとき、その日の過去帳のページを開いておけば先祖供養もできて便利です。(1年で12巡することになります)。
古い位牌を見ると戒名(下写真で左側)のほかには日にち(右側。七日)しか記載されておらず不思議に思っていたのですが、月命日に先祖供養するにはこの2つが分かっていれば十分なわけです。

と言うことで、前回整理した戒名のデータを月命日で分類します。
こうした作業はコンピュータの得意分野で、一瞬にして完了。
続いて過去帳に書き写していきますが、元々の悪筆に加えて和紙に滲みまで発生して大失敗・・・(今回筆ペンを使ったのですが、一般的な筆ペンは染料系のインクが使われているため和紙だと滲むそうです)。

筆を変えて仕切り直しても良いのですが、私のような悪筆が書くと異体字が単に書き誤っただけに見えてしまうのが悲しいところです・・・。
それに、60柱を超える位牌をノーミスで書き写す自信も全くありません。

本当は手書きで過去帳を作りたかったのですが、ここは方針転換して活字(PC+プリンター使用)でいくことにします(今どきは仏壇屋さんで作ってもらう位牌も活字です)。
過去帳のサイズやフォーマットは購入したもの(7寸サイズ)が良いため、それに合わせます。
縦7寸(210mm弱)のためA4サイズの用紙(210×297mm)を横にして印刷・製本するようにすると良さそうです。
そこで、A4サイズでフォーマットを作製。

ここに先に整理した戒名のデータを流し込み、家庭用カラープリンター(顔料系インク:滲みが少ない)で印刷します(A4、32枚)。

用紙は和紙調で少し厚手のものを使っています(近くの紙専門店で購入)。

ここまでは順調ですが、問題は次の製本の工程です。
ページを折ったうえ前後の余白に糊付けして蛇腹式に綴じていくことになりますが、正確に綴じないと後のページに進むほど大きくズレてしまうことは想像に難くありません(通常の製本だとズレても最後に3辺を裁断して揃えれば良いですが、蛇腹式の場合はページが連続しているため裁断できません)。
そこで、容易に位置決めできるように下写真の治具を作製。

これにページの2辺を沿わせて位置決めしたうえ糊付けする考えです。

しかし、そうは上手くいきません・・・。

とりあえず糊付けは完了しましたが・・・。

上写真では問題ないようにみえますが、実際には少しずつズレていて断面を示すと下図のようになっています。

これでは見た目が悪いだけでなく手に取ったときも不安定なため、やり直さざるをえません。
先の方法(ページの2辺を基準にして糊付け)では上手くいかなったことから作戦を変更し、印刷されている罫線を基準にして糊付けすることにします。
また、プリンターでの印刷において1枚ごとに少しずつ印字位置が違うこともわかりました(家庭用プリンターなのでやむを得ません)。

今度は罫線に合わせて綴じることになるため、綴じた際にページの上下左右が揃うよう前もって罫線から一定寸法で裁断しておきます。

こうしてもズレを無くすことは難しいように感じたため、一旦3分冊で作り、最後にそれぞれのズレを調整して合冊。

上写真のとおり上下に凸凹が生じていますが、全体では水平で、手に取ったときも安定してページをめくることができるようになりました。

仏壇仕舞い(1)位牌の整理

昨年の今時分は仏間の改修を行っていました。

<Before>

<After>

無事完了し、元々ここにあった仏壇を戻すつもりだったのですが、仏壇を戻すとせっかくの床板(別の場所に使われていた欅の一枚板を再利用。漆仕上げ)や綺麗になった壁(珪藻土仕上げ)が隠れてしまいます。
あと、仏壇自体(下写真は背面)も古く傷んでいることから、流行!?の「仏壇仕舞い」を行うことにしました。

仏壇仕舞いと言っても御本尊(仏像)や先祖の位牌まで処分するのではなく、先の仏間にシンプルな棚(机)状のものを作り、そこに安置したいと考えています(下写真は現在の様子。座卓にゴチャゴチャと仮置きしてありますが、これをさらにシンプルにするイメージ)。

