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古民家の自然換気(52)室外機カバーを自作③

犬矢来をイメージした室外機カバーを作ることにし、前回、下写真のとおり一旦仮置きして問題がないことを確認するところまでできました。

隣接する主屋(古民家)の外壁(杉の羽目板)はオイルステイン(VATON:オーク色)で塗装してあります。
このため室外機カバー(木部のみ)も同じ塗装で仕上げる考えですが、割り竹を張ると塗装しにくくなるため、その前に塗装しておきます。

これで割り竹を張れます。
割り竹は、2年半前の冬に伐採して土蔵の庇下に保管してあるものを使います(下写真は保管直後。エツリに使った余り)。

半屋外で保管状態が良くなかったこともあって表面にカビが付いています。

カビは水拭きして取れば良いとしても、問題は一部に虫喰い(内側。特に節の周囲)があることです。
外側の硬い表皮は無傷のため見た目は問題ないものの、白い粉状のものが落ちてきたりして厄介です。
化粧材として使うのであれば、竹の伐採は伐り旬の11月に行なったほうが良い感じです。

これらの割り竹を釘留めしますが、そのまま釘を打つと竹が割れるためドリルで下穴をあけておきます。

横框に対して釘(SUS製)を打っていきます。

割り竹の間隔はエツリ(小舞掻き)と同様、隙間に指が入る程度にしてします。
また、竹の末口が上になるようにしています(節で判別できます)。

正面及び側面の計3面を張り終えました。

犬矢来のような感じになりました。

竹は真っ直ぐと言っても実際には微妙な曲がりがあり、それが優しい印象を与えるように感じます。

実際に室外機のところに設置します。

少し離れて見ると・・・

主屋(古民家)の外壁に比べて色が薄いですが、それほど違和感もなく、良い感じです。
室外機カバーは容易に前方に出せますので、連続してエアコンを運転する時期はカバーを外そうと思っています(排気用の隙間はあるものの、カバーしないほうが熱交換の効率が良いです)。

室外機カバーの屋根(板張り)を利用して鉢植えなどを置いてはどうかなと思っていたのですが、先に野良猫に場所を取られてしまいました。

軒下で雨が当たりにくいうえ高い場所なので居心地が良いのでしょう。
また、野良猫だけでなくアマガエル(上写真で朱色矢印)も休んでいます。

今回、室外機カバーに竹を利用しましたが、竹関連で井戸の竹蓋を更新したことも書いておきます
下写真の竹蓋は4年前に井戸ポンプを設置した際に作ったものです。

雨だけでなく、井戸の中からも常に湿気が上がってくるため痛みが激しいです。

竹はもう少し大丈夫かもしれませんが、竹を編んでいる棕櫚縄のほうが切れてしまっています。

これではバラバラになってしまいますので、新しいものを作って入れ換えました。

竹蓋は樹脂製のものに比べれば耐久性が劣りますし、作るのに手間もかかります。
しかし、こうやって定期的に新しいものに更新すると気持ち良いものです。
それに材料の竹は無尽蔵にありますし、古いものも畑に還してゴミになることがありません。

古民家の自然換気(51)室外機カバーを自作②

犬矢来をイメージした室外機カバーを作ることにし、前回、部材を加工するところまでできました。

これを組みます。

特に問題ないようですが、実は部材を加工する際、油断してミスっているのです。
横框のホゾについて、天側のものだけ三方胴付きにするはずが、他のところと同じように四方胴付きにしてしまいました・・・。
その結果、本来は面一にならなければならない天端(屋根の板を張ります)に下写真のとおり段差(下写真で朱色四角)が生じています。

縦框側が6mm突き出た形になっています。
この部分を切るわけにもいきませんので(ホゾ組みが弱くなる)、横框のほうに6mm厚の板を張って嵩上げすることにします。

6mm厚の板を準備するため、杉板(15mm厚)をテーブルソーを使って半分に挽き割ります。

これを横框の上に張って天端を面一にします。

ここに羽目板(杉)の端材を張って屋根にします。

釘は雨に当たるためSUSのものを使っています。
また、本当は上写真で朱色破線のところまで板が欲しいのですが、端材を使っているため一部長さが足りていません。

この欠損部を塞ぐため別の板を直交して張り重ねます(雨水が建物側に流れないようにする目的もあります)。

サイズといい、高さといい、なんだか勉強机のようなものができました。
勉強机と言えば、私も小さいときに分不相応なものを買い与えられたのですが、ろくに勉強することもなく、とうの昔に処分場行きです。
リンゴ箱でさえ勉強できなかった時代があったと思えば、高級デラックス学習机が買い与えられる現代です。
時代の流れとは言え、両極端に振れ過ぎで、またリンゴ箱でさえ勉強できない時代が来るのではないかと心配になります。
今回作ったようなものであれば、全人類に1人1台与えてなお自然に余力はあるでしょう。
現在だけでなく、将来に渡って誰もが楽しく学べるようであってほしいと願わずにいられません。

閑話休題。

ここで一旦、室外機のところに仮置きして問題がないか確認してみます。

上写真の朱色矢印で示す箇所で配管と重なり、外壁まで寄せられません。

この部分を切り欠いて調整します。

現時点では地面に直接置いた状態になっていますが、据わりが悪いうえ木材の根元が腐朽しやすいです。

そこで、廃材のレンガを使って基礎を設けることにします。
半分の大きさで十分なため、ディスクグラインダー(ダイヤモンドホイール装着)とタガネを使って切断します。

天端が同一レベルになるように据え付けます。

レンガの周囲を粘土で固定する際、コテ(中塗り用)を使っています。
綺麗に仕上げる必要はないのですが、コテを使うと手も汚れず作業性が上がります。
コテは壁塗りだけでなく、いろいろ使えて便利な道具です。

これで安定して据わるようになりました。