月別アーカイブ: 2020年7月

古民家の自然換気(51)室外機カバーを自作②

犬矢来をイメージした室外機カバーを作ることにし、前回、部材を加工するところまでできました。

これを組みます。

特に問題ないようですが、実は部材を加工する際、油断してミスっているのです。
横框のホゾについて、天側のものだけ三方胴付きにするはずが、他のところと同じように四方胴付きにしてしまいました・・・。
その結果、本来は面一にならなければならない天端(屋根の板を張ります)に下写真のとおり段差(下写真で朱色四角)が生じています。

縦框側が6mm突き出た形になっています。
この部分を切るわけにもいきませんので(ホゾ組みが弱くなる)、横框のほうに6mm厚の板を張って嵩上げすることにします。

6mm厚の板を準備するため、杉板(15mm厚)をテーブルソーを使って半分に挽き割ります。

これを横框の上に張って天端を面一にします。

ここに羽目板(杉)の端材を張って屋根にします。

釘は雨に当たるためSUSのものを使っています。
また、本当は上写真で朱色破線のところまで板が欲しいのですが、端材を使っているため一部長さが足りていません。

この欠損部を塞ぐため別の板を直交して張り重ねます(雨水が建物側に流れないようにする目的もあります)。

サイズといい、高さといい、なんだか勉強机のようなものができました。
勉強机と言えば、私も小さいときに分不相応なものを買い与えられたのですが、ろくに勉強することもなく、とうの昔に処分場行きです。
リンゴ箱でさえ勉強できなかった時代があったと思えば、高級デラックス学習机が買い与えられる現代です。
時代の流れとは言え、両極端に振れ過ぎで、またリンゴ箱でさえ勉強できない時代が来るのではないかと心配になります。
今回作ったようなものであれば、全人類に1人1台与えてなお自然に余力はあるでしょう。
現在だけでなく、将来に渡って誰もが楽しく学べるようであってほしいと願わずにいられません。

閑話休題。

ここで一旦、室外機のところに仮置きして問題がないか確認してみます。

上写真の朱色矢印で示す箇所で配管と重なり、外壁まで寄せられません。

この部分を切り欠いて調整します。

現時点では地面に直接置いた状態になっていますが、据わりが悪いうえ木材の根元が腐朽しやすいです。

そこで、廃材のレンガを使って基礎を設けることにします。
半分の大きさで十分なため、ディスクグラインダー(ダイヤモンドホイール装着)とタガネを使って切断します。

天端が同一レベルになるように据え付けます。

レンガの周囲を粘土で固定する際、コテ(中塗り用)を使っています。
綺麗に仕上げる必要はないのですが、コテを使うと手も汚れず作業性が上がります。
コテは壁塗りだけでなく、いろいろ使えて便利な道具です。

これで安定して据わるようになりました。

古民家の自然換気(50)室外機カバーを自作①

前回、主屋裏(北側)の芝生を拡張すべく播き芝を行いました。

こうして芝生にするのはもちろん除草の負担を軽減したいと言うことがありますが、そのほかに夏の暑さ対策の目的もあります。
なるべくエアコン(電気)に頼らないで生活を目指して、主屋(古民家)の天井の一部は竹天井にして室内の熱気を屋根裏(厨子二階)に逃すようにしています。

室内の熱気を屋根裏に逃がす代わりに屋外から空気が入ってくることになります(自然換気)。
このため、主屋の周囲を芝生など緑豊かにして外気温(微気候)を下げたいわけです。

とは言え、近年の酷暑になると、このような自然換気では太刀打ちできないときがあります。
そこで、こうしたときはLDKの一角にある和室(6畳)に避暑できるように、ちょうど1年前の今頃、エアコンをDIYにて設置しました(下写真で右側の室外機。左側は撤去済)。

室外機は軒下にあるものの、雨が降ると雨だれとともに土を被ります。
雨だれ避けにと、とりあえず不用なプラ段(下写真で朱色矢印)を置いておいたのですが、そのまま1年が経過・・・。

プラ段では紫外線劣化しますので、ちゃんとした室外機のカバーを作ることにします。
また、室外機の外観が古民家と馴染まないため、カバーによって古民家と合うようにもしたいと思います。

カバーは室外機よりひと回り大きいサイズとし、下図のものを考えました。

角材を組んで骨格を作り、それに板を張って雨だれを避ける考えですが、その板は室外機の排気ができるように隙間をあける必要があります。
そこで、思いついたのが犬矢来です。
犬矢来は京町家の軒下などで見かけることがあり、趣があってなかなか良いものです。
犬矢来には雨だれが建物の下部にかからないようにする目的もあり、主に竹で作られます。
我が家(古民家)の軒下にも雨だれ避けのため設置したいと思い、既に材料(割り竹。小舞竹の余り)は準備してあるのです。
今回、犬矢来の実験を兼ねて室外機カバーに割り竹(下図で緑色)を使うことにします。

実際に作っていくことにし、まずは木取りから。
縦框(45mm角)は垂木材(杉)を使うことにしてホームセンターで調達。
横框(34×30mm)は、いつものように間柱材(杉)を挽き割って木取りします(105×30mm→34×30mmを3本)。

節、反りともに大きいです(それでもホゾで組むとバッチリ決まるので驚きです)。

これらの横框を縦框に対して2方向から挿す形になりますので、両端が留め(45°)になるように所定の寸法で切り出します(こうしましたが、ホゾを加工したのち留め切りするほうが良いように思います)。

ホゾ穴をあけます。

ホゾを加工します。

ホゾの端部を留め(45°)にすることで、ホゾ穴(縦框)の中で下写真のとおり組まれることになります。

<続きます>