ところで、我が家は過去に火災に遭わなかったのか、先祖の位牌が60柱以上残っており(回出位牌を含む)、古いものは寛文元年(1661年。359年前)と記されています。
さらに、短冊状の回出(くりだし)位牌に移していないものもあり、仏壇に所狭しと位牌が並んでいるのを見た来客者は「これは先祖の供養だけでも大変だ」と感じるようです。
しかし、実際にはほとんどの位牌は弔い上げ(当地では50回忌)が済んでおり、今のところ私が追善供養(年忌法要)を行う必要があるのは亡き祖母と父の2人だけです。
そのようなこともあって、仏壇仕舞いに当たってはできる限り位牌を整理して仏間を本来の仏教信仰の場に戻したいと思っています(これまでは先祖供養に偏重し過ぎていたように感じます)。

と言うことで、昨年の仏間改修に続いて今年は位牌の整理を行うことにします。
位牌は弔い上げが済んでいるからと言ってゴミのように処分するわけにもいきません。
全ての位牌を短冊状の回出位牌にすればボリュームは減るものの、せっかく整理するのに今ひとつのような。
そこで思い付くのが過去帳(下写真は市販のもの)にまとめる方法です。

過去帳

過去帳なら60柱以上の位牌を1冊にまとめられ、その結果、先祖供養の関係は①過去帳、②祖母の位牌、③父の位牌の三つに整理することができます。

ところで、位牌(下写真は短冊状の回出位牌)には基本的に戒名(下写真で左側:表面)と(月)命日(日のみ。下写真で右側:裏面)しか記載されていません(明治以降は俗名や続柄、没年月日、享年も記載されています)。

回出位牌

つまり、位牌が残っていても俗名、続柄等の系図的な内容を知ることはできないのです。
系図と言えば、我が家も昔はあったようですが、一時期、女性だけの所帯になったときがあり、そのときに不用心だと分家に預けたところ、その分家が火事に遭って焼失したそうです(分家の方から教えていただきました)。
さらに、私の祖父が早くに亡くなったことから亡き父も昔のことを伝え聞いておらず、ワケのわからない大量の位牌だけが残っている状況になったのです。

父もこうした状況を何とかしたいと思っていたようで、私が大学に入学して時間ができたときに父と一緒に先祖のことを調べたことがあります。
当時は祖父の兄弟がまだ存命でいろいろと聞いたり、菩提寺で寺の過去帳を見せてもらったりして可能な限り調べました。
つまり、そのときに調べたことを整理して所定の形式でまとめれば過去帳ができる状態になっているわけです(もっと早くに着手すれば良かったのですが・・・。その点、昨年に仏間の改修を行ったのが良いキッカケになりました)。

と言うことで、作業に着手します。
まずはデータの整理。
位牌の数が多いため作業しやすいように電子化することにします。
全ての位牌をスキャニングしてデジタルデータ化。
次にそれらの画像データをテキストデータに変換していきます。
そこで問題になるのが漢字です。
戒名には旧字体だけでなく、様々な異字体も使われています。

さらに、同じ戒名でも寺の過去帳、我が家の位牌、墓石の銘で文字が異なる(異字体)ものもあって、どれを採用するかで迷います。
この機会に全て新字体に置き換えることも考えられますが、新字体にすると戒名の印象がガラリと変わってしまうものがあります(下図が一例)。


また、漢字コードについて、旧字体には割り振られていますが、異字体は一部のみです。
電子化するうえで漢字コードがないと厄介です。
これらのことから次のルールで漢字を統一することにします。

  1. 可能な限り元字(旧字体、異字体)を残す。
  2. 漢字コードが存在しない文字(異字体の一部)は最も近い字体のものに置き換える。

データの整理において、もうひとつ問題になるのが旧暦と新暦です。
明治6年から新暦が採用されましたが(明治5年12月3日=明治6年1月1日)、明治の位牌のなかには新暦と旧暦が混在しているものがありますので、公式通り明治6年以降の日付は新暦で統一するようにします。
また、レアなケースで出生が旧暦で没したのが新暦の場合、単純に計算すると享年を誤る可能性があるため、旧暦も内部的にはグレゴリオ暦(新暦)にて管理するようにします。

こうして整理したのが下表になります。

こうして整理するなかで重複している位牌も見つかり、最終的には63人(亡き祖母と父を除く)に整理することができました。
63人のなかには子供(昔は幼少時に亡くなることが多かった)が多く含まれているとは言え何世代にも渡る先祖の記録です。
我が家のような田舎の農家でさえ、こうした先祖代々の記録が残っているのは戦前まで存在した家族制度によるところが大きいのだと思います(+寺の檀家制度)。
家族制度の良し悪しは別にして、戦後に家族が解体されたことで、こうした先祖代々の記録も無くなっていくのでしょう